第48回日本小売業調査と万代ドライデイリー会の欧州報告講演
日経MJの第48回小売業調査。
私は毎年、この調査を待っている。
売上高1位はイオンで、
7兆0786億円。
第2位はセブン&アイ・ホールディングス、
6兆0389億円。
両雄。
売上げは1兆円の差がついた。
しかし経常利益は、
セブン&アイが3415億円で、
イオンは1525億円。
これは2倍以上の差がついた。
第3位がヤマダ電機で、
1兆6643億円。
前年比マイナス12.1%。
そして第4位にファーストリテイリング。
三越伊勢丹ホールディングスを抜いた。
年商1兆3829億円。
21.0%の成長。
昨年8月決算時点で、
既に4位は確実だった。
1972年(昭和47年)に、
ダイエーが三越の売上高を抜いた。
これは歴史に残る転換期だった。
それでもダイエーは総合品揃えだった。
ファーストリテイリングはアパレルのみ。
それが三越伊勢丹を抜いた。
これも歴史的な転換期を示す。
もっともっと強調されてよい。
ファーストリテイリングは、
経常利益でも1354億円。
売上高営業利益率9.4%。
セブンが5.7%、
イオンは2.0%。
ヤマダは1.2%。
第5位の三越伊勢丹は、
年商1兆2721億円。
経常利益は346億円。
営業利益率は2.6%。
第6位はJフロントリテイリング、
1兆1495億円、
第7位はユニーグループ・ホールディングスで、
1兆0190億円。
ここまでの7社が1兆円企業。
ただし、ユニーグループは、
ファミリーマートに統合される。
第8位は高島屋で9125億円。
第9位はH2Oリテイリングで8448億円。
第10位はアマゾン・ジャパン、
推定年商8400億円。
アマゾン・ジャパンの売上推定など、
日経新聞しかできない。
その意味で、
私は心待ちしていた。
詳細は日経MJを見ていただくとして、
ランキングが上がろうと下がろうと、
顧客には関係ない。
自分の買物するこの1店が、
顧客には重要なこと。
だから店と売場と商品とサービスが、
顧客の方を向いて充実していることが、
なにより大切。
しかし働く人たち、
取引先の人たち、
株主、金融関係など、
顧客以外のステークホルダーにとっては、
動機づけにもなるし、
誇りにもなる。
日経MJの一面特集は、
イズミ、平和堂、フジの、
「地域総合スーパー」が、
売上げも利益も好調で、
全国総合スーパーが不調という内容。
私には、
「全国スーパー」、
「地域スーパー」
「地方スーパー」という用語が、
どうにも気になる。
業態とチェーンストアの種類の用語は、
アメリカやヨーロッパのほうが分かりやすい。
総合スーパーはハイパーマーケット、
食品スーパーはスーパーマーケット。
全国チェーンはナショナルチェーン、
地域チェーンはリージョナルチェーン、
地方チェーンはローカルチェーン。
もちろん英語でなくて日本語でもいいが、
不思議に英語の方が紛れがない。
業態とチェーンストアの分類マトリックスは6つ。
全国総合スーパー、
地域総合スーパー、
地方総合スーパー。
全国食品スーパー、
地域食品スーパー、
地方食品スーパー。
地方総合スーパーはかつてあったが、
現在は絶滅に近い。
全国食品スーパーは、
イオングループだけ。
さらに厳密に言えば、
全国総合スーパーも、
イオンリテールだけ。
イトーヨーカ堂は地域総合スーパーだろうか。
そうするとイトーヨーカ堂も、
イズミ、平和堂、フジと分類が一緒になって、
この特集の論点はおかしくなる。
私の持論は、
ローカルチェーンの単位こそが、
チェーンストアにとって、
最重要戦略であるという点。
総合スーパーという業態は、
そのローカルチェーンの単位が脆弱だったからこそ、
地方総合スーパー絶滅現象が現れた。
さて、今日は朝から東海道新幹線。
しかし富士の姿は見えず。
このあたりにあるはず。
写真を撮っていたら、
車掌が寄って来て、
「残念ですねぇ」
万代ドライデイリー会。
1400人が参集した。
6月上旬のヨーロッパ視察勉強会。
その報告会。
まず、1班から8班まで、
チームごとに成果報告。
1班は魚の調査をして、
「万代の海産部門は世界一」と胸を張った。
3班は万代の店頭をより強くする研究調査。
各チームごとに、メーカー、卸売業、
そして万代の社員から構成されている。
よく調査研究され、よく議論されていて、
とてもいい報告ばかりだった。
8班までの報告に熱が入って、
時間は大幅にオーバー。
テスコとメルカドーナを中心に、
両者のイノベーションを語った。
とりわけ、業績悪化のテスコが、
オンラインビジネスとダークストアに、
独特の戦略展開を始めている点を強調。
これは近いうちに、
総括論文を書こうと思う。
最初はヨーゼフ・シュンペーター、
最後はクレイトン・クリステンセン。
そして後進の先進性。
小難しそうなイノベーション論。
しかしテスコとメルカドーナが、
それを実践、実現していて、
分かりやすい。
ご清聴を感謝。
総括講義のあとは、
4つの分科会に分かれて、
報告会と方針説明会。
私は㈱万代社長の加藤徹さんと、
隣の席で食事と会話を堪能。
淡々と進んで、中締めは、
㈱日本アクセス大阪支店長の寺町豊さん。
ちなみに万代の小売業ランキングは41位。
売上高2964億円で前年比6.1%の伸長。
このドライデイリー会の勉強会も、
それに貢献している。
幹部・社員、取引先ともに、
その好調さに元気いっぱいだった。
〈結城義晴〉