結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年04月05日(月曜日)

『小売業界大研究』の類書にない特徴と今年の新人のタイプ「ETC型」

2010年桜シリーズ第5弾。
千葉県・姉ヶ崎の桜。

[ダイナム・マスターズにて]

Everybody! Good Monday![vol14]
2010年第14週、4月第2週の始まり。

第14週というと、先週が13週目。
すなわち今年最初の週から勘定すると、
先週で第1四半期が終了し、
今週から第2四半期に入ることになる。

ウィークリーマネジメントを基本にし、
13週ごとのクオーターを基準にすると、
今週から第2クォーター。

第1クォーターは、13週間の91日。

第2クォーターも、
第3、第4クォーターも、
13週91日間。

この間、土曜日も日曜日も13回ずつある。

私は、ビジネスはこの期間設定で展開されるのが、
まったくもって科学的であると思う。

1月は31日で、2月は28日、そして3月は31日。
これで月間の数値を比較していくと、
どうしても前年同月比でしか、
判断できない。

1月と2月はどんな営業状態だったのか、
2月と3月は経営状況がどう変わったのか。

それを前年の数値との比較でみていくのは、
どうも、靴の上から足を掻いているようで、
心もとない。

さて、産学社から発刊された『小売業界大研究』。  
結城義晴著。

全国の書店に並び始めた。
本屋の「業界本」「就活本」のコーナーに並んでいる。
是非、手にとっていただきたい。

おりしも4月1日から、
大企業の2011年春の採用選考活動が解禁となった。
「就職氷河期並み」の来年、
逆に小売業・サービス業は、
人材採用の好機を迎えた。

㈱商人舎にも、直接、本の注文が入り始めた。
[まとめ買いの場合は、㈱商人舎(tel 045-350-6651)にお申し込みください]  

有難いことです。

本来、これから小売業に就職しようという学生向けの本だが、
それはすなわち「ベーシック小売業の本」となり、
「小売業の基礎知識の本」となる。

私もそのつもりで書き下ろした。

編集者の二宮護さんや新垣宜樹さんからも、言われた。
「知っていることを、そのまま、
わかりやすく書いてください」

だから、プロローグは「21世紀は小売業の時代」となっている。

小売業・商業が現代化を果たせば、
確実に小売業は日本の21世紀の基幹産業となる。

ポール・クルーグマンが、
『フォーリン・アフェアーズ』誌に書いて、大反響を呼んだ論文が、
『良い経済学 悪い経済学』と題して、
日経ビジネス人文庫から発刊されている。
その第1章「競争力という危険な幻想」が、この論文。

クルーグマンは、
「国家の競争力」という概念は幻想である、
と切って捨てる。  

「一般に国際市場で競争している製造業の企業を支援する発明に重点がおかれ、一般に国際市場では競争していないサービス業の商品が軽視される傾向が、少なくともある程度出ている」

「しかし、今では雇用と付加価値の生産でみて、サービス業は圧倒的な地位を占めている」

「製造業ではなく、サービス業の生産性伸び率が低いことが、アメリカ国民の生活水準が停滞していることの最大の原因になっている」  

ここで指摘されるサービス業には、小売業も組み入れられる。
サービス業の商品とは「小売業の店舗や売り場」をも示す。

すなわちノーベル経済賞受賞のクルーグマンは、
「サービス業基幹産業論」を唱え、
その生産性伸び率の向上を、
国民生活水準停滞脱却の道であると指摘しているのである。

私が「21世紀は小売業の時代」を表明するのも、
クルーグマンと同じ視点からである。

『小売業界大研究』に話を戻すと、
この本の構成は8つに分かれる。

Introduction 21世紀は小売業の時代
CHAPTER1 小売業とは何か
CHAPTER2 小売業の歴史と動向
CHAPTER3 チェーンストア 
CHAPTER4 小売業態別動向 
CHAPTER5 小売業のグループ系列をつかむ
CHAPTER6 小売業200社完全網羅
CHAPTER7 小売業の仕事  


類書と異なる点は、
まず第一に「流通業」ではなく、
「小売業」であること。

「商業」といえば、小売業と卸売業。
流通業となれば、商業に物流業なども含まれる。
すなわち小売業・卸売業・物流業等々。

この中で「小売業」に焦点を絞った。 

第二に、チェーンストアを章立てし、
わかりやすく表現したこと。
しかしこれは、筆者自身、苦労した。
難しかった。
チェーンストアを16ページで表現することが。

しかし、それだけ簡潔に、
「チェーンストア」を表したことにもなる。

第三の特徴は、「小売企業上位200社+4社」を、
完全網羅で簡潔に紹介したこと。

200社売上高ランキング表も入っている。

これも、これまでなかった章となった。
毎年の改訂版の手直しが大変だが。

全編、結城流、結城節の本だが、
「である」調であるため、
このブログとは異なる調子の本である。

さて、今週は、
花見、花見のイベント。
雨が降ったり、曇ったり、晴れたり。
しかし日本人は、桜好き。
花見気分を、お客様と共有したい。

ゴルフ好きには、木曜日からマスターズが始まる。

売上げや利益の数値は、前年対比では、
はかばかしくない企業が多いかもしれないが、
前4週単位、前13週単位との比較をしてみよう。

そのうえで、期中内対策の手を打ちたい。

日経新聞の「クイック・サーベイ」のコラム。  
日本生産性本部の発表による今年の新人のタイプ。
2010年新入社員は「ETC型」  
「人と直接、対話する機会が足りないのが心配」
しかし「情報技術の活用には長けている」

2009年は「エコバッグ型」で、
2008年は「カーリング型」だった。  

前者は「使うときに大きく広げる必要がある一方で、
環境保護意識が強く、無駄を嫌う」
後者は「そっと背中を押し、
ブラシでこすって働きやすい環境を整えねばならないが、
磨けば光る」

新人を「迎え入れる側の気持ち」を聞いたアンケートへの回答が面白い。
「先輩・上司としての自覚が出る」37%
「組織が活性化する」22%
「組織にいい意味で緊張感が出る」19%

新人を迎え、新しい環境になる。

今月の商人舎標語。
「知恵・力」合わせて動け!  

今週も、Everybody! Good Monday!

<結城義晴>  


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