結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年06月09日(火曜日)

バルセロナ激突〈メルカドーナ・リドル・カルフールマーケット&・・・〉

メッシのチーム。
FCバルセロナ。
ヨーロッパ・チャンピオンリーグで、
5度目の優勝。

バルセロナの街は、
沸き立っている。
20150606_171617-5

その地で、クールに、
店舗視察と研修。

朝から郊外に出かけて、
スーパーマーケットの激戦を学ぶ。

まず近代的なショッピングセンター。
DSCN3320-5

核店舗は、メルカドーナと、
C&AやZARA。
DSCN3324-5
その意味ではエンクローズドモールだが、
中型のコミュニテイセンター。

メルカドーナ。
DSCN3374-5

真ん中に青果部門。
DSCN3371ー5

右翼は特別の精肉部門。
DSCN3372-5
ちょうどウェグマンズが、
右サイドにフードサービス部門を、
特別に設けているような意味。
スペインでは、生ハムをはじめとした肉部門は、
サービスデリの役割を果たす。

青果部門の奥の壁面は、
シーフード売り場。
DSCN3351-5
氷の上に地中海のシーフードが並ぶ。

店の真ん中にはグロサリーや冷凍食品コーナー。
その冷凍ピザ。
DSCN3367-5
2枚重ねのこの商品は売れ筋。
安い。

これも売れ筋。
DSCN3368-5

酒売り場は、ワインもビールもウィスキーも、
安くて豊富。
DSCN3369-5

もちろん化粧品売り場も、
必ず用意されている。
DSCN3358ー5

この店はレジのサービス精神も旺盛。
DSCN3357-5
このショッピングセンターの効力もあり、
地域一番店の地位を確保している。

そのメルカドーナに隣接するように、
国内二番手のエロスキ。
この地区のバナーはカプラーボ。
DSCN3260-5

しかし、全くひどい売り場。
腐った魚の匂いが充満している。
DSCN3241-5

一番奥に精肉の対面売り場。
DSCN3243-5
顧客はラガードしかいない。
つまり偏狭な保守主義者。

しかし、エロスキはスペイン第2の食品小売業。
年商は53億2930万ユーロ、7460億円、
1587店舗で5.6%のシェアをもつ。

その隣にカルフール・マーケット。
スーパーマーケット。
DSCN3179-5
これが意外に小洒落た店を作っている。

入口にはサンドイッチの対面、
その奥に寿司の対面コーナー。
DSCN3234-5

青果部門もアメリカ並み。
DSCN3182-5

壁面は精肉やデリの対面コーナー。
DSCN3187-5

天井はスケルトン。
最新型だ。
DSCN3198-5

冷凍食品は平ケースがずらりと並ぶ。
DSCN3208-5

ここに売れ筋が多数、投入されている。
DSCN3200-5

それがこのプライベートブランド。
DSCN3212-5

その前に鮮魚売り場。
DSCN3202-5

コカコーラの売り場は圧巻。
DSCN3224-5
カルフール・マーケットは、
フランスとアメリカの香りを漂わせて、
自分のポジションを確立しようと必死だ。

さらに隣接して、リドル。
DSCN3264-5
ドイツのシュワルツ・グループの小型店。
ハードディスカウンターで、
アルディと同じフォーマット。

入口のパン売り場は焼きたてを提供。
しかもスライスの機械が入っていて人気。
DSCN3267-5

青果部門、精肉部門も、
アメリカのアルディなどよりも、
断然、充実している。
DSCN3279-5

店舗中央のシーゾナル売り場には、
非定番のお買い得品が山積みされ、
顧客が群がっている。
DSCN3287-5

エブリデーロープライスを旗印に、
地域で一番低価格。
その上、プロモーションのディスカウント。DSCN3291-5

アルディがほぼ100%近く、
プライベートブランドを扱っているのに対して、
リドルはナショナルブランドを組み合わせる。
しかし、スペインにはアルディが進出していない。
だからリドルは独壇場。DSCN3297-5
ドイツ企業らしく、徹底して、
ローコスト・ロープライス。

ドイツ国内では、
アルディ、リドル、ネットー。
3社が同じ小型業態でしのぎを削る。
いずれも1000㎡。

国内で激しい競争を展開するから、
国外に出ても強い。

これはブンデスリーガにも通ずる。
サッカーでもまず国内。

スペインもサッカーは、
リーガ・エスパニョーラ。
FCバルセロナとレアルマドリードが、
激しく覇を競う。

だから国際的にも強い。

しかしスペインの小売業界には、
国内リーグを形成する前から、
フランス勢がやってきた。

つまりカルフールとオーシャン。

カルフールは1999年に、
フランスのプロモーデスを買収して、
ヨーロッパ第一の小売業に躍進したが、
そのプロモーデスが1976年に、
早くもスペインに進出していた。

オーシャンは1981年に、
アルカンポのバナーでスペイン侵攻。
ハイパーマーケット業態だった。

両者とも、もともと、
ハイパーマーケットの企業。

スーパーマーケットはこれから。

ウォルマートの主力業態は、
ハイパーマーケット。
そのバナーがスーパーセンター。
1988年から展開している。

ウォルマートのネイバーフッドマーケットは、
1998年から始められた。
こちらがスーパーマーケット。

カルフールも同じ。
やはり店舗規模の大きな店の方が、
売上げを稼ぐことができる。

だから国内が高度成長期にある場合など、
どこの国でもハイパーマーケットから始まる。

今、このバルセロナ郊外で展開される競争は、
スーパーマーケットの激突だ。

カルフール・マーケットは、
そのポジショニングを模索中。

アップグレードではない。
アップスケール。

その手法はアメリカ的フランス流。
それをポジショニングにしようとしている。

だから店名も、
Carrefour Market。
DSCN3180ー6

フランス流ならば、
Carrefour Marchéのはず。

このアメリカ的フランス流で、
スペイン人の心をつかもうとする。

リドルはドイツ的ロープライスを、
迷わず前面に出してディスカウント。
ポジショニングを築いている。

メルカドーナは、
これまた徹底して、
スペイン流のマーケットリーダー。
リミテッドアソートメントで、
スペイン人に必須の商品群を、
エブリデーロープライスで、
安く提供する。

リドルはもっとリミテッドアソートメント。
だからメルカドーナの品揃えが、
適正に見えてくる。

日本人が訪れると、
メルカドーナの品揃えでは、
足りないだろう、などと、
軽率に考えてしまうが、
メルカドーナが標準。

何しろ国内だけで、
年商201億6100万ユーロ。
2兆8224億円。
1521店舗。
マーケットシェア14.4%。

その結果、エロスキは、惨敗。
チャンピオンリーグに参戦する意思もない。
すなわちポジショニングなど、
全く意識していない。

メルカドーナをめぐる国際的な競争。
それがこのエリアで展開されている。

メルカドーナとFCバルセロナ。
見事にダブって見える。
(つづきます)

〈結城義晴〉

 


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.