イオンビジネススクール基調講演と「消費陣形4・2・4」の是非
今日は海浜幕張へ。
イオンビジネススクール合同入学式。
イオンタワー3階ホールには、
全国から319名の受講者が集まった。
今年は志願者が多く、
選抜された優秀な参加者ばかり。
まず、イオンリテール㈱社長の梅本和典さん。
朝からの会議を抜け出して、
1時間の講演。
「ビジネススクール受講生に期待する」
私も一番後ろの席で聴かせてもらった。
実に率直なトップの姿勢が出ていたし、
梅本さんがずいぶんの、
読書家であることも、
勉強家であることも、
努力家であることも、
よくわかった。
受講生は全員が、
身を乗り出して聞いていた。
そのあと、30分の休憩があって、
結城義晴の紹介。
私の基調講演テーマは、
「商業基幹産業化と知識商人の役割」
商業の基本理念と、
倉本長治の『商売十訓』、
ドラッカー・マネジメント本質。
商人の原点の話ばかりした。
それから「賢者は歴史に学ぶ」で、
商業近代化の歴史、
顧客満足と従業員満足の両立、
知識商人の役割などを語った。
21世紀の商業基幹産業化は、
知識商人によって成し遂げられる。
イオンピープルに向かって、
私なりのエールを贈った。
語るほどに、
受講者の目がどんどん輝いてきた。
10分オーバーして100分間の講義。
ご清聴を、感謝したい。
終了後、イオン歴史館を訪問。
イオンタワー2階にある。
案内してくれたのは、
イオンビジネススクール担当の細田昌幸さん。
イオンリテール㈱人材育成部部長。
講演後の帰りは心地よい疲労と満足感。
梅雨とは思えない晴天のもと、
急ぎ、横浜の商人舎オフィスへ。
オフィスで打ち合わせ後、会食。
そのお相手は、
久恒整さんと猪股信吾さん(左)。
久恒さんは1worldsyncの、
ビジネスデベロップメントマネジャー。
㈱BOSENの代表でもある。
猪股さんはWebサイトアナリストで、
デジタルビジネスコンサルタント。
2人との話は実に有意義だった。
日本の流通業のインフラにイノベーションを。
そんな話で大いに盛り上がった。
月刊『商人舎』で企画する予定。
乞うご期待。
さて日経Web刊。
『ニュースこう読む』
「増税後、消費の陣形は4・2・4」
流通サービスの専門家・中村直文編集委員が語る。
「4月の消費税率のアップ後、
個人消費は『4・2・4』の陣形になっている」
出だしが面白い。
「少しランク上の商品を購入する層が4割、
何も変えないのが2割、
節約志向をさらに推し進めるのが4割」
国内消費階層が三つに分かれてきた。
電通総研消費研究部の袖川芳之さんの指摘。
「もはや日本は1つの消費マーケットとして、
とらえてはいけない」
これが袖川さんの主張。
成熟社会は、
ひとつの消費マーケットではない。
ヤオコー会長の川野幸夫さんが、
よく言う。
「昔は十人一色だった。
それが十人十色となり、
今、一人十色となった」
十人一色ではないと、
袖川さんも分析するが、
まあ、当たり前。
日経MJの上半期ヒット商品番付。
横綱は「格安スマートフォン」。
利用料が携帯電話大手の半額以下。
一方、大関はちょい高の「価値組消費」。
高級スーツやファミリーレストランのお肉メニューなど。
「価値組」は「勝ち組」のダジャレ。
「消費市場は全く逆の動きがけん引」。
中村さんが指摘。
私の表現では、
「コモディティとノンコモディティの消費が、
同時に起こる」。
先進国共通の現象。
アメリカでは、
「トレーディング・アップ」といったりする。
記事はまずは4割の節約派向け戦略事例を挙げる。
イオンの小型ディスカウントストア「アコレ」。
2016年度までに首都圏で、
現在の3倍弱の250店に増やす。
ドイツのアルディタイプ。
成熟社会で機能を発揮する。
100円ショップ・セリアの既存店売上高。
今年4月も前年同月比2.1%増、
5月は同4.1%増。
消費増税後も衰えを見せない。
さらに西友も堅調。
「ウォルマートカード」の割引率を、
3%に固定化したら、
利用者増に拍車がかかった。
一方で、ランクアップ派の4割を取り込んだ企業。
ロイヤルホストは既存店売上げを伸ばし、
吉野家では牛丼より高い牛鍋の人気が高い。
百貨店松屋のスーツ売場でも、
「高めの商品」が売れる。
ランクアップ派の中身は二つに分かれる。
「シニア層と10代~20代前半の若者層」。
そして、「シニアは量より質。
若者は基本的に無駄遣いを嫌う」
しかしこのクラスマーケティングも、
やや古い。
私はID-POSで個別の購買行動を、
しっかり分析するべきだと考えている。
特にランクアップ派は。
そしてこれが私のポジショニング戦略。
記事は、失敗の事例も上げる。
トライアルカンパニー。
ちょい高志向に対応して、
一部の価格帯を上げた。
増税後は苦戦。
自分のポジショニングからずれた。
すると顧客は離れる。
ユニクロは8月以降に、
「初めて値上げ」。
中村さんの読み。
「階層がはっきりしてきた中で、
節約派からの支持以上に、
2割の中間派、
ランクアップ派を取り込む狙い」。
しかしこの分析は、
ユニクロの戦略を言い当ててはいない。
ユニクロは、
アウトスタンディングなポジショニング戦略で、
客層を広げてきた。
「値上げ分以上のベネフィット」を商品化して、
節約派も中間派も、そしてランクアップ派も、
獲得しようとしている。
重要なのは、
際立ったポジショニング戦略で、
客層を広げていくことだ。
そこんとこ、
よろしく。
〈結城義晴〉