ラスベガス視察初日は業態網羅とテイスティングの夕べ
長い長い一日だったので、
日本時間では昨日のことになってしまうが、
ユナイテッド838便で、
成田空港を飛び立ったのが、
14日16時45分。
眼下の千葉県の水田が美しい。
悪いたとえだが、
まるで洪水に襲われたよう。
こんな光景はアメリカやヨーロッパにはない。
すぐに九十九里浜が見えてくる。
それから5時間ほど。
太平洋の真ん中。
ちぎれ雲が大洋を覆う。
さらに雲が増して、一面、白世界。
9時間ほどして、
北アメリカ大陸が見えてきた。
飛行機雲が真上に伸びる。
目を下に向けると、
サンフランシスコ郊外。
ベイエリアは内海。
その内海にかかるサンマテオ・ブリッジ。
そしてサンフランシスコ国際空港に到着。
初渡米者が多い第16回商人舎海外研修会組だが、
皆、元気にアメリカの地を踏む。
入国手続きを済ませて
ラスベガス行に乗り換えるが、
私はその合間にも、
パソコンを開いて仕事のチェック。
空港のビジネス環境は格段によくなっている。
Wi-Fi端末さえあればどこでも仕事ができる。
私にはとてもありがたい。
UA1263便に乗り込んで、
ラスベガスへ。
ユナイテッド便の前を行くサウスウェスト機。
ブルーとレッドの特徴的な機体。
LCCとホスピタリティで名高い。
飛び上がるとサンフランの空港全景。
そして再びベイエリアの全景。
一番奥にサンフランシスコ・ダウンタウン。
シエラネバダ山脈には山頂に雪がかかる。
広大な砂漠。
そして見えてきました。
ラスベガス渓谷の都市。
いちばん南側は開発されたばかりの住宅地。
中心部に近づいても、
砂漠の中の街であることがわかる。
そしてその中心街のストリップ。
1時間半のフライトでラスベガスに到着。
空港ではマリリン・モンローが出迎えてくれた。
アメリカに着いた途端、やりました!
ヤンキースの田中将大投手。
ところはニューヨーク・シティフィールド。
同じニューヨークを本拠地とするメッツとの交流戦。
大リーグでの初完封。
見事。
開幕から無傷の6連勝。
不調ヤンキースの4連敗を、
ひとりで止めた。
アメリカの地を歩いていても、
鼻が高い。
一方、アメリカ食品産業でも経営統合の動き。
「ジェイコブズ・ダウ・エグバーツ」。
新会社が誕生して世界のコーヒーマーケットで、
15%シェアのトップ企業となる。
「ジェイコブズ」はコーヒーのブランドだが、
モンデリーズ・インターナショナル社が有する。
同社は米国菓子大手メーカーで、
チョコレートクッキー・オレオやクラッカー・リッツは、
日本でも有名。
「ダウ・エグバーツ」ブランドは、
オランダのDEマスター・ブレンダーズ社のもの。
両社が統合して、
2015年中の手続き完了予定。
現在トップのネスレのコーヒー市場占拠率は12%。
新会社はそれを抜いて、
年商70億ドル(約7000億円)を見積もる。
コーヒーの世界市場規模は、
販売量ベースで約810億ドル。
前年比5%の伸長率だが、
伸びるマーケットでM&Aが起こり、
上位企業の占拠率がさらに高まる。
このトレンドは、
アメリカチェーンストアでも変わらないし、
日本の産業全体の潮流でもある。
さて、ラスベガスに着いたら、
すぐに専用バスで視察店舗へ直行。
バスの中で最初の現地講義。
向かったのはもちろん、
ウォルマート・スーパーセンター。
2014年1月末期売上高4762億9400万ドル。
100円換算で47兆6294億円。
その伸び率1.5%。
純利益は160億2200万ドル、
1兆6022億円。
世界で1万0957店、
米国内では4838店を展開。
世界ナンバー1小売業。
そのウォルマートをけん引するのが、
最強のフォーマット「ウォルマートスーパーセンター」。
ラスベガスのアローヨ地区の繁盛店を最初に訪問。
アシスタントマネジャーのジョッシュさんに、
インタビュー。
通訳はJACの五十嵐ゆう子さん。
アローヨ地区に着任して3週間だが、
ラスベガス地区の店舗で15年勤務するベテラン。
高校時代にウォルマートでアルバイトをし、
そのまま入社。
生粋のウォルマート・マン。
数値を見ながら丁寧に、
インタビューに応えてくれた。
参加者もメモを取り、的確に質問。
ジョッシュさんに感謝。
アローヨ・ショッピングセンターには、
有力業態が配置されている。
ウォルマート・スーパーセンターに隣接し、
ホールセールクラブのサムズ・クラブ。
ペッツマートやベビーザらス、
オフィスサプライ、ベスト・バイと、
専門カテゴリー業態を視察。
こちらはホーム・デポ。
ホームセンターナンバー1企業。
食品産業に携わっていても、
アメリカに来たら業態を、
網羅してみなければならない。
そうでなければ、
競争の本質が見えてこない。
ジョッシュさんがインタビューに応えている。
