結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年07月24日(水曜日)

北海道ダイイチ・ヨーカ堂提携と日経コンビニ調査の見方と勘所

北海道の㈱ダイイチの株価が動いている。
今日はストップ高で、
最高1305円をつけた。

昨日の日経新聞夕刊に、
「ヨーカ堂、ダイイチに3割出資」の見出し。

ダイイチは北海道のスーパーマーケットで、
2012年9月期連結売上高316億円
経常利益7億円

2004年にジャスダックに株式公開。
帯広市出身の企業で、
この地に本部を置き、
帯広、旭川にドミナントを築く。

そのダイイチが、
イトーヨーカ堂と資本提携

昨日7月23日のこと。

イトーヨーカ堂が圧倒的な筆頭株主になって、
ダイイチは実質的に、
セブン&アイ・ホールディングスの傘下に
入っていく。

この件に関しては、
商人舎magazine。

Weekly Specialに急きょ、
解説原稿を執筆する。

今夜の私の仕事となる。

一方、日本政府が正式にTPP交渉に参加。
環太平洋経済連携協定にわが日本が参画することで、
日米を軸とする巨大な貿易圏が誕生する。

これも大きな変化だ。

さらに今日の日経MJは、
第34回コンビニエンスストア調査。

日本は世界一のコンビニ王国。
その全面調査だけに、
実に重要で、面白い結果。

是非、購入して、手元に置いてほしい。

日経新聞は、
コンビニの定義を4つ上げている。
①セルフ販売
②飲食料品を扱う
③営業時間が1日14時間以上
④売場面積が30㎡以上250㎡未満中心

これは商業統計の業態統計に則っている。

日本の業態定義は、
この4つの中の3つの条件で、
分類されていると考えてよい。

まず、商品領域は食・衣・住のいずれか、
あるいはそのどれでもないか。
次にセルフ販売方式か否か。
さらに店舗規模、すなわち売場面積は、
どれくらいか。

これにコンビニの定義だけ、
営業時間が加わる。
日経の定義と同じ14時間。

しかし営業時間に関しては、
朝7時から夜11時の「セブン~イレブン」でも、
16時間。
この商業統計と日経の定義は、
私は実情に合わないと思う。

売場面積に関しても、
上限の250㎡は、
コンビニとは考えにくいが、
まあこれは許そう。

その今年の統計、
1店当たり平均日販は、
セブン-イレブンがトップで66万8000円。
ローソンは9位で54万7000円、
ファミリーマートは10位で52万3000円。

1998年8月、私は、
取締役編集担当兼『食品商業』編集長の時に、
季刊『コンビニ』を創刊した。
その後、隔月刊から月刊へと、
経営雑誌『コンビニ』は発展成長したが、
当時のコンビニの日販は、
セブン68万円、
ローソン、ファミリーマートは40万円台だった。

セブンがちょっと減って、
ローソン、ファミリーマートが追い付いた。
だからずいぶんと差が縮まった。

しかしそれでもまだまだ、
大きな差がある。

感慨深い。

セブン-イレブン1万5072店、
ローソン1万0976店、
ファミリーマート9481店。
もう、5ケタチェーンが3社になろうとしている。

今日の日経MJは一面に、
「コンビニ アジアに沃野」の特集。
しかしこれは、「すべった」と思う。

2面3面は商品問題。
「総菜や生鮮 品目拡大」
「PB、高品質で独自色」

これらの記事は大いに整理になる。

4面は「顧客獲得へスマホ駆使」。
これもいい。

5面は「セブン動き陣取り白熱」。
私はこの部分が一番、
コンビニ業界を俯瞰するに重要なものだと思う。

日本地図に、
コンビニの都道府県別店舗数トップ企業が、
色分けされている。

北海道はセイコーマート。

東北の北側3県はローソン。

南東北と関東山静信越はセブン。

中部の愛知、岐阜、三重、金沢は、
サークルKサンクス。

富山、福井、近畿、四国、山陰はローソン。
近畿のなかで滋賀はセブン。
山陽道の岡山、広島、山口はセブン。

九州は、福岡、佐賀、熊本、宮崎がセブン、
大分はローソン、
長崎、鹿児島、沖縄がファミリーマート。

47都道府県のうち、
セブンがトップのエリアは22都県、
ローソンは17府県、
サークルKサンクスが4県、
ファミマが3県、
セイコーマートが1道。
セブンが出店していない県は、
青森、鳥取と沖縄、
それに四国の愛媛、高知。

昨年、3月鹿児島、5月秋田、
今年、3月香川、徳島に進出。
すぐにも愛媛、高知に展開の予定。

ローソンは1997年、
沖縄に進出して
全都道府県制覇をしている。

まだダイエーのローソンだったころ。

ファミリーマートは2006年に、
47都道府県出店を果たしている。

セブンはかたくなにドミナント主義を貫き、
まだ5県を残す。

最後の出店は沖縄だろうが、
青森、鳥取を保留して、
四国をターゲットにしている。

どんな小売業も、
内部のシステム構築や、
商品調達、商品開発の力が、
日販格差や売上げの差異につながるが、
コンビニは100㎡の小型店で、
しかもほとんどが、
フランチャイズチェーン方式を採用している。
だから面取り合戦の色彩は非常に強い。

もう数年のうちに、
ビッグ3による
全都道府県での競争が展開され、
それは10年のうちには、
結論が出る問題となる。

おそらく、寡占から三占、
場合によっては複占へと、
移り変わっていくに違いない。

もちろん、Nicheなコンビニは、
日本中で生き生きと商売を続けるだろうが、
チェーン・コンビニは、
三占から複占へ。

今回の調査でも、
そのことは明らかとなっている。

コンビニの方向性は見えるが、
スーパーマーケットやドラッグストア、
ホームセンターはどう変わるか。

ダイイチのヨーカ堂傘下入りは、
その変化の兆候の一つではある。

〈結城義晴〉


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