明日からの改正労基法施行と「Forbes」世界長者番付
横浜駅西口付近を流れる新田間川の桜。
商人舎オフィスに出社する時には、いつも、
この川べりを歩く。
徐々に、桜が開いて、満開直前。
いい季節です。
今日で、3月も終わり。
明日から、4月。
横浜では、今週末あたりが、
最適の花見のころあい。
さて、明日から、労働基準法が一部改定され、
施行される。
それぞれの会社では、総務部門が、
問題解決を果たしているから大丈夫だろうが、
経営者も管理監督者も、労働者も、
その中身を知っておくことは大事だ。
時間外労働には、割増賃金が払われる。
いわゆる「残業」だが、
それには最低、基本給の125%が支払われる。
私が社長を務めていた㈱商業界では、
40年近く前から、残業代は5割増しで支払われた。
「サービス残業」というのは、
この2割5分増し、5割増しどころか、
残業したのに一銭ももらわない、支払わないということで、
これは明確に法律違反。
今回の改定は、つき60時間の法定限度時間を超えると、
㈱商業界並みに5割増しの割増賃金を払うようにという趣旨。
さらに法定割増賃金の割増分を有給休暇に振り替えること、
1年に5日分を限度として時間単位で有給休暇を取得することが可能となる。
ただし、この件に関して、あらかじめ、
労働組合または従業員との労使協約が改定される必要がある。
今回の改定の目的は、
「働きすぎ、働かせすぎ」からの脱却。
ただしこの場合、「働きすぎ」というのは、
時間単位で論議される。
労働者を長時間労働から解放して、
健康で健全な労働体制を組み上げようとの狙い。
だから、決められた時間内に、
集中的に効果的に生産性をあげて仕事することは、
むしろ奨励されている。
そして残業が発生した場合には、
しっかりと支払うし、
残業分の仕事は、さらに濃密なものとならねばならない。
「だらだら仕事」は撲滅し、
適正な時間内に、適正な仕事をし、
経営者はこの適正な業務とその仕組みを設計し、管理して、
健全なオペレーションを構築する。
そういった目的で、
明日から改正労基法が施行される。
経営は一段と厳しくなるかもしれないが、
従業員満足と顧客満足が合致しない限り、
「商業・サービス業の現代化」は果たせない。
法律違反がつづいている限り、
現代化どころか、近代化にも到達しない。
ただし、特に経営者に限っては、
この範疇にない。
経営者は、本当に厳しいけれど、
年中無休・24時間無休を、
自己責任において果たす。
世の中の問題で一番厄介なのは、
この経営者のスタンスと従業員・労働者の立場を、
混同させ、混合させ、錯覚させ、ごまかしてしまう輩の存在。
この意味において、
「精神論」は近代経営の敵である。
間違いのないよう。
「この意味において」である。
さて、米国の雑誌『フォーブス』(Forbes)の特別号。
「ビリオネアーズ」(10億長者)
[The World's Richest People]
世界で最も金持ちの人々。
今回は、マイクロソフトのビル・ゲイツを抜いて、
カルロス・スリム・ヘルがトップとなった。
1940年、メキシコシティ生まれのメキシコ人。
2007年に世界1位(総資産約8兆3000億円)の富豪となり、
2008年には2位にさがり、
2010年度の最新版長者番付で、再び首位に返り咲いた。
資産総額535億ドル(100円換算で約5兆3500億円)。
テルメックス、テルセル、アメリカ・モービルを所有し、
中米の通信産業を牛耳っている。
第2位は、ご存知、マイクロソフトのビル・ゲイツで530億ドル。
第3位も、超有名なアメリカ人投資家のウォーレン・バフェットで470億ドル。
世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEO。
第4位ムケッシュ・アンバニ、第5位ラクシュミ・ミタルは、
ともにインド人。
注目すべきはアメリカ合衆国のランキング。
1位ビル・ゲイツ、2位ウォーレン・バフェットにつづいて、
3位オラクルのロウレンス・エリソン280億ドル。
そして4位~7位までの名簿。
4位クリスティ・ウォルトン225億ドル、
5位ジム・ウォルトン207億ドル、
6位アリス・ウォルトン206億ドル、
7位ロブソン・ウォルトン198億ドル。
そうサム・ウォルトンの遺族たちが、
合わせて836億ドルで、
これは世界第1位にあること。
一方、アジア・環太平洋地区では、
日本の柳井正さんが76億ドルで15位に入り、
16位には佐治信忠さんが75億ドルで食い込んだ。
柳井さんは小売業ファーストリテイリング、
佐治さんは食品製造業サントリー。
日本でも重厚長大産業ではなく、
消費産業のトップが国を代表する経済人、億万長者である。
経営者の可能性は、無限に広がる。
ちなみに、アジア・環太平洋地区のベスト20には、
インドが10人、
香港が4人、
日本とマレーシアが2人ずつ、
あとは韓国と中国が1人ずつ。
インドやマレーシアは富の集中は激しい。
私は、こんなことを報告し、評論する立場で、
まったく金に縁がない。
しかし、何とか金に困ることもない。
身の丈の生き方。
それが、私には、いい。
朝に希望、昼に努力、夕に感謝。
それが、私には、いい。
明日から4月。
希望の4月。
<結城義晴>