「雑学のススメ」とアベノミクスの「インフレ目標より成長目標」
錦織圭、残念。
全豪オープンテニス男子シングルス、
準々決勝でスタニスラス・ワウリンカに敗北。
といってもワウリンカは、
世界ランキング4位のスイス人。
29歳。
25歳の錦織は世界5位だから、
4位と5位の接戦。
ここまで大いに楽しませてもらった。
次を期待しよう。
かと言って、全豪オープン。
ここで観戦打ち止めはもったいない。
もちろんライブで見ることなど、
できないのだけれど、
この際、テニスも学んでしまおう。
私はそうやって、
雑学の領域を広げてきた。
そして、雑学は、
不思議なことに、
やがて全て役に立つ。
商売のように、
社会のなかで、
様々な顧客を相手にする仕事は、
こういった雑学も役に立つ。
ジャーナリズムも、
それは同じ。
1月の終わり。
毎月の月末には、
機関誌などが送られてくる。
『AJSネットワーク』と、
『Meiji Marketing Review』。
前者はオール日本スーパーマーケット協会の機関誌、
後者は㈱明治マーケティング推進本部のメディア。
私はどちらももう8年ほど、
連載で書き続けている。
Meijiには今回、
「進化する陳列・演出テクノロジー」、
AJSネットワークには、
「地方スーパーマーケットの六重苦」を、
それぞれ書いた。
そのAJSネットワークには、
会長の荒井伸也さんが、
毎号、巻頭エッセイを書いている。
今回のタイトルは「年末年始営業」。
荒井さんの文章は、
その豊富な経験談によって彩られるが、
今回は、住友商事の社員の頃と、
サミットの経営者の頃の違い。
「他人が遊ぶ時には働き、
他人が働く時には遊ぶ」
その小売業の素晴らしさが、
表現されている。
ところで『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭言。
糸井重里が毎日、
「今日のダーリン」と題して書く。
今日は「ちょっと長めの休み」について。
荒井さんが書くように、
商人は年末年始、仕事する。
だから1月の上旬・中旬など、
「ちょっと長めの休み」が取れる。
糸井は述懐する。
「たいていの人は、
どこかに旅行に行こうとか、
なにかふだんできないことを
しようと思いはじめる」
「長めの休みがあって、
旅行に行けないとなると、
近いところへピクニックだとか、
動物園だとか美術館だとか
映画館だとかに行こうとする」
「そのどちらもできないとき、
ぼくらは、わりかし
『ため息』をついたりしかねない」
「『あああ、なんにもできないうちに
休みが終わったなぁ』
と、軽い自己嫌悪さえ感じながら、
せっかくの長めの休みを
後悔の種にしてしまったりね」
このフレーズ、
荒井さんの巻頭言とそっくり。
住商の頃の正月元旦。
「何だかんだやってるうちに、
元日の時間はどんどん経っていって、
ほとんど何にもしないうちに日が暮れる」
「こうして正月三が日は、
またたく間に過ぎる」
そこで糸井は提案する。
「あらためて古くさいことを言うのだけれど、
長めの休みに長めの小説を読む」
「思えば、若いとき、
お金がなく時間があったとき、
いつも長い休みのようで、
ごく自然に小説を読んでいた」
「仕事の役に立つ本でなく、
だらだらと、小説を読む。
これは、自己嫌悪になりにくい
休みの過ごし方になる」
「ぼくは、そのことをすっかり忘れていて、
このまえの正月休みのときに、
思いだしたのだった」
私には今、残念ながら、
「長い休み」はない。
「ちょっと長い休み」も。
しかし海外出張の時など、
ディープな仕事の本と、
長めの小説などを、
両方、携えていく。
〈今、密かに読んでいるのは『特捜部Q』。ユッシ・エーズラ・オールスン著。
シリーズ4刊まで発刊されている〉
荒井さんは休みの時には、
自分で小説を書くのだろうけれど。
そのうえで、私は「雑学のススメ」。
ハンドルの緩みのように、
リラックスとリフレッシュは、
誰にも必要だ。
さて今日の最後に、
日経新聞のコラム『大機小機』から。
いきなり、言い切る。
「アベノミクスの第1の矢は的を外した」
2年で2%の消費者物価上昇が目標。
いわゆるインフレターゲット作戦。
黒田東彦日銀総裁の異次元の金融緩和政策。
功を奏したかに見えたが、
原油価格が半値以下という現象で、
インフレ目標達成は道半ば。
ただし、原油価格急落は、
日本経済にもアメリカ経済にも、
フォローウィンド。
日本の消費、アメリカの消費にも、
ビュンビュン追い風が吹く。
だからコラムニストは提案する。
「物価目標にこだわるより
物価上昇と成長を合わせた名目成長の目標を
政府、日銀が共有するときである」
インフレ目標より、
成長目標。
「原油安で物価上昇は鈍る。
半面、実質成長は底上げされる。
物価上昇と成長を合わせた目標の設定こそ
理にかなっている」
賛成。
その目安も示す。
「3%程度の名目成長目標が妥当だろう」
したがって企業も、来期予算は、
最低3%の成長目標を立てねばならない。
もう一つは、アベノミクスの第3の矢。
「力不足」。
しかし理由は明白。
「肝心のグローバル市場戦略が欠けている」
「中国はじめアジアの成長力を
目いっぱい取り込まないかぎり
成長はおぼつかない」
これは昨日のブログで書いたが、
イオンのベトナム進出と、
ASEAN事業の展開が、
リテール産業全体から、
面目を保っている。
商人舎magazineで示したが、
ユニクロのカナダ出店も。
セブン-イレブンやローソンのアジア対応も、
ダイソーやニトリ、MUJIの海外進出も。
結構、小売業は第3の矢に、
貢献している。
インフレ目標よりも、
名目成長目標のほうが、
わかりやすいし、見えやすい。
これも追い風と判断していいだろう。
〈結城義晴〉