12月商人舎標語「自ら軛を断て。」と2015ヒット商品番付
今月の商人舎標語。
月刊『商人舎』12月号の巻頭言と連動。
タイトルは、
自ら軛を断て。
あなたは縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
牛が曳かれてゆく。
首の上に木製の棒がつけられている。
軛(くびき)である。
牛は何も言わない。
ただひたすら下を向いて、
のろのろと歩いてゆく。
強制されているからか。
それが自分の役目だとでも観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。
商人はもともと自由である。
一人の顧客と対面するとき、
一人の商人は奔放である。
ところがその自由な商人のなかに、
いつのころからか軛につながれる者が出てきた。
社畜と堕す者が生まれた。
ひたすら命令に従う者、
顧客や市場よりも体制に迎合する者、
権力や理論に従属する者。
強制されているからか。
それが自分の役目だとでも観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。
2015年が終わろうとする今、
そんな軛を、自ら断ちたい。
正々堂々、顧客や市場と向き合いたい。
組織人でありつつ、
独立自営商人の気概をもちたい。
自分で考えぬく脱グライダー商人でありたい。
あなたは今も縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
〈結城義晴〉
今年最後のメッセージ。
ハードパンチを繰り出してみた。
12月10日発行号、
ぜひご期待いただきたい。
さて、自分の雑誌の締め切りで忙しい中、
古巣の㈱商業界『食品商業』に、
600号記念の原稿を寄稿した。
1万0147字。
長編、力作。
発刊されたら読んでください。
私も、そのメディアの通巻600号の中で、
1989年2月号(通巻215号)から、
2000年10月号(通巻390号)まで、
編集長を務めた。
11年9カ月、都合176号。
歴代の編集長の中で一番長い。
感慨は深い。
私の次に長かったのは、
初代編集長の故今西武さん。
創刊号から167号まで。
私はこの雑誌編集部で、
今西編集長の部下として、
1982年から4年間、仕事をした。
自分で編集長を辞した後も、
編集局長や社長としてかかわったから、
1982年から2007年まで、
25年間、このメディアに関係した。
人一倍、愛着はある。
そんなこともあったので、
古巣商業界の雑誌の最新号を、
ちょろちょろっと覗いて見た。
月刊『販売革新』12月号は、
【総力特集】
2016年に生かす「好調企業の勝ちパターン」
ん~っ、「勝ちパターン」か。
パターンで勝てれば苦労はしない。
なんだか、ひどく安易。
そのパターンをこそ、
タイトルにしてほしい。
野球で言えば、
「先行逃げ切り」だとか、
「粘って粘って大逆転」だとか。
しかしこの野球のパターンでも、
結構、類型的だ。
「勝ちパターン」はつまらない。
月刊『商業界』は、
【総力特集】
あなたの商いを強くする
「編集力と伝える力」
語感の問題だが、
「編集力」なら「伝達力」か、
「伝える力」なら「編む力」か。
「勝つ」とか「強くする」とか、
結局は売上げ至上主義?!
それこそ、編集部の編集力が問われるね。
月刊『食品商業』の12月号は、
【特集】本当に学ぶべきアメリカSM
タイトル「本当に学ぶべき」は、
おもしろくない。
それに、前にも書いたけれど、
学ぶべきと教えているマリアーノスは、
赤字を出してクローガーに買収された。
セーフウェイはサーベラスに買収されて、
店は閑散としている。
反面教師なら学べるけど、
そうは書かれていない。
ただし、島田陽介先生の主張には、
いつもながら同感だ。
ついでにダイヤモンドフリードマン社。
『ダイヤモンド・チェーンストア』
12月1日号特集は、
「いざ切り拓け、数兆円!
ナチュラル・オーガニック市場」
このメディアは、
こういうの、得意です。
広告も集めているんだろう。
さらについでに、
月刊『マーチャンダイジング』の
【総力特集】
30社 150店舗顧客満足度調査2015
「エクセレントストア」の新条件
これ、『食品商業』や『販売革新』でも、
やってた。
こちらはドラッグストアなんだろうけど。
ほんとうに新条件がみえてきたの?
このメディアは商業界のOBたちがやっているし、
私、応援している。
と、まあ、業界の雑誌を垣間見たけど、
活字離れが激しい中、
ネットに押されないように、
頑張ってほしい。
全体にいえる印象は、
ピーター・ドラッカー先生も言ってるが、
自分の目で見て、
自分の耳で聞いて、
自分で考えて、
自分で書くこと。
わが身を顧みず、ちょっとだけ、
先輩風を吹かしてみました。
みんな、かわいい後輩たち。
許してください。
最後に、日経MJ12月2日号。
もう恒例の『2015年ヒット商品番付』
東の横綱は「北陸新幹線」
西の横綱は「ラグビー桜ジャパン」
東西横綱はどちらも顧客が買えないモノ。
つまり「商品」ではない。
大関は東の「火花」
西の「定額配信」
張出大関は、
東の「ハローウィン・フィーバー」
西の「肉食ブーム」
フィーバーとブームか。
これでは「2015年ヒットしたコト番付」だ。
時代は変わった。
その変化に対応しなければ、
メディアも生き残れない。
古い観念、
古い慣習、
古い理論。
その軛を断たねば、
生き残れない。
〈結城義晴〉