「ネットスーパー情報漏れ事件」とハーバード白熱教室の「難題」
真夏の空は、ますます青い。
まずお知らせ。
商人舎ホーム―ページで好評連載
「林廣美の金曜日のお惣菜」。
今週金曜日の掲載で、目出度く100回目を迎えます。
林先生の日本フードサービス専門学院も商人舎スタッフも、
「祝100回記念」を企画しています。
ご期待ください。
さて「ネットスーパー」で顧客情報流出事件。
とうとう起こってしまった。
顧客情報を大量に扱うビジネスモデルは、
その顧客データの安全管理に万全を配さねばならない。
Pマーク取得などその対策ではあるが、
外部から意図的に情報盗みを画策する動きは絶えない。
今回は、小売企業7社が委託したネオビートが被害を受けた。
被害とは、顧客のクレジットカード情報の一部流出。
ネットスーパーのサイトは閉鎖されたまま、
復旧のめどは立っていない。
すなわち閉店状態。
7社と、それぞれの被害件数は、
まずユニーが6272件、
イズミヤ4720件。
この2社が圧倒的に多い。
以下、大近395件、
マルエツ237件、
琉球ジャスコ187件、
不二商事179件、
フジ125件。
日経新聞は報じる。
2009年段階のネットスーパーのマーケットは、
食品販売で約300億円。
前年比で3割の伸びを示す。
ただし、小売企業に、
ネット販売のための情報システムや物流管理システムがない。
つまり「業務システム」がない。
そこで外部委託をすることになるが、
その情報が漏れたということ。
顧客あっての商売。
これはリアル店舗もネット販売も同じ。
顧客情報管理の業務システムに責任を負えなければ、
そんなビジネスを展開する資格はない。
朝日新聞のオピニオン欄にマイケル・サンデル氏が登場。
ハーバード大学政治哲学教授。
NHK教育テレビ『ハーバード白熱教室』が話題になり、
著書「これから『正義』の話をしよう」(早川書房)は22万部売れた。
サンデル教授の講義は対話形式。
「知の千本ノック」を学生に浴びせかけ、
難題に対して自ら考え抜くことを教える。
教授が投げかける難題のひとつが、
朝日新聞に載っている。
「嵐の後の便乗値上げ」
「ハリケーンの被害を受けた街で、
物資が不足し、便乗値上げが横行した。
州知事は『被害に見舞われた人々が気の毒』と、
便乗値上げ禁止法に基づき必需品や宿泊料を値下げさせた。
これに経済学者が反発し、
『需要が高まって物価が高騰するのは当然』と、
知事を批判した。どちらを支持するか」
日本の商業者、倉本長治や渥美俊一を知っている者ならば、
これは「難題」でも何でもない。
しかしアメリカ人やハーバード大学の学生にとっては「難題」であるらしいし、
サンデル教授も「難題」と考えた。
私にはこの点が面白かったが、
しかしサンデル教授の「justice」と、
コミュニタリアニズム(共同体主義)には賛同すべきところが多い。
さて昨日は一日、横浜市西区北幸の㈱商人舎オフィス。
午前中から、訪問者あり。
㈱電通ストラテジック・プランニング局の土井弘さん。
ご存知、大電通きっての流通専門家。
それにユニバース㈱代表取締役の清岡祥治さん、
同営業部の佐藤傑さん。
清岡さんと佐藤さんは「料理教室」の先生1500人以上を組織している。
このネットワークをビジネスのお役に立てられないかという相談。
大いに可能性あり。
応援します。
午後からは、㈱イノウエ代表取締役の井上文明さん。
神奈川県愛甲郡愛川に本社を持つ小売企業イノウエ。
その社長。
面白い経歴の持ち主で、
しかも、「商才と算盤」を持つ商人。
話をしていて、勉強させられることも多かった。
固い握手。
最後に夕方には、㈱寺岡精工取締役の片山隆さん。
現在、フードインダストリーシステム事業部長だが、
ずっと同社海外事業を担当し、欧米流通業の「超」専門家。
イギリスのスーパーマーケット事情について、
ご教授いただいた。
心から感謝。
今日は、久しぶりに商人舎オフィスにいたら、来客多し。
暑い暑い横浜だったのに、ご足労いただき本当に有難い。
商人が集う舎(とねり)。
だから商人舎と名付けた。
本当にありがたい。
写真も忘れなかったし。
サンデル教授ではないが、
「商売の正義」に関しての話ばかりだったし。
いい日はいいな。
<結城義晴>