ダラス一気に9店舗駆け巡り、元気組と企業統合組の明暗に愕然
テキサス州ダラス。
初日は、日本を発って、
長い長い一日。
次の日は、
熱の入った講義と怒涛の視察。
これがある種、自然に決まったパターン。
テレビのゴルフチャンネルでは、
延々とThe Openの番組をやっている。
イギリスのロイヤルリバプール。
世界4大ゴルフ大会の一つ、
全英オープン。
北アイルランドのロリー・マキロイが、
首位に立っている。
しかしこちらのテレビでは、
タイガー・ウッズのことばかり、話題にする。
1分の間に、4回も5回も、
「タイガー・ウッズ」という言葉が発音される。
「ウッズ」だとか「タイガー」だとかは言わない。
「タイガー・ウッズ、タイガー・ウッズ」
そのタイガー・ウッズ、
3アンダーの10位タイ。
日本期待の星・松山英樹も
5バーディ・2ボギーの69で10位タイ。
日本では「松山、松山」なんだろう。
こちらにいるうちに決着がついてしまうから、
タイガー・ウッズの動向だけは、
克明に知ることができる。
さて二日目のダラス。
リーンカーンヒルトンダラス。
朝から講義。
毎回毎回、
講義のストーリーは異なる。
それぞれに企業に合わせて、
狙いを鮮明にして、
カリキュラムをつくり、
そして講義する。
1週間も時間があるのだからと、
講義に脱線が生じる。
しかしその脱線が、
その企業にとって有益であることが多い。
今回は「マーケティング3.0」を、
冒頭で語った。
滋賀県の平和堂。
近江商人の発祥の地のチェーンストア。
「売り手良し、買い手よし、世間良し」
さらに平和堂は、
成瀬義一先生の教えを守っている。
「商人よ正人たれ」
それがマーケティング3.0と重なっていた。
あっという間に2時間が過ぎる。
そしてバスに乗り込んで、
ダラス地区を駆け巡る。
まず、ここ。
コストコは、
1年間に7回、祭日の日に、
店舗の休業日を設ける。
書き入れ時に、営業しない。
従業員に家族や親しい人と、
過ごしてもらいたいからだ。
コストコはそれを優先した企業なのだ。
そのコストコで、大発見。
入口のこの売場。
商人舎Magazineで書こう。
木曜日の午前中にもかかわらず、
店内では至る所で試食販売。
そのうえ、メンバーに加わって、
写真に入ってくれた。
コストコは、いままた、
大きなイノベーションを起こそうとしている。
次は、ウォルマート・スーパーセンター。
ウォルマートも変わろうとしている。
「エブリデー・ロー・プライス」の
パネルやPOPの色が、
濃いブルーに変わった。
だから逆に「RollBack」の赤が、
目立つようになった。
そしてロールバック・アイテムが、
極端に少なくなった。
今日は、棚卸しの日。
RGISグループが、
7000坪の店を3班に分かれて、
専門に棚卸し作業をする。
ウォルマートは、
こういったオペレーションの改善改革に、
本当に熱心な会社だ。
そしてBack to School対策。
これも商人舎magazineで、
丁寧に報告するが、
店ごとに地域の学校のリストを用意する。
周到なBack to School対応。
それが全世界で47兆円の年商の礎になっている。
そのウォルマートのスーパーマーケット。
ネイバーフッド・マーケット。
アルバートソンが撤退した物件への、
居抜きでの出店。
これが勉強になった。
これも商人舎Magazineで、
報告しよう。
Back to School商戦対策は、
ネイバーフッドマーケットでも、
抜かりなく展開。
さすがウォルマート。
それから全米第2位のスーパーマーケット、
セーフウェイ傘下のトムサム。
サーベラスに買収されて、
アルバートソンと統合される。
店は死んだようだ。
店長のインタビュー。
「上のほうでやっていることは、
現場には全然関係ないわよ」
さらりと語った彼女は、
フロントエンドのホスピタリティを、
この店の武器にしていると強調した。
そして、統合相手のアルバートソン。
こちらはトムサム以上に、
元気がない。
20世紀ならば理想だった条件を、
いまも備えた店舗。
しかし21世紀には、
「普通すぎる店」で、
イノベーションのかけらもない。
元気のない2社の後は、
逆に元気のある企業群。
アルディ。
1万平方フィートの小型ディスカウンター。
凄いイノベーション。
この店も商人舎magazineで紹介しよう。
そしてスプラウツ・ファーマーズマーケット。
昨年8月に株式上場して、
元気いっぱい。
ストイックな会社が、
極めて営業的になった。
不思議だ。
その隣のダラー・ツリー。
ダラーストア業界第3位。
元気一杯の1ドルショップだ。
最後にHEBセントラルマーケット。
フーディーズのシェリーさんが、
インタビューに答えてくれた。
店は素晴らしい。
アソシエーツも、
実にフレンドリー。
子の人、クリスマスには、
サンタクロースになる。
こちらもフレンドリー。
福嶋繁団長と写真。
9店舗を一気に駆け巡った。
元気のいい会社と元気のない会社。
明暗がはっきり。
その理由はたった一つ。
イノベーションが続いているか。
大きなイノベーションは、
必ずしも必要ない。
小さな持続的なイノベーション。
それをマネジメントし続けられるか。
企業の生死は、
Innovationがっ続けられるか否かにある。
だから、今年の標語。
こまかく、きびしく、しつこく、なかよく。
(つづきます)
〈結城義晴〉