明日から中国「国慶節」と世界競争力報告の「日本6位」
9月最終日の30日。
秋の空。
さて今日、『AJSネットワーク』到着。『スーパーマーケット応援団長の辛口時評』は、
連載第94回目。
まだまだ、続きます。
ご愛読をお願いします。
そして明日から10月。
その10月1日から7日は、
中国の建国記念日「国慶節」の大型連休。
インバウンド消費は、
今や日本の百貨店や免税品を扱う店舗にとって、
最大の伸びしろを持っている。
中国人観光客の「爆買い」への対策は、
怠りないはず。
都市型百貨店は万全の態勢だろうが、
セブン-イレブンとローソンは、
中国で普及している「銀聯(ぎんれん)カード」で、
全店がクレジット決済できるように準備した。
J・フロントリテイリングの大丸、松坂屋8店舗は、
通信アプリ「8ウェイシン」の決済サービス対応を、
なんとギリギリの今日から開始。
8ウェイシンは中国最大の通信アプリ。
スマホに表示されたバーコードを、
店舗のタブレット端末にかざすと、
それだけで決済ができる。
総合スーパーはもちろん、
スーパーマーケットもドラッグストアも、
商売繁盛に関しては、
中国人以上に貪欲でいい。
商売への真摯さは、
日本の商業界精神でお願いしたい。
中国の外国為替管理局は今日、
銀聯カードによる年間現金引き出し限度額を、
新たに設けると発表したが、
それも爆買いに水を差すことにはなるまい。
昨日、このブログで、
上場小売業5社の上半期決算を整理した。
そうしたら今日、
平和堂とスギ・ホールディングスの決算記事が、
日経新聞本誌に載った。
私が書いていなかったのは、
平和堂の中国事業。
売上高は7月以降、
「前年を2~3%下回っている」。
夏原平和社長は、コメントする。
「株価下落で酒など、
高級品の売上げが落ちている」
中国国内の消費はやや沈静化しても、
日本での爆買いは静まらない。
それだけ中国の人びとの、
日本へのあこがれが強い。
政治的には対立しても、
消費と購買は衰えない。
これが両国の最大の民間交流である。
さて、世界経済フォーラム(WEF)。
2015年版「世界競争力報告」を発表。
前にもこのブログで取り上げたが、
各国のリーダーが参集する「ダボス会議」の主催団体。
この報告は1979年から発表されているが、
今年版ではうれしいことに、
日本の総合順位は、
140の国と地域の中で第6位。
1位がスイス、
2位・シンガポール、
3位・アメリカ。
これは昨年と変わらず。
4位・ドイツ、
5位・オランダ、
そして日本が6位。
以下、7位・香港、
8位・フィンランド、
9位・スウェーデン、
10位・イギリス。
15位が台湾、
26位・韓国、
明日から国慶節の中国は28位。
ちょっと気分はいい。
項目別にみると、
「インフレ率」の評価は、
前年の62位から一気に1位へ。
「効率化の推進」は1つ下がっても8位。
インフラなど基礎的基盤が24位へ1ランクアップ、
一方で、「財政赤字と公的債務の大きさ」が、
最下位かそれに近い順位。
とくに「政府債務」は、最下位。
ここでも民間の努力は国際的に評価され、
国家や政府の評価は低い。
そのことは自覚しつつ、
私たちは10月も仕事にまい進したい。
さて最後に、
日経新聞『私の履歴書』の今月は、
キリンビール元社長の荒蒔康一郎さんだった。
1カ月連載の中で最も印象的だったのは、
28日の「新キリン宣言」の稿。
社長に就任した後、
キリンはアサヒビールに
抜かれるかもしれないという危機に直面する。
そこで荒蒔さんが発したのが「新キリン宣言」
宣言を発表したのは62歳の誕生日だった。
主旨は「お客様本位」「品質本位」の観点から、
組織を総点検し、キリンを再生すること。
当時は、日産自動車も再建中。
カルロス・ゴーン社長が社員に問う。
「なぜこうしているのか」
すると社員は答えた。
「トヨタもやっているから」
キリンも病巣は深かった。
私もかつて㈱商業界社長のころ、
再建の基本プランの考え方を、
実はカルロス・ゴーンに求めた。
荒蒔さんと同じだった。
そしてそれは間違っていなかったと思う。
荒蒔さんは書く。
「鈴木敏文会長の言葉も貴重だった」
ご存知、セブン&アイ・ホールディングス会長。
荒蒔さんが挨拶に伺うと、
「お客様が何を求めているのかを
真剣に考えてください」
素晴らしい。
「お客様本位」と「品質本位」によって、
キリンは再生していった。
いつの時代も、
顧客本位と品質本位。
これは変わらない。
9月も商人舎magazineともどものご愛読を、
こころから感謝して、
10月に臨みたい。
〈結城義晴〉