「バターはどこへ消えた?」と顧客が求める「経路の純化」
昨日から今日にかけて、
月刊『商人舎』12月号の巻頭論文。
1万5612字。
1本の原稿としては、
これまでのところ最高字数。
いまや立教大学のビジネスデザイン研究科では、
修士論文が2万字だというから、
それに近い量だ。
月曜日には『食品商業』に1万1000字。
量を書けばいいというわけではないけれど、
必要ならば「量」も書く。
村上春樹さんは、
長編小説を執筆するとき、
きっちり1日に10枚書く。
つまり400字×10枚で4000字。
私もそのくらいのスピードで、
ゆっくりと書きたいものだとも思うが。
今日は雨の中、
午前中に千葉の海浜幕張に向かった。
イオンタワーに。
イオンリテール㈱の広報グループに、
お世話になった。
大塚聡さんと来間祐也さん。
写真はないけれど。
電子マネー推進本部本部長。
たっぷり2時間近く話し合って、
固い握手。
上山さんは、
イオンクレジットサービス㈱常務取締役から、
2013年5月に現職に。
専門家の話を聞くのは、
本当に勉強になる。
私も「商業の現代化」の話をして、
結構、満足した。
ありがとうございました。
さて、日経新聞経済欄。
「バターはどこへ消えた?」
政府の規制改革会議議長は、
住友商事相談役の岡素之さん。
大手乳業メーカー幹部から、
バター需給の現状を聞き取り調査。
雪印メグミルクの小板橋正人さんは、
「特約店にはまんべんなく
バターを供給している。
それなのに末端の店頭にないのは、
乳業メーカーからすると不思議だ」
取締役執行役員酪農部長の発言。
さらに明治の木島俊行さん。
こちらは執行役員酪農部長。
「足元は一昨年並みの在庫が積んであり、
この冬は潤沢に供給できる」
農林水産省の主張。
「緊急輸入でバターの供給は十分だ」
農水省は「国内の生乳需給の調整弁として、
バターを国家貿易で輸入する立場。
しかし一方で、
全日本洋菓子工業会は、
「毎年、緊急輸入したバターの数量と
市場に出回る量はかけ離れており、
一体どこにあるのだろうというのが
業界の疑問だ」
この工業会はバターを使う「川下」
そこで日経は疑問を呈する。
「バターはどこにあるのか」
農水省の第1の疑問。
「高値を狙って流通段階で
在庫をためている業者がいるのでは」
第2は構造問題。
「原料である生乳をつくる酪農家の減少や、
複雑な流通制度によって
生産が一部メーカーに偏っている」
岡議長の規制改革会議は、
「流通経路や供給体制をさらに点検し、
来年6月をメドに解決策をまとめる」
1962年に林周二先生が、
『流通革命』を発刊。
ここで問いただしたのは、
「問屋無用論」よりも、
「流通経路の純化」である。
その意味では、
現在でもまだまだ
『流通革命』が必要な領域がある。
故中内功さんや、
故渥美俊一先生に、
復活してもらって、
活を入れなければいけないのだろうか。
「バターはどこへ消えた?」
このフレーズは当然ながら、
2000年11月発刊の本のパクリ。
『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン執筆のベストセラー。
買って読み始めた記憶があるし、
読みやすく書かれた本だったとは思う。
タイトルはよく覚えているが、
途中でやめてしまったはず。
なんだか説教臭かった。
しかし「バターはどこへ消えた?」は、
しっかりと解明してもらいたい。
林著『流通革命』は、
スペンサー・ジョンソンの平易さはなけれど、
こう言い切る。
「顧客は明らかに
経路の純化を求めているのである」
〈結城義晴〉