「流通ガイドライン」見直しと㈱たいらや村上篤三郎さんの交遊抄
今日の商人舎magazine。
Weekend News Summary。
22年ぶり「流通ガイドライン」見直しと
メーカー価格指定復活は
「客のため」になるのか?!
かつてはメーカー希望小売価格なるものがあった。
標準小売価格といったりした。
希望小売価格とは、
商品を製造するメーカーなどが
設定する販売参考小売価格。
そこから何割割り引くか。
それが安売りのやり方だった。
家電も加工食品も菓子も。
もちろん酒などは強く統制されて、
全国どこでもビールは同じ値段だった。
それが1991年に、
いわゆる「流通ガイドライン」ができて、
変わっていった。
正式にはこういう。
「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」
(平成三年七月十一日公正取引委員会事務局)
改正 平成十七年十一月一日
経済産業省と公正取引委員会は、
この「流通ガイドライン」を、
22年ぶりに見直そうとしている。
そのために経産省が開催しているのが、
「消費インテリジェンスに関する懇談会」
有識者が集って議論している。
米倉裕之さんがその委員。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱社長。
商人舎magazine5月号でも、
2本の記事を担当執筆してくれた。
①FSPテクノロジーのABC
「顧客ID付POSデータ活用法を明かす」
②リテールCRM最前線
「小が勝つ」時代とMeコマース!
いわば商人舎ファミリーのひとり。
米倉さんの大活躍は嬉しいが、
この件に関する考え方や状況変化を、
今週のWeekendnewsSummaryが、
ダイジェストした。
それからDaily商人舎は、2本。
①食品表示法成立! 15年春から施行へ
これは1カ月前のDaily商人舎のニュースのつづき。
食品表示法一本化によって、
現場の仕事がまた変わる。
②ロサンゼルス市、レジ袋を全面廃止に
いずれも重要なニュースだ。
さて朝日新聞の経済コラム『経済気象台』。
日経新聞のコラムなどに比べると、
どうしても素人っぽさが抜けないが、
時にその素人っぽさが、
素朴な鋭い指摘になっていたりする。
今日は「コンビニの向かう先」
今日のコラムも、
コンビニが誕生してからの40年を、
素直な驚きをもって書いている。
全国で5万店を超え、
年間売上高は9兆円を超える。
サービス機能も充実。
それによってさまざまな影響が出た。
例えば、自動販売機台数は、
2000年から2011年までに10%減少、
販売金額は4分の3に減った。
昨年度の決算では、
セブン-イレブン、ローソン、ファミマ、
いずれも過去最高営業利益。
しかし既存店売上げは、
伸び悩んでいて、
だからカップコーヒー販売や、
飲食スペース併設を始めた。
これまで八百屋などの専門店や、
自動販売機の代替機能で伸びてきて、
こんどはスタバやタリーズの領域に
進出しようとしている。
ああ、すごいなあ。
「コンビニの機能は、
どこまでのびていくのであろうか?」
そんな記事。
この欄は、
第一線で活躍する経済人や学者が書く。
しかし業種間・業態間競争によって、
代替されていくのは当たり前のこと。
ある業態が驚くほどの伸びを示すならば、
それは取って代られる既存業種や業態の
衰退のスピードが速いから。
ある業態のサイズが大きければ、
取って代られる既存業種や業態の
市場規模が大きいから。
日本のコンビニの成長は、
それが奪ってきた業種店の
衰退スピードと市場規模に、
裏打ちされたものである。
食品スーパーマーケットこそ、
かつての商店街の八百屋、魚屋、肉屋、
そして公設市場の代替機能だった。
その代替するマーケットが縮小してくると、
成長のスピードは衰える。
その点、タイや中国の伝統市場、自由市場は、
まだまだ強大なマーケットだ。
だから彼の地のスーパーマーケットは、
将来的にはスピードアップしつつ、
巨大なマーケットとなるに違いない。
半分水が入っているコップの話。
ああ半分も入っていると考えるか、
まだ半分空だと思うか。
コンビニ業界はいつも、
間口をあけて、
あっちもこっちも、
水は半分空だと考えている。
スーパーマーケット業界は、
あっちからもこっちからも、
半分水が浸水してきたと考えすぎる。
そのマインドにおいて、
コンビニが勝り、
スーパーマーケットが劣る。
そんなことを考える。
さて日経新聞の『交遊抄』に、
村上篤三郎さん登場。
㈱たいらや社長。
このブログの常連で、
商人舎ファミリー。
商業経営問題研究会メンバー。
「ある体験を思い出すと身震いがする。
30歳代半ば、
西友ストアー駒沢店の店長を任された。
本部から視察に来た常務が
目にしたのは不良在庫の山。
段ボールのホコリをサーッと指でかき取り、
常務は私のワイシャツに擦りつけた」
この表現力、
村上さん、
ただ者でないことがわかる。
「殴られこそしなかったが、
これほど商品管理の大切さが
身に染みたことはない。
その常務は中島侑三さん」
村上さんの交遊抄は、
中島侑三さんとのエピソード。
危機管理に当たった企業戦士の中島さん。
「人が助けてくれると思うな」。
危機管理は1人の責任者が自己完結し行動せよ。
それが中島さんの持論。
「経営に携わるようになった私は
その言葉の重さをかみしめている」
現在は、リタイアし、
世界遺産を描く画家として活躍。
「頂いた絵を見るたび、
厳しくも優しい先輩の忠言が心に響く」
かつての西友は、
素晴らしい人物を輩出した。
村上さんもその一人だが、
私にも上野光平先生をはじめとして、
西友には素晴らしい先達が多い。
何しろ私はかつて、
西友ストアー時代の課長研修に、
特別参加した経験を持つ。
実は西友通のジャーナリストでもあった。
現在の㈱アップルランド社長の小磯恵司さんは、
その課長研修の同期生。
村上さんの交遊抄を読みながら、
懐かしい日々のことを思い出した。
今日は商人舎ファミリー活躍の日だった。
うれしかった。
〈結城義晴〉