結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年07月13日(火曜日)

清水信次さん84歳とつかこうへいさん62歳の「いつか公平」

日曜日の午後8時ジャスト。
NHKは投票終了と同時に報じた。

「民主党敗北、自民党勝利」

この瞬間、有権者の楽しみは消えた。
少なくとも私は、一晩中、
選挙速報を楽しもうと思っていたが、
それが一瞬にして、霧散した。

その直後、蓮舫議員の当確が打たれた。

たった1分。

迅速な報道をモットーにしているとは言うものの、
実際に開票されてもいないのに、
勝手に「当選確実」を知らせて、
視聴者の楽しみを奪ってしまう。

このテレビの傲慢さには、
私、怒り心頭。

選挙は、マスコミ、特にテレビに誘導されている。
だからみんなの党のように、
テレビの主張と同じ政策を掲げた政党に票が集まる。

テレビ各局の「参院選特番」の平均世帯視聴率(関東地区)。
ビデオリサーチ調査。

NHKの「参院選2010開票速報」が18.8%でトップ。
日本テレビ「ZERO×選挙2010 第一部」が9.7%。
テレビ東京「池上彰の選挙スペシャル」が意外に健闘し9.3%。
TBS「乱!参院選2010 第一部」が9.2%、
テレビ朝日「選挙ステーション2010 第二部」は9.1%、
最下位はフジテレビ「FNN踊る大選挙戦2010」が8.2%。

NHKが真っ先に国民の興味を削いでしまったために、
あとはテレビチャンネルをくるくるスイッチさせつつ、
持って行きようのない気分を散らばすしかなかった。

蓮舫行政刷新担当相が各テレビ局を移ってゆくのを、
追いかけたくもないのに、追いかけてしまった。

この選挙でも、制度の矛盾が発露した。

選挙区での落選者のうち、
最多得票は私の選挙区・神奈川の千葉景子法相。
得票数69万6739。

選挙区当選者で最小得票は、高知の広田一氏。
13万7306票。

この倍率は5.07倍。

5倍以上も得票して落選、
5分の1以下の得票で当選。

これを「1票の重みの格差」と表現するが、
前回の2007年の参議院選挙は4.16倍だったから、
格差は拡大した。

ちなみに、全国最多得票は東京選挙区の蓮舫議員。
171万734票。

誰かに分けてもらいたいくらい。

もうひとつの矛盾点。
参院選比例代表の投票方式は「非拘束名簿式」。
本来は候補者名で投票するが、政党名でも可とする。
今回、党名での投票の割合は74.9%だった。
これは過去最高。

候補者名の投票割合は、24.9%。
こちらは回を追うごとに下がり続けている。
2001年35.0%、2004年30.6、2007年29.5%。

その結果、また格差が開く。

党名での投票率が最も高かったのは、共産党の91.3%。
次いで、みんなの党90.8%。
党名の票が多く、個人名の票が少ない。
結果として、みんなの党の最小得票当選者は、
3万7000票余りで参議員議員となってしまった。

候補者名での投票率が高いのは公明党の53.3%と国民新党の51.8%。
国民新党現職の長谷川憲正氏は40万票余りの得票で落選。

40万票と3万7000票。
10分の1以下での当選。

蓮舫議員の172万票と比較すると、3万7000票は2.15%。
なんと2%で当選。
日本の選挙制度は、もっともっと、
「公平」さを追求しなければならない。

昨日は朝から、東京・日本橋。
参議院選に立候補した清水信次候補の報告会。

まず選対事務局長の並木利昭㈱ライフコーポレーション常務取締役から挨拶。
「民主党比例区は結果として、16議席だった。
前回は20議席だったが、民主党を取り巻く環境が悪化していたことは否めない。
連合系当選議員の得票も、前回は20万票だったが、今回は10万票台。
選挙区での得票も今回は半分くらいと、全体に落ち込んだ」

「全国でご支援をいただいたが5万4000票ほどだった。
事務局の力不足をお詫びし、お礼申し上げたい」

そして清水信次さん。
㈱ライフコーポレーション会長にして、
日本スーパーマーケット協会名誉会長、
日本セルフ・サービス協会名誉会長。
「これが現実の姿なんですね。
現実を直視して、
いまさら敗戦の将が兵を語っても仕方ない」

「しかし、日本はこのままでいいのか。
いまの選挙制度は、戦前と変わらない。
太平洋戦争であれだけの犠牲を払っても、学習していない。
自民党は戦後、よくやったと思う。
吉田、岸、佐藤、中曽根まではよくやった。
しかし、その後、おかしくなった。
今の民主党は社会党政権に近い。
このままでいいはずはない」

「3年後は601名改選の総選挙だ。
衆議院480名、参議院121名。
私は、今回の経験を活かして、
87歳で立候補するかもしれませんが、
その時には、また、よろしくお願いします」

「私は3度、死んでいた。
その3度をなんとか切り抜けて、長生きしてきた。
今度の自身の選挙から、
気力・体力が充実してきた。
自信にもなった。
『負けるが勝ち』というが、
さらに生まれ変わって、頑張りたい」

最後は、参集者たちから盛大で暖かい拍手が送られた。

私は、清水さんの気力に、感動した。

そうは言っても日本の選挙制度。
「公平さ」を獲得しなければいけない。

「公平」といえば、
つかこうへいさんが逝った。

62歳。

なんとも、早すぎる逝去。
心から哀悼の意を表したい。

つかこうへいのペンネーム。
「いつか公平な社会を」との意味が込められているとの説がある。

福岡生まれの在日韓国人。
『蒲田行進曲』が有名だが、
私は『幕末純情伝』も好きだった。
渋谷の西武パルコ劇場で観た。

遺書が残されていた。
「友人、知人の皆様、つかこうへいでございます。
思えば恥の多い人生でございました。
先に逝くものは、後に残る人を煩わせてはならないと思っています(後略)」

恥の多い人生。

この言葉に共感しない者はいない。

84歳の清水のぶつぐさん。
62歳のつかこうへいさん。

「いつか公平」を追い求めて、
今を生き、今に死す。

心から合掌。

<結城義晴>


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