東大・伊藤元重さんの「1ドル119円説」と京セラ・稲盛和夫さんの「身の丈理論」
日本全国晴れ模様。
冬なのに 春みたいに あたたかい日。
「冬なのに 春みたいに あたたかい日には」
(詩・鈴木順子)
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
動物園に行ってみて
ゾウの前など すわりこんで
パンでもかじりたくなるのです
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
ゆくさき不明の汽車にのり
荷物のように がたごとと
はこばれてゆきたいと思うのです
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
世界の平和のために
戦争をなくすために 生きてゆこうと
心の底から思うのです
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
ネコと見つめあって
愛をたしかめあうことだって
できるのです
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
冬なのに 春みたいに あたたかい日には
こんな日には必ず、
大学時代の仲間・鈴木順子さんの詩を思い出す。
そしてこんな日には必ず、
いいことがある。
そう思っていたら、
はがきが届けられた。
私の本へのお礼のはがき。
『お客様のために いちばん大切なこと』(中経出版刊)。
杉浦太西洋さん、ありがとうございます。
さて、三越の早期退職者22%。
新聞各紙で取り上げられたが、
正社員6700人のうちの22%の1500人が応募。
対象年齢は40歳が35歳までに引き下げられた。
退職金は数百万円上積みされたが、
それでも不況期で失業率5.3%の現在、
この退職者数には、ちょっと驚かされる。
会社へのロイヤルティが薄れてはいるのだろうが、
会社の命運よりも自分の人生を重視する人が増えている。
会社にとっては不幸なことだが、
悪い傾向ではないと思う。
その百貨店のうちの5社が、毎月1日に、
百貨店協会に先立って、業績数値を発表する。
2009年11月の百貨店既存店前年同月比実績。
三越は、マイナス11.1%、
伊勢丹は、マイナス11.8%。
高島屋はマイナス10.5%、
大丸がマイナス6.4%、
松坂屋がマイナス5.0%。
依然として、絶不調。
三越伊勢丹ホールディングス社長の石塚邦雄さんは、
自戒する。
日経MJの「消費見所カン所」というカコミ。
「ただ価格を下げるのではなく、
価値があって価格が安いものを、
そろえなければならない」
「約1兆4000億円の売り上げ規模の大きさを武器」にして、
「調達コストを抑制するなどの企業努力で、
価格引き下げを目指す」らしい。
しかし、私は、この考え方には疑問。
百貨店は、小売業におけるノンコモディティの代表選手。
ここは「スケールの経済」論理が成り立たない分野。
「価値があって安いもの」を、スケールで調達できるのは、
コモディティ・グッズの分野である。
それはもうユニクロが成し遂げている。
伊勢丹に、顧客はそれを望んではいない。
三越伊勢丹にも、
「厳しさに学べ」の12月となりそうだ。
まだまだ、「厳しさに学んではいない」
だからこんな発言が出てくる。
もしかしたら、石塚さんは、
もっと奥深いことを言おうとしていて、
それに理解が及ばないインタビュアーが、
自分の考えを書いてしまったのかもしれない。
しかし、「厳しさに学ぶ」ことができるかどうかは、
店と売場に出てくる。
三越と伊勢丹には、年末に訪れて、
それを確かめよう。
同じ日経MJのコラム「ニュースな見方」
東京大学大学院教授の伊藤元重さん。
いいことを書いている。
「1995年に1ドル80円を切る超円高を経験してから、
現在までに日本の物価はほとんど変化していないが、
米国は約40%上昇している」
「この物価の差を考慮に入れて、
1ドル85円という円ドルレートを計算すれば、
1ドル119円になる」
つまり1995年の1ドル80円に対して、
