「普天間問題」と大岡政談「三方一両損」と「国民の増税覚悟」
鳩山由紀夫内閣の支持率。
どんどん下がってきた。
読売新聞、日経新聞だけでなく、
民主党支持の朝日新聞や、
国営放送のNHKまで、
それを報じる。
普天間の問題の解決法は、
いかにあるべきか。
本来、それが論じられねばならない。
大岡政談の「三方一両損」
この問題は、それぞれに、
損をするしかないと思う。
江戸の大岡越前のもとに、
事件が持ち込まれる。
三両の金を拾った者。
その金を落とした者。
どちらもいらないと言い張る。
江戸っ子気質だ。
そこで大岡越前は、
懐から自分の一両を出して、
四両の金にする。
四両を二両ずつ、
落とした者、
拾った者に、
分け与える。
「落とした者は三両損するところ、
二両で済んだから一両の損」
「拾った者は三両もらえるところ、
二両に減ったから一両の損」
「奉行も一両の損」
これで両者、納得。
これが、「三方一両損」の話。
普天間の問題など、
まさに三方がそれぞれ損をしなければ、
解決はない。
もっといえば、
損得を超えて、論議する。
ここに至らねば解決はない。
「損得より善悪を」
商売の極意だが、
それはまず、自ら率先して、
「損を覚悟すること」から始まる。
日経新聞のコラム「大機小機」。
コラムニスト文鳥氏が語っている。
「日本国民も大増税を覚悟すべき時期を迎えている」
資本主義社会に内在する矛盾。
1世紀半も前に、それを指摘したのは、
カール・マルクス。
しかし世界恐慌を救ったのは、
ジョン・メイナード・ケインズの裁量的マクロ経済政策。
一方、社会主義はベルリンの壁の崩壊とともに、
実質的な消滅を見た。
その「冷戦後の世界秩序をリード」したのは、
新自由主義だった。
これは「市場原理的な経済システムを体現」していた。
私は、どちらかといえば、
この市場原理的な経済理論の中で育った。
しかしそれも、「サブプライム恐慌」によって、
「経済システムのメインストリームから転落」した。
そこで復活したのが、ケインズの理論。
「公的部門が民間部門の債務やリスクを引き受けた」。
文鳥氏の説明は簡潔だ。
ギリシャ問題も同様。
しかし公的部門が民間部門を助けても、
根本の問題は解決されていない。
「経済全体として大きいな債務を抱えている」ことには、
何ら変わりないからだ。
「未曾有の公的債務」を「市場が信頼する方法」で、
しかもそれを「処理する見通し」がたたねばならない。
「国民の大増税覚悟」
国民に「損得」の「損」を覚悟してもらう。
これが、現下の政権の問題解決の方法だ。
「むずかしいからおもしろい」
商人舎今月の標語。
商売の極意は、
政治の極意に通ずる。
<結城義晴>