結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年10月28日(水曜日)

商業販売統計と外食産業統計の「鳥の目」に学ぶこと

ロバート・鈴木さんが、急逝された。  
享年59歳。私より二つ上。

アメリカ在住コーディネーターでジャーナリスト。
昨年5月に日本セルフ・サービス協会の米国視察で、
お世話になった。
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私は一度、一緒に酒を飲むと、
よほどのことがない限り、
友人づきあいをすることができる。

ロバート・鈴木さんとも、
これから長い付き合いになると思っていた。

米国小売業の情報をきちんと取材し、
整理し、報告してくれた。

心からの感謝とともに、
ご冥福を祈りたい。

さて9月の商業販売統計速報。  
経済産業省の発表。
物事は、「鳥の目、虫の目」で見なければならない。
「鳥の目」もきわめて大切だ。
その一つがこれ。

小売業販売額は前年同月比1.4%減。
総額10兆5440億円。
13カ月連続の減少。
ただし、減少の幅は縮小。
これは3カ月連続。

気温が低くて、秋物衣料は比較的好調で、前年同月比1.7%増加。
新型インフルエンザ対策用品も好調。

一方、外食産業市場動向調査では、
売上状況は全業態で前年同月比1.5%減。  

これは4カ月連続実績割れ。

客数が1.8%増ながら、客単価は3.2%減。  
シルバーウィークの関係で、前年比で休日日数が1日多く、
好天も味方して、全体として客数増。

ただし、外食産業では低価格帯の業態が増加し、
それが全体の売上げを押し下げた。
外食の店舗数は0.5%減。

業態別には、四者四様。  
ファーストフード業態のみ、売上高は3.3%増。
ファストフードの客単価は2.2%減、客数は5.6%増。
良い企業、良い業態の現在の特徴がこれ。

ファミリーレストラン業態は、
客単価2.4%減、客数2.8%減で売上高5.4減。

パブ・居酒屋業態は、客数は5.9%減、客単価1.2%減、
売上高は7.0%減。

ディナーレストラン業態は、
客単価1.1%増、客数は5.7%減、しかし売上高4.6%減。
喫茶業態も、客単価0.4%増、客数は6.0%減、売上高5.7%減。

それぞれの政策が、客数、客単価に反映され、
結果としての売上高が出てくる。

何度も言うが、現在は、客数主義を貫くこと。
その意味で外食ではファストフードの政策が現時点での時流。

ディナーレストランや喫茶は、客単価主義で、
これは、顧客からのしっぺ返しを注意しなければいけない。

ファミリーレストラン、パブ・居酒屋は、
客数主義に徹して、現状を抜け出さねばならない。

外食産業は、食品小売業の水先案内人である。
外食の動向が、内食に先行する。  

これは、忘れてはならないし、
いつも注目しておかねばならない。

さて、昨日も一日、忙しい。
朝から東京・大門。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。  
月に一回の取締役会。
私は、このマーケティング・リサーチの会社の非常勤役員。
顧客情報とPOSデータをぶつけあって、
より詳細で、綿密な情報を獲得し、
それを分析・加工し、サービスする仕事。

私のフィールドワークの一つになってくれたらいいと考えている。

アメリカでも、ショッパーズ・マーケティングと称して、
現在、盛んに研究が進められている。
将来性のある分野の将来性のある会社。

午後は、東京タワーの向かいの機械振興会館。
商業経営問題研究会。  
リテール・マネジメント・ラーニング・サークル。
通称、RMLC。

私が、亡き磯見精祐さんのあとをついで、
現在の第三代目座長。
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今回は、㈱ケノス代表取締役社長の小林清泰先生の講義。
小林先生は、商人舎のコーポレート・デザインを担当してくださった。

その小林流「店舗の考察と実践」。

まず、店舗の機能を考える。
そうすると、まず店とは「人を育てる場」であることが分かる。
当然ながら店は、「事業のツール」である。
さらに店舗を構成する要素を考察すると、
「エコという物差し」が登場する。

この物差しが何より大切だ。
経営者にも、経営幹部にも、
商品部にも、店舗にも、
デザイナーにも。

そこから小林先生は、
店舗デザインの実践を重ねてきた。

コンビニのローソン。
ファミリーマート。
そしてホームセンターのカインズなどなどなど。

ピーター・ドラッカー教授は書き残している。
「サービスの生産性」を向上させる鍵は、
アウトソーシングに尽きる、と。

小林先生の仕事を見ていて、
私は、このドラッカーの言葉を思い出した。

アメリカのチェーンストア業界では、
小売業実務へのサービス機能が発達している。

それがチェーン化のスピードを加速させる。

日本の小売業は、何でも、自分でやりたがる。
それが日本のチェーンストアのスピードのなさの原因。

小林先生の講義への質問などのあと、
山本恭広『食品商業』編集長から、
8月のRMLC店舗クリニックの内容報告。

そして最後に、私のアメリカ最新報告。
2009年秋の三番勝負のエッセンスだけ、
簡単にレクチャー。

これは、まだまだ丁寧にお話しするし、
さまざまな記事にも書いていく。

RMLCは楽しい。

最後に、西武百貨店食品売り場改革について問題提起。
皆で研究対象にしようと思う。

帰りに、西川清明さんと一緒になった。
元ヤオハン、ユニーの幹部として活躍され、
現在は、実に熱心な流通研究家。
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出店に関して、西川さんの情報網に入らないことはない。
私も多くの勉強をさせてもらった。

多謝。

<結城義晴>  


2 件のコメント

  • ロバード・鈴木様へ 謹んで哀悼の意を表します。
    毎月定期購読している、販売革新に寄稿される、ロバード・鈴木氏の記事を楽しみにしていました。
    一度だけ 米国店舗視察に行った私は氏が報告される米国流通業の栄枯盛衰劇に毎回注目していました。
    今 手元にある 販売革新’09年10月号「アメリカ流通業の新業態」が遺稿となったのでしょうか?

  • いまちゃん、毎度のご投稿感謝。
    私も、同じ気持ちです。

    謹んで、哀悼の意を表したいと思います。

    合掌。

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