結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年03月13日(木曜日)

川内原発再稼働に向けた決定と春闘ベースアップの信頼の絆

原子力規制委員会が、
鹿児島・川内原子力発電所の安全審査を、
優先することを決めた。

川内は「せんだい」と読む。

これは「脱原発」「反原発」、
あるいは「卒原発」を排する決定。

「反原発」とは原発に反対する立場、
「脱原発」は原発ゼロにするという立場、
「卒原発」は段階的に原発ゼロにする立場。

一部にひどく評判の悪い田中俊一規制委員長、
「川内原発1、2号機は基本的には
大きな審査項目をクリアしている」。

この後、行われるのは、
まず原発の基準適合状況を示す「審査書」づくり、
さらに一般からの意見募集と公聴会の実施。

最短でも2カ月ほどかかり、
この夏には再稼働する。

福島原発事故の後、その「規制」は、
地震・津波リスクを厳しく見積もって刷新された。

川内原発は福島事故前の地震・津波想定を、
大幅に引き上げて安全対策を強化。
そのうえで、審査主要項目をほぼクリアしたとされる。

しかし、2月に福島を訪れて、
こちらにはまるで目途が
立っていないことを認識させられた。

まずは福島だと思う。

支持政党やイデオロギーは抜きにして、
そのうえで日本経済全体のことを鑑みても、
何よりも福島問題に解決の目途が立たないうちの、
再稼働は納得できない。

敢えて言えば、
福島の人々の「犠牲(?)」は、
この問題解決の確認なしの再稼働によって、
活かされないことになる。

残念だ。

一方で、日経新聞一面トップの調査は、
明るいニュース。

2014年春闘のベースアップ状況。
国内主要企業の社長・会長・頭取を対象に実施、
合計回答数は101社。

賃上げ回答したのは52社。
このうち、ベア実施は36社、7割。
引き上げ幅で最も多かったのが、
「0.5%以上、1%未満」で21社、約40%。
次が「0.5%未満」で9社、約17%。

さらに「1%以上、1.5%未満」が4社、約8%。

労働組合側の表現では、
「雀の涙」。

しかしこれまでと比べると、
天国と地獄。

理由の第1は、42.6%が、
「従業員の士気を高めるため」。
第2の22.8%が「業績が回復したため」。

記事の中に、
セブン&アイ村田紀敏社長のコメント。
「今回は先行きへの期待を込めて回答した」。

ベースアップは、基本給の昇給額。
企業全体の生産性向上が反映されたもの。
インフレなどの要因も加味される。

もうひとつ定期昇給がある。
こちらは企業の業績に関係なく、
1年勤続することで積み上げられる昇給分。
例えば30歳の人が1年経ったら、
去年の31歳の人と同じになるよう昇給する。

今年の春闘のベースアップは、
生産性向上が反映されたもの。
業績や生産性は、
企業ごとに異なる。

日経の調査の101社は、
上場主要企業。

だからすべての企業で、
嬉しいベースアップとなるわけではない。

しかも各社の中長期的な総人件費方針は、
約44%が「現状維持」、
約18%が「減る」。
合計で6割以上。

結論は、「足元の業績は回復傾向」、
「将来をにらんで人件費増にはなお慎重」。

これはそのまま消費に反映される。

ベースアップ情報などに、
敏感でなければいけない。

それが商売の動向に、
跳ね返ってくるからだ。

それが、マスになると、
客単価や買い上げ点数に影響を与える。

ただし、来店客数は、
このトレンド変化とは異なる。

客数は店への信頼の絶対的な指標である。
だから私は客数主義を唱える。

今日は、午後から、
JR横浜線の中山駅へ。

㈱アイダスグループを訪問。
代表の鈴木國朗さんと対談。
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月刊『商人舎』4月号に、
鈴木さんにご登場いただいて、
存分に持論を展開していただく。

実に刺激的な対談となった。

大切なのは、
科学的態度と信頼の絆。

原発問題も、
ベースアップも、
科学的態度抜きには、
問題解決できない。

そして信頼の絆を築かねば、
進化はない。

〈結城義晴〉


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