「コーポレートガバナンス・コード」の「尖った経営者、出てこい」
立春の翌日だというのに、
今朝から霙交じり。
東京・原宿の㈱クレオへ。
クレオは、小売り流通業のマーケティングサポートを、
総合的に展開するエージェンシー企業。
設立は昭和43年。
現在500名のスタッフで、
年商119億円。
関智美さん(真ん中)、倉林武也さんと、
月刊『商人舎』3月号の打ち合わせ。
関さんはクレオ生活行動研究部部長。
関さんには2013年5月から1年間、
『商人舎magazine』サイト上で、
小売りの『暮らしカレンダー』を
連載してもらった。
倉林さんは、教育研修部部長、
マーケティングプランナー。
今回は、月刊『商人舎』で、
プロモーションに関して、
大事な視点で提案してくれる。
関さんの長年の研究、
倉林さんの提案など聞いて、
私も意見を言った。
実にいい議論だった。
次号に、乞う! ご期待。
クレオは原宿通りのはずれにある。
SMAPの大型看板。
カラフルな観光案内所、
「もしもしにっぽん」。
H&Mとフォーエバー21。
専門店のファサードは、
どんどん洗練されてきた。
一方、ラフォーレ原宿。
こちらは古い感じが否定できない。
一番楽しかったのは、
LINEショップ。
結構、お客が入っている。
人気キャラクターたちが、
入口で出迎えてくれる。
そのキャラクターグッズを販売している。
海外からの観光客が多くて、
割高な商品もどんどん売れていく。
最後はブラウンに、強烈なアッパーカット。
久しぶりの原宿を楽しんだ。
さて日経新聞の経済コラム『大機小機』。
タイトルは「尖った経営者、出てこい」
コラムニスト癸亥さんが、
日本版コーポレートガバナンス・コードに対して、
辛口で提言。
昨年、金融庁が有識者会議を開催した。
「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する会議」
座長は池尾和人慶應義塾大学経済学部教授。
流通業界からも、委員が出た。
松井忠三㈱良品計画会長、
中村美華㈱セブン&アイ・ホールディングス、
法務部法務シニアオフィサー。
昨年8月から12月まで8回、開催されて、
12月12日にコードの基本形がまとめられた。
そのうえで今年6月1日からの適用が決定。
コラムニストはこのコードに一言。
「コードが示すのはあくまでも原則、
すなわち平均像でしかない」
「企業として、唯々諾々と
平均像を模倣するだけなら、
最悪の事態に陥る」
そこでコラムニストは、
「2人以上の独立社外取締役選任原則」に関して、
その有効性を考える。
「独立社外取締役が複数いれば、
互いに連携することで
取締役会での議論が活発化し、
経営への監督機能が強化される」
しかし、それだけでは、
企業価値の向上と成長に
ほとんど役立たない。
「独立社外取締役は主に
助言という方法で経営に関与する」
「経営への直接的な関与は、
独立社外取締役に期待される
本来の役割ではない」
実はそのとおり。
私も社外取締役を務めている。
今年3月からは、
2社引き受けることになったから、
そのことは強く意識している。
「企業経営を直接担うのは経営陣である」
そのとおり。
この失われた20年の、
日本企業の経営がさえなかった要因を、
コラムニストは言い切る。
「企業統治が不十分だったこと」より、
「経営陣の資質の低さである」
一般の上場日本企業の特徴は、
「サラリーマン経営者の多さ」
そして生え抜きのサラリーマン経営者は、
何十年も同じ企業文化の中で育ち、
経営危機にでも遭遇しないかぎり、
「尖った意思決定が失われる」
結果として、
「既存事業が古びてもそれを転換できず、
創意ある経営を怠る」
小売サービス業で言えば、
既存店が老朽化してきても、
フォーマット転換や再投資ができない。
「とんがり★こだわり」になりにくい。
小売サービス業は逆に、
オーナー企業が多い。
コラムニストも指摘する。
「オーナー系で経営陣が尖っている場合は、
その企業が大成功するかもしれない一方で、
暴走もありうる」
「このとき、助言し、暴走を阻止できるのは
独立社外取締役である」
結論は、
「尖った経営陣があってこそ、
独立社外取締役をはじめ、
企業統治が生きる」
そしてコーポレートガバナンス・コードは生きる。
経営者自身が尖らずに、
コンサルタントや経営顧問が目立つ。
それは全くの邪道。
絶対にうまくいかないし、
必ず破綻が来る。
残念なことに、小売業では、
そんなケースも散見される。
オーナー経営者も、
サラリーマン経営者も、
とんがれ、こだわれ。
もちろん経営幹部も、
店長もバイヤーも、
そして部門チーフも、
みんな、脱グライダー商人として、
とんがれ、こだわれ。
私はそれを応援する。
〈結城義晴〉