「衣料品はロス、ペットはペッツマート、
家電はベスト・バイと競争している。
サムズ・クラブとも競合関係にある。
ショッピングセンター内の専門業態がすべてライバルだ」
ホーム・ファッションのベッド&バス・ビヨンド。
オフプライスストアのROSS。
ラスベガスにしては、過ごしやすい気温。
だが、日差しは厳しい。
スモーキング組も日陰で一服。
今回の研修会では初めて、
初日の夜にテイスティングを企画。
ホールフーズとトレーダージョーで、
PB食材を購入。
キッチンつきのホテルで、
実際に調理して味わってもらう。
両社のPBを実食して研究するのが、
狙いだ。
そのホールフーズ・マーケット。
2013年9月期の売上高129億1700万ドル、
もう1兆2917億円にもなる。
伸び率は10.4%、既存店伸び率も6.6%。
純利益5億5100万ドル、551億円。
18.2%のプラス。
総店舗数も362店舗で、
まぎれもない大商圏型のチェーンストア。
自分達が食べる食材を購入するとなると、
店舗視察とは違う見方ができる。
お客さまと同じように、
ショッピングを楽しむこともできる。
そしてトレーダー・ジョー。
売上高105億0000万ドル、
1兆0500億で16.6%増。
店舗数399店。
私も夕食を買い出し。
メインディッシュやデザートなどの冷凍食品と、
赤ワイン、テーブルフラワーなどを、
ずいぶんと買った。
チェッカーが、
購入した冷凍食品用エコバッグに、
商品を丁寧に詰めてくれる。
4人分総額で80ドルにもならない。
トレーダー・ジョーの価格は、
本当に魅力的だ。
宿泊は、レジデンス・イン・マリオットホテル。
事務局との今宵のディナーのために
私がテーブルセッティング。
真ん中のサラダボールには
ホールフーズとトレーダージョーのカットサラダを、
ミックス。
テーブルフラワーは真紅のバラ。
4ドル99セント也。
赤ワイン2本、ビール6本パックを用意。
手前にあるのはハードタイプのチーズ。
調理は、現地コーディネーターで主婦の五十嵐ゆう子さん。
鍋ではホールフーズのフレッシュソーセージをボイル。
サラダ、スモークサーモン、
ボイルドソーセージが前菜。
メイン料理は、冷凍食品のビーフシチュー、
シュリンプのハーブ焼き、
ブラックトリュフとマッシュルームのピザ。
冷凍ピラフ、冷凍チーズケーキ、
それにカットフルーツが残ったが、
満腹なので、明日の朝食にしよう。
お腹もひと段落したところで、
事務局スタッフとともに、各階各部屋を巡回。
みんな、どんなメニューで、
楽しんでいるのだろうと、
まずは、2階フロアへ。
エレベータを出ると、
廊下にはステーキの匂いが充満。
誘われて向かった先は、
ロピアチームの部屋。
特大のステーキを調理中。
しかもテーブルの上には、
食べきれないほどの大量の料理。
さらに冷凍庫はごらんの通り。
調理台やダイニングテーブルにも、
山と積まれた料理の数々。
ロピアの人間は本当に、
よく買って、よく食べる。
食べて、味わい、判断する。
これは高木勇輔社長をはじめ経営幹部も同じ。
ロピア精神ともいうべきものだ。
一方、男3人で行儀よくテーブルに着き、
食べたいものを食べられる量を購入し、
ディナーを楽しむチームもある。
これもまたよし。
こちらのチームは、
五十嵐ゆう子さん推薦の食材を購入。
調理法がよくなかったせいで、
今一つだったビーフシチューも、
五十嵐さんが鍋でひと手間かけたら、
おいしくなったと大満足。
スーパーマーケットは、
お客さまにメニュー提案するときに、
このひと手間の調理提案が大事になる。
トレーダー・ジョーのPBワインの美味しさに、
感動したチーム。
部屋着ですっかりくつろいでいる。
キッチンつきホテルの醍醐味は、
このカジュアルさ。
こちらはなぜか大所帯で、
夕食を楽しんだチーム。
いろんな企業が集まり、
コミュニケーションするのもよし。
ただ、これだけの人数。
あっという間に食べ尽くし、
お皿の数がもう少ない。
そこで、大量に食材を購入して、
食べ残しているロピアの部屋に押しかけようと、
号令をかける。
集まってきました、続々と。
椅子にベッドに、床に座って、
皆が熱心に聞いてくれるから、
いつしか結城義晴の、
アメリカ小売業の講義になってしまう。
最後は集まった全員で記念写真。
ラスベガス視察初日はこうして無事に終了。
皆、元気にやっています。
皆、元気に食べて、味わい、研究しています。
明日からはさらにハードな研修が待っています。
彼らはそこで、
小売業のダイナミズムと楽しさを学びます。
だから派遣してくださった企業の皆様、
彼らの変貌をご期待ください。
結城義晴が約束します。
と、長い長い初日、
長い長いブログとなった。
つづきます。
〈結城義晴〉