ノーベル賞二人受賞とダラス・アメリカ食品小売業トップ3
2015年のノーベル賞。
生理学・医学賞は、
大村智・北里大学特別栄誉教授。
そして物理学賞は、
梶田隆章・東京大学教授で、
同大宇宙線研究所長。
同年度に日本人二人。
まことに目出度いし、誇らしい。
アメリカで聞いていても、
胸を張って歩きたい気分だ。
発明家アルフレッド・ノーベル。
ダイナマイトの発明者として知られる。
その遺言に従って、毎年、
世界的に顕著な功績を残した人物に、
ノーベル賞が贈られる。
1901年から始まったということは、
20世紀の100年間にわたって表彰され続け、
それから21世紀に入って15年。
ノーベルの専門の物理学賞、化学賞、
生理学・医学賞。
そして文学賞、平和賞の5分野。
さらにプラスアルファとして、
ノーベルの死後70年に、
経済学賞が設立された。
都合、5分野+1分野。
大村先生は生理学・医学賞、
梶田さんは伝統の物理学賞。
日本からの受賞は、これまで24名。
ヨーロッパ以外では一番多い。
さらに21世紀に入って日本は、
自然科学賞部門では、
アメリカに次いで世界第2位。
1949年の湯川秀樹博士に始まって、
今回の梶田博士まで、
物理学賞は9人。
化学賞は7人で、
生理学・医学賞は利根川進、
山中伸弥に次いで、
大村先生が三人目。
文学賞は川端康成と大江健三郎。
平和賞は佐藤栄作。
残念ながら経済学賞は、
まだいない。
昨年亡くなられた宇澤弘文先生が、
その候補だったのだけれど・・・・。
大村教授は、
熱帯地域で流行する感染症の治療薬を開発。
実用研究。
梶田教授は「ニュートリノ振動」現象を発見し、
従来の素粒子物理学に大転換をもたらした。
こちらは基礎研究。
研究には三つの領域がある。
基礎研究、応用研究、実用研究。
21世紀の日本の自然科学者が、
相次いでノーベル賞を受賞。
嬉しくて仕方がないが、
日経新聞社説の指摘には、
同意せざるを得ない。
「多くの受賞業績が
1980~90年代の成果である」
私の世代も多い。
「足元では日本発の論文数が相対的に減るなど、
研究開発力の低下をうかがわせるデータもある。
日本の科学者が築いてきた伝統と力を、
今後も保ち発展させる長期的な方策を
考える時だろう」
まったくその通り。
明日のために、
今日できることは何か。
それを考えねばならない。
そしてなんとか、経済学賞。
誰か、とってほしいものだ。
さて、成田空港。
アメリカン航空の176便に乗り込んだ。
84番ゲートの上に秋の雲。
滑走路も日本の秋。
飛び上がって千葉県の田園風景。
太平洋上は雲海に覆われていた。
11時間40分のフライトで、
真っ暗な夜の中から朝日が見えた。
そしてテキサス州ダラスのダウンタウン。
意外なようだが、
緑に囲まれ、湖も多い。
ダラス・フォートワース空港に到着。
長旅の疲れもなく
みんな元気です。
商人舎視察で最初に訪れるのは、
世界ナンバー1小売業のウォルマート。
この店舗は2層式で、
1階がサムズクラブ、
2階にウォルマートスーパーセンターがある。
そしてプロモーションスペースでは、
早くもクリスマスの早仕掛け。
早仕掛け・早仕舞い・際の勝負。
2階のウォルマート・スーパーセンター。
ダウンタウン立地だから、
駐車場も2層。
入口の青果売り場のトップには、
感謝祭をイメージさせる、
リンゴのプレゼンテーション。
今の時期はどの店舗も
ハロウィンプロモーション真っ盛りだが、
ウォルマートは感謝祭、クリスマスと、
三段階に渡って早仕掛けをする。
誤解されているが、
ここがウォルマートの本質であり、
強さでもある。
規模が大きい。
価格が安い。
それもある。
しかし顧客を喜ばせる販促を、
徹底して現場で展開する。
それがウォルマートだ。
次にトムサム。
セーフウェイが展開する、
テキサス地区のバナー。
そして「Buy One Free One」のセール。
最近日本でも見かけるようになったが、
1つ買えば1つタダという、
なんとも言いようのないセール。
この売り方は、
今年1月にセーフウェイと統合した、
アルバートソンが得意とするもの。
もう統合「成果」(?)が表れ始めた。
インタビューに応じてくれたのが、
店長のジョシーさん。
キャリア11年の29歳。
クローガーのポリシーや、
店長としてのマネジメントの考え方を、
丁寧に話してくれた。
2階のイートインコーナーから見下ろす
青果売り場。
フレッシュフェアは、
通常店より売り場面積が狭い。
生鮮強化型の店舗。
クレンリネスが徹底された美しい売り場。
そのジョシーさんのお尻のポケット。
羽箒。
「これが一番大事な道具です」と、
自慢げだ。
大事な大事なクレンリネスを、
店長自ら励行している。
いいインタビューだった。
ナイスガイの店長ジョシーさんに感謝。
フレッシュジュースを拡販していた、
青果売り場のマネキンの女性。
クローガーのフレンドリーサービスを実践し、
いい笑顔。
デリ売り場の中央には
ニューヨークで人気の、
チーズ専門店「Murray’s」が出店。
(株)マツモトの松本隆文社長は、
視察のたびに、必ず、自ら、
商品の価格調査を行う。
店頭のプロモーション・スペースでは
メーカーと一緒に、
もう一つの新しいプロモーションを設営中。
全米ナンバー1スーパーマーケットのクローガー。
47四半期連続既存店増収。
改装投資とこうしたプロモーションの仕掛けが、
既存店躍進に寄与している。
店内で、グリルしたソーセージなども提供する。
米国セブン-イレブンがベンチマークする。
FORTUNE「働きがいのある企業100社」に、
連続で選ばれ、今年は54位。
ちなみにホールフーズが55位だから、
クイック・トリップの凄さがわかる。
コンビニでもと言っては失礼だが、
働きがいのある企業になることができる。
これは覚えておいてほしい。
夕方に再びダラス・フォートワース空港に戻り、
サンアントニオに向かう。
サンアントニオに着いたのは19時過ぎ。
ホテルはリバーウォーク沿いの、
エンバシー・スイーツ。
早速、事務局とともに、
リバーウォーウォークを散策。
アメリカ人に人気の三大観光スポットのひとつ。
運河沿いのイタリアンレストランで、
サンアントニオの味を満喫し、満足。
左は現地コーディネーターの藤森正博さん。
私の隣から(株)伊藤園の木村修さん、
JTB西日本の小坂裕介さんと佐藤公彦さん。
長いながい一日。
しかしアメリカ食品小売業のトップ3、
ウォルマート、クローガー、
そしてセーフウェイ+アルバートソン。
まずは、いい視察研究ができた。
おつかれさま。
(つづきます)
〈結城義晴〉