ロピア第44期経営方針発表会と「神は現場にあり」
神は現場にあり。
小売業、サービス業は、
店舗に神が宿っている。
だから店舗視察は、
実に有益な勉強となる。
しかしその店舗には、
顧客がいる。
「店は客のためにある」
店の第一の役割は、
顧客の暮らしを支えることである。
店は視察者のためにあるものではない。
だから視察・見学するときには、
何よりも顧客に対する配慮が必要だ。
顧客の買物の邪魔をしてはいけない。
自分も顧客となって、
必ずカゴやカートを持って、
買物しつつ、学ぶ。
私はアメリカでも
そう、指導する。
さらにその店舗を運営する企業に対しても、
「学ばせていただく」という姿勢は必須だ。
同業他社の人間が、
失礼な視察の仕方をしていたら、
同じ産業で同じように、
小売りの神様に学ぶ者として、
当該の店に代わって、
注意するくらいの見識を持ちたい。
そのくらい、志の高い産業でありたい。
昨日から幕張メッセで、
Foodex Japan2015が開催されている。
イオン幕張新都心や、
船橋ららぽーとTOKYO-BAYなど、
視察見学者がどっと、
押し寄せているに違いない。
そのFoodex Japan2015無料セミナーに、
三つのコマが設けられている。
【注目のスーパーマーケット『ロピア』研究】
しかし当該企業のロピアからは、
誰ひとり出講していない。
何の打診も、
一言の断りも、
ないそうだ。
これは私の常識からすると、
言語道断。
日本能率協会ともあろう立派な組織が、
こんな礼を失したことをやるなど、
とても信じられない。
Foodex Japanそのものの信頼も、
揺らいでくるほどだ。
神は現場にあり。
だからこそ、
その神を敬い、
顧客を第一に考え、
さらに同じ仕事をする仲間に、
礼を尽くさねばならない。
自分の店では、
顧客第一主義を掲げているのに、
他社の店では顧客を無視する。
こんな輩は商人の風上にもおけない。
さて今日は、
午前中、横浜商人舎オフィス。
㈱静鉄ストアの中村喜久男さん、
人事・総務部総務課課長。
静鉄ストアの2014年度も、
好調だった。
嬉しい報告。
竹田昭男社長をはじめ、
全社員従業員の頑張りの成果だ。
今日はその後、
午後3時に横浜崎陽軒本店へ。
6階の大会議室。
㈱ロピアの44期決算と、
45期経営方針発表会。
無断でセミナーが開催されるほどの絶好調。
全店のチーフ以上の幹部が参集。
経営理念が定まって、
新社名と新しいCIができてから、
ロピアにはブレがない。
それが快進撃につながっている。
ロピアの2014年度の売上高は、
700億2500万円。
2月最終月、最終日の28日まで、
全店が奮闘して、一気に、
700億円の大台に乗せた。
もちろん利益管理も、
経営の大原則も貫かれている。
私の持論だが、
ROAこそ最重要指標である。
決算書のBSとPLが融合した数値だからだ。
企業経営を論じるとき、
この数値が報告できなくては、
全く意味を成さない。
たとえ無料であろうと、
セミナーなど開催することはできないはず。
ロピアのその水準は、
ヤオコーやオーケーをも、
しのいでいるし、
彼らにない経営指標の特長を、
ロピアは持っている。
しかし売上げが伸びると、
利益が伸びる。
何よりもこのシンプルさが、
ロピアの強みとなっている。
2014年は橋本店をはじめ
話題の新店舗が出店された。
高木さんは2014年を振り返りつつ、
2015年の経営方針から、
2017年の次の目標、
さらに10年後の2024年の目標まで、
ビジョンを語った。
わかりやすい言葉を選び
時間をかけて、丁寧に丁寧に、
ソフトにダンディに、
ユーモアを交えて、
経営方針を語った。
むつかしいことをやさしく、
やさしいことをおもしろく、
おもしろいことをよりふかく。
それだった。
上意下達の風は、
微塵もない。
それでも全員が、
本気になって仕事する。
私から見ると、
これこそユートピア。
このブログでも報告したが、
ロピアは1月、2月に、
中堅社員180名ほどを4班に分けて
ニューヨークで学ばせた。
私はそのコーディネーター役を務めた。
ロピアの学び方は、
ひたすら顧客に徹すること。
商品を買う。
それを持ち帰って、
料理し、食べる。
写真などほとんど撮らない。
顧客と同化する。
だから学ぶ先の顧客の邪魔には、
絶対にならない。
視察先の店舗から、
その大量購入に感謝すらされる。
そこで、アメリカ研修会のShort Review。
30分ほど語った。
とんがり★こだわり。
模倣困難性と稀少性。
「差別化を学ぶ」などと称して、
人真似研究をする。
売場に並んだ表面的な商品のことだけ、
話題にする。
この姿勢は、それ自体、
自己矛盾している。
商品は売場に並ぶまでに、
長い長い工程管理がなされる。
そこには産地や製造現場があり、
仕入れ・調達があり、
商品開発があり、
物流があり、
商品化技術があり、
それらを行う人間がいる。
ロピアのライバルは、
トレーダー・ジョーであり、
ホールフーズであり、
アルディだ。
最後のメッセージは再び、三度、
「自ら変われ!」
イノベーションを起こし続けよう。
その後、全経営幹部から、
具体的な方針発表。
庄司和良PCセンター工場長は、
その経営改革を綿密に披露する。
その後、全事業部長・室長から、
予算と行動方針が発表された。
経営方針発表会は、
3時間にわたった。
私の30分が割り込む形になったので、
みんな手短かな発表となってしまった。
申し訳ない。
しかし、実に中身の濃い発表会だった。
崎陽軒の美味しい中華料理と、
ニューヨーク研修に参加した面々との交流。
楽しい会話で場はどんどん盛り上がる。
私も各テーブルを回って、
ニューヨークの思い出話を交わした。
福島さんとは、
ニューヨークでずっと一緒だった。
本当にお疲れ様でした。
肉屋出身のロピアは、
断トツに精肉が強い。
その精肉事業部長が、
佐藤博和さん。
キャリア16年の34歳。
商人舎USA研修会にも何度も参加し、
ミドルマネジメント研修会でも学んだ。
最後は、高木秀雄会長を囲んで、
高木勇輔社長、野呂田常務、福島取締役と懇談。
高木会長とは、
勇輔社長が高校生くらいの時からの、
長い長いお付き合い。
その会社が今、
この勢いを持って、
まさにアウトスタンディングな
ポジショニングを
構築しつつある。
私にはこの上なく、
嬉しいことだ。
しかし、まだまだです。
天狗になってはいけない。
ひたすらお客さまと、
小売りの神様を見て、
仕事に邁進しよう。
わかってはいるだろうけれど。
〈結城義晴〉
1 件のコメント
ロピアの目の前で、ロピアの当事者もいないところで、ロピアに一言も断わりなく。ロピアの事が語られる、日本はまだそんな社会だったのですか?でも考えてみれば外部の人に、客観的にロピアの研究が行われ、語らえることは、それほどロピアがメージャーな存在になってきたということだと思います。
まだまだこのレベルで満足しないで1000億円から1兆円をめざし、普通にロピアが語られる時代を待ち望んでいます。
日本国内だけで語られるような存在ではない。そんなことも考えて若い高木社長には頑張ってもらいたいと思います。
浅野秀二