ニューヨーク2日目、10店舗を駆け巡り、買った、食べた、学んだ。
日経新聞の経済コラム『大機小機』。
タイトルは「米国経済1強時代の再来」
原油相場が下がって、
1バレル50ドルを切った。
石油戦争の行方はいかに。
非在来型のシェール石油産業、
サウジアラビアなどの在来型石油産業、
両者による市場シェア争奪戦。
国際エネルギー機関の予測。
今年度中に米国が、
世界最大の産油国になる。
つまり世界石油市場の覇権は、
サウジに代わり米国が握ることになる。
そして原油安は、
米国内に消費ブームをもたらし、
アメリカ経済には大いにプラス。
かくてアメリカ経済は力強く回復し、
「世界経済は2012年以来続く低成長でも、
安定した軌道に戻る」
「米経済の一人勝ち状況は続き、
今年もドル高・米株高の勢いが
衰えることはない」
日本はその恩恵に浴することができるか。
少なくとも中国頼みより、
安定していることは間違いない。
そのアメリカ、ニューヨーク2日目。
㈱ロピアの若手研修会第1班。
朝から講義。
一番初めに、
ロピアの経営理念の唱和。
リーダーの発声に合わせて、
みんなで唱和する。
とても良かった。
そのあと、2時間の講義。
店舗のチーフクラスが中心。
だから丁寧に分かりやすく、
言葉を選んで講義した。
みんな真剣な眼差しで、
しっかり聴いてくれた。
ロピアをコンシャス・リテイラーにする。
つまり高い意識をもった小売業。
それがこの研修会の、
私なりの目標。
小難しいことはいらない。
しかし知識商人になってもらいたい。
食品や飲料の専門家、
スーパーマーケットの専門家、
お客さまを喜ばせることの専門家。
それを目指して、
とんがれ、こだわれ。
最後に福島道夫さんが、
再確認のために、
ロピアの方針を語ってくれた。
ロピア取締役。
これがとても良かった。
講義が終わると、店舗へ。
まずウォルマート。
アメリカに来て、
ウォルマートを見ずに、
帰るなかれ。
初めての海外、
初めてのアメリカ視察、
そんなメンバーが9割。
ウォルマートを訪れれば、
アメリカ人の生活がわかる。
入口で、ロールバック。
フランスパンが1ドル。
こちらでも、
ロールバック。
生鮮がどんどん良くなっている。
精肉も安くて、良い。
主通路のアクション・アレー(島陳列)は、
クリスマス商戦の在庫処理にも使われる。
ウォルマートの主通路のアクション・アレー。
真似をする企業はHEBくらいだが、
実に使い勝手の良い売り方だ。
なんだかんだいっても、
ウォルマートはどの店も、
そこそこ客がやってきて、
買い物をしてくれる。
次に向かったのが、
ストップ&ショップ。
このマンハッタンを中心にしたエリアの、
占拠率ナンバーワン企業。
アホールドUSA傘下のローカルチェーン。
それが典型的なコンベンショナル型。
青果部門が弱すぎる。
サラダバーやプリペアードフードなど、
新しいトレンドの売場を導入しているが、
それも時代遅れの感が否めない。
奥主通路中央の対面精肉売場。
ハムをスライスするサービスをしていて、
そこには顧客がパラパラと並んでいる。
コモディティグッズは、
プライベートブランド。
店づくりに関して、
ポジショニングの概念が、
決定的に欠落している。
それがこんなところに表れている。
冷凍食品のリーチインケース売場。
要は、商品の置き場。
天井や床、壁面、照明など、
自社らしい主張がない。
有形財のブツを並べて、
安さを競う競争。
自社の特徴や個性が、
全く感じられない。
それでいて、
「違いをつくること」を、
顧客に約束している。
その違いといえば、
ウェグマンズ。
1986年から全米で一番早く、
調理済み食品の実験を始め、
1990年代には、
ミールソリューションのブームを生み出した。
その自慢の青果部門。
インストアベーカリーからは、
いい香りが漂う。
そして店舗左翼のフードサービス部門。
セルフデリのコーナーは、
全米最高レベル。
グロサリーは、
ファミリーパックの大容量商品をアピール。
大小の容量で、
SKUを増やし、
買いやすさを生み出す。
それがウェグマンズの、
1店平均80億円超の売上げを
つくり出す。
列車の模型を走らせる。
お馴染みの楽しい演出。
2000坪の売場は、
広大なスーパーマーケットだが、
密度の濃いマーチャンダイジングで、
広さを感じさせない。
リカーは州法で別棟。
しかしここにも、
ウェグマンズらしい違いがある。
まずウォルマートを見て、
コンベンショナル型と、
ポジショニング型の、
両方のスーパーマーケットを訪れた。
そのあとは、
アルディ。
280坪の小型ハード・ディスカウンター。
安いけれど綺麗、
安いけれどフレンドリー、
安いけれど良い。
それがアメリカのディスカウンターの、
最新トレンド。
アルディの前に、
ワーワー(WaWa)。
サービス&クォリティ型のコンビニ。
これも個性を競うコンビニエンスストア。
その後、マンハッタンに戻って、
ゼイバーズ。
フェアウェイマーケットの本店。
その隣のデリショップ・シタレラ。
そして最後に、
トレーダー・ジョーと、
デュアン・リード。
いずれも個性豊かな繁盛店。
コンテスト型競争時代の、
より良き生き残り企業。
ロピアの若手には、
こういった繁盛店を学習することが、
有効だ。
首都圏の大商圏型スーパーマーケット企業だからだ。
十二分に学んで、
しかも買い物もそれぞれが、
たっぷりとして、
ホテルに戻る。
ホテルはタイムズスクエアの近くだが、
キッチン付きの部屋。
各自が、自分らしい料理を作って、
余分に確保したスイートルームに集合。
まず、ローストビーフ。
取締役の福島道夫さんの作品。
私も堪能した。
それから各種スープ。
クラムチャウダー。
ミネストローネ。
そして最後のスープを、
持ち込んでくれた。
さらにこれ。
ロブスター入りのパエリア。
ローストビーフ入りサラダ。
トウモロコシの料理。
これは手づくりハンバーガー。
ウェグマンズの冷凍食品。
これも独自の工夫を加えて作った料理。
これも。
最後は、女性陣のパスタ。
私もいただきました。
ロピアのメンバーは、
とにかく食べる。
それがコンシャス・カルチャー。
ただ店を見るだけ、
写真を撮るだけでは、
勉強にならない。
そこで買い物して、
買ったものを食べる、
買ったもので生活する。
そうしなければ、
店舗の価値はわからない。
初めてのアメリカでも、
買って、食べて、学ぶ。
それがこの研修会の考え方。
大量に買い込んだビールとワインで、
深夜まで懇親。
スイートルームを一晩だけとって、
料理の競演と懇親。
楽しかった。
勉強になった。
ロピア・ピープルのコンシャス、
最高に高まった。
(つづきます)
〈結城義晴〉