現在は額面は85円だが、
1ドル119円レベルだと、いうわけ。
日経新聞では、
京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが語っている。
「為政者が危機を乗り切るために、
ぶれない決意を世界に発信すれば、
国民も安心する」
「一方で、破綻状態の税制を長期的に立て直す」
これは現在の日本のことを言っているが、
企業経営者やリーダーにも、
全く同じ姿勢で臨むことが示唆されている。
行政刷新会議では、
「身の丈に合った歳出に抑えるしかない」
そして、最後に言う。
「江戸時代は経済的には停滞したが平和で、
ヨーロッパ人が当時、
貧しいけれど礼儀正しく清潔な日本人に出会って驚いている」
「江戸時代に戻れとは言わないが、
資源を循環させて一定の豊かさを維持できる社会を、
目指せないだろうか」
私も、この「身の丈理論」には大賛成。
日本の商業は、その時に、
大いに活躍しなければならない。
身の丈を自覚し、身の丈の良さを知るには、
「試練を潜り抜けねばならない」
「試練の果てに、己を知る」
だからこの12月は、絶好の学びのとき。
「厳しさに学べ」
冬なのに春みたいにあたたかい日には、
そんなことを考える。
<結城義晴>
4 件のコメント
>身の丈を自覚し、身の丈の良さを知るには、
「試練を潜り抜けねばならない」
「試練の果てに、己を知る」
私自身もそうかもしれません。
新しく社長になって、気ばかりがあせり
身の丈以上のことをしようとして、うまくいかなかったのかもしれません。
でも、いろいろなことを経験して自分自身が分かってきたような気がします。
前向きに進んでいきます。
いつも、気付きをありがとうございます。
向さま、「試練を経験する」ことが、
リーダーには不可欠です。
試練を乗り越えることよりも、
試練を経験すること。
だから試練から逃げないこと。
試練に立ち向かうこと。
大丈夫です。
試練に立ち向かえば。
そしてこの12月は、
試練が向こうからやってきてくれます。
「厳しさに学べ」です。
結城先生
「冬なのに 春みたいに あたたかい日には」胸の奥まで温かくなり涙がこぼれました。
表現のスタイルは自由ですが「詩」と言う限られた中で、情景が脳の奥から湧き出ます。
人それぞれの体験がベースなので捕らえ方違うと思いますが、僕の感受性がとっても刺激されるのです。
僕はPOPを作るとき、結城先生がずいぶん前にブログにて書かれていた「言葉を見せる。
言葉が、見えるものとなった時、言葉は、さらに強い力を持つ。」を基本に考えます。
当店スタッフにも色々な個性のPOPを作り上げます。
サイズ・色もバラバラ。大きいPOPにも色々ありまして、「お客様目線・ニーズの皮をかぶって、お店サイドの都合を提案と言う形で押し付けるタイプ」(売りたい気持ちも痛いほど分かります。)もありますが、商品に対して「気持ちが入りすぎ(良い品なので純粋にお客様に買って頂きたい。)」て大きくなるものもあります。
POPが胸焼けを起こすのは、一方的な情報のみでお客様との対話ができていないのが原因なのではないのでしょうか?スーパーでは唯一のセールスマンとしてPOPをお客様の感受性に訴えかけ、食卓のイメージを与え(偉そうですが…)商品展開で物語を作らなければなりませんね。それを詩的に、シンプルに言葉を見せなければ。
僕は杉浦大西洋さんのお店に行かせて頂いたことがあります。
心の底から温かくなる素敵なお店です。
そこには、まさに現場に根を下ろした仕事と身の丈理論が詰まっていました。
「厳しさに学び」「試練の果てに、己を知る」を基本にお客様と対話してもっともっとまだまだ学んでいきたいと思います。
ストレート・エッジ様、
私のブログをよく読みこんでくださっていて、
とても嬉しくなりました。
ありがとうございます。
「お客様と対話して」
それが何より大切です。
自分のお客様があること。
自分のお客様を持っていること。
幸せですね。
ラッキーですね。
そのお客様と対話して、
POPや売り場やお店をより良くしていく。
それがあなたの仕事です。
やりがいのある仕事です。