機能性表示食品制度改革についての5つのポイント
2015年の春分の日。
今日、鹿児島市でソメイヨシノが開花。
日本全国で一番早かった。
それでも昨年より1日遅い。
そして1週間後から10日後、
鹿児島では早くも満開。
今日はもう一つ、
高校野球の春の選抜大会開幕。
「熱球」は夏の甲子園。
しかし春の終盤は「桜の甲子園」。
大相撲春場所は、
関脇の照ノ富士が、
横綱白鳳との優勝争いで、
大活躍。
関脇が活躍する場所は、
面白いけれど、
照ノ富士も逸ノ城も、
モンゴル出身。
日本人力士、頑張れ。
さて、日経新聞で、
「食の新表示」記事が2日間の連載。
4月1日から「機能性表示食品」制度が、
スタートする。
この新制度はアベノミクスの第三の矢、
「規制改革」の柱のひとつ。
国民の健康を維持・増進しながら、
経済も活性化する狙い。
ここで一番大事なことは、
表示制度の改革であること。
商品が有する機能が、
まず備わっていなければならない。
そしてその表示は、
当然ながら適正であることが条件。
一般に言われる「健康食品」の定義。
「健康の保持増進に役立つ」ものであると、
機能が宣伝され販売・利用される食品。
これは学術的な認識とは独立していて、
単に社会的な認識において、
他の食品と区別される一群の食品の呼称。
健康食品の一部に「保健機能食品」がある。
これは行政により機能の認定を受けた食品。
その保健機能食品には、
二つある。
第一は「特定保健用品」、いわゆる「トクホ」。
これは1991年に保健機能食品制度が定められ、
科学的根拠を提出し表示の許可を得た食品。
1143品目が登録され、
ガムや米飯、調味料まで幅広く活用されている。
特に飲料では花王の「へルシア」や、
サントリーの「特茶」などヒットが相次いだ。
今回の表示制度改革で、
へルシアの茶飲料などは4月以降に刷新される。
伊藤園も4月にトクホの「黄金烏龍茶」を発売。
トクホ市場は6000億円規模。
今回の制度改革とは直接、関係はしないが、
こちらの分野の成長は続く。
第二は「健康機能食品」で、
ビタミンやカルシウムなど
特定の17成分に限って、
効果を表示できる食品。
この分野も成長が見込まれる。
今回の機能性表示制度で、
第三の分野が成長するが、
そこには5つのポイントがある。
第1に国が許可したものではないこと。
企業が自ら食品の科学的根拠を評価した上で、
その機能性を表示する。
したがってその旨を記載する義務がある。
新制度は販売の60日前までに、
論文など科学的根拠を、
消費者庁に届け出ればよい。
国の審査は不要だから、
トクホよりハードルは格段に低い。
第2は対象食品が広がること。
今回、加工食品および農林水産物が対象となる。
つまり生鮮食品を含む食品全般が対象となる。
第3は対象成分が広がること。
栄養機能食品によって許可されているのは、
ビタミン12種類とミネラル5種類。
それ以外に今回、
n-3系脂肪酸、ビタミンK、
そしてカリウムが追加される。
第4は食品と薬の境界線が動くこと。
薬事法では薬以外は、
部位指定や効能を表現することが、
禁止されている。
しかし新制度では、
科学的根拠があれば、
体の特定部位に言及した表現を行うことができる。
ただし、食品表示に、
疾病名を記載してはならない。
薬と食品との区別は厳然としている。
そして第5に消費者教育や顧客教育に、
力が入れられること。
小売業ではまず、
従業員教育も必要になる。
調査会社シード・プランニングの推定では、
健康食品の市場規模は、
2017年に2兆1450億円に成長する。
今回の新制度の導入などの効果で、
13年比で17%増えるとの予想。
ただし懸念の声も。
主婦連合会・河村真紀子事務局長。
「書類の体裁が整っていればよく、
消費者が根拠を検証できない表示が
乱立する可能性もある」
日経連載のまとめ。
「官民とも消費者に分かりやすく
周知する努力は欠かせない」
つまり第5のポイントが、
重要になるということだ。
機能性表示改革で一儲けしようとか、
プロモーションで稼ごうとは考えないことだ。
消費者も消費者庁も、
それは厳しくチェックしている。
〈結城義晴〉