「ちゃんとやったほうが、おもしろくなる」と「モダンの逆走」
Everybody! Good Monday!
[2015vol49]
2015年第50週です。
12月第2週。
あと3週間と5日で、
今年が終わる。
師が走る「師走」。
今年も忙しかった。
しかし忙しさに、
ありがとう。
今週木曜日10日は、
公務員のボーナス支給日。
一般企業も、この時期にボーナスを出す。
そして来週火曜日15日は、
年金の支給日。
年金受給者の人たちも、
ちょっと懐が温かくなる。
Weekly商人舎の日替わり連載、
月曜朝一・2週間販促企画が、
そのことを指摘している。
商人舎magazineの日替わり連載は、
月曜日が2週間販促企画、
火曜日が2週刊天気予報。
どちらも「グライダー効果」がある。
引っ張ってもらうことの効用。
グライダー商人になってはならない。
しかし日常的な行動レベルでは、
『グライダー効果』は活用すべし。
さて糸井重里の『ほぼ日』
巻頭言は「今日のダーリン」
「年の暮れになると、
なにかと1年を振り返るよね」
「生き急いでいるわけでは
決してないのだけれど、
すいぶん、いろいろやってきている」
「仕事でも遊びでも同じなんだけれど」と断って、
ちゃんとやったほうが、おもしろくなる。
ちゃんとやらないと、おもしろくならない。
「これは、人がなにかするときの
『法則』みたいなものだ」
まったくの同感。
木枯や生き急ぐ手をふと止めて
〈朝日俳壇より オランダ・モーレンカンプふゆこ〉
今日は朝から横浜商人舎オフィス。
窓のそとは、紅葉。
午前中に當仲寛哲さんが、
やってきた。
USP研究所所長。
お供は久保田大樹君。
ポルトガルにITの会社をつくった。
相変わらず、精力的な天才だ。
そのポルトガルの凄い商品を、
日本に普及させようという相談。
おもしろい。
さてさて日経新聞のオピニオン欄に、
「止められるか『近代の逆走』」
日経きっての論客・芹川洋一さんが、
世界の情勢について分析し主張する。
「秩序がくずれ混迷してしまうのか、
それとも新たな秩序づくりに動いていくのか」
私も関心を持つテーマ。
「イスラム国」(IS)によるパリ同時テロ、
そのISの本拠地シリアへの空爆、
そこで欧州に押し寄せるシリア難民、
一方で、ロシアのウクライナ侵攻、
波立つ南シナ海……。
芹川さんは、一本の補助線を引く。
ピーター・ドラッカー先生、
「20世紀の原理や原則を補助線とせよ」
そこで「モダン」を3区分する。
プレモダン、モダン、ポストモダン。
英国の外交官ロバート・クーパーの提唱。
著書は『国家の崩壊』。
第1は、権力がばらばらで、
国の体をなしていない混沌とした
「プレモダン」(前近代)の世界。
第2は、国民国家による
「モダン」(近代)の世界。
安全を保障するものは軍事力と考える。
国の主権が何より優先する。
第3は、相互信頼が尊重され、
国という枠組みを超えていく
「ポストモダン」(脱近代)の世界。
欧州連合(EU)がいちばん進んだ例。
クーパー・モデルは欧州統合を念頭に、
21世紀の国家の進むべき方向を示した。
芹川さんは、
理想型で魅力的な議論だが、
「どうにも一本調子では進んでいない。
むしろ逆走している」と否定的だ。
「ク―パー・モデルの逆回転こそが、
世界の現状ではないか」。
ISはまさにプレモダンの世界。
パリの同時テロも9・11も、
プレモダンからポストモダンへの攻撃だ。
それに対するフランスの行動は、
ポストモダンの態度ではない。
モダン国家そのもの。
さらにモダンからポストモダンへの挑戦の例。
ロシアのウクライナ介入、
中国の南シナ海「9段線」の自国領化。
新潟県立大の山本吉宣教授。
「08年のリーマン・ショック以来、
モダン国家の力が相対的に強くなった。
ポストモダンが引っ張られて
モダンの世界に逆戻りしているものの、
なくなったわけではない。
プレモダンを含めて3つが併存している」
これが正しい認識だ。
Forbesのグローバル500。
世界の企業ランキング。
最新版のトップは、
やはりWalmart、年商4857億ドル。
第2位は、Sinopec Group、4468億ドル。
第3位はRoyal Dutch Shell、4313億ドル。
第4位China National Petroleum、4286億ドル。
第5位Exxon Mobil、3826億ドル。
2位と4位が中国の石油会社。
アメリカは1位のウォルマートと、
5位のエクソン。
第6位BP、3587億ドル。
第7位State Grid、3394億ドル。
第8位Volkswagen、2686億ドル。
第9位Toyota Motor、2477億ドル。
第10位Glencore、2211億ドル。
7位に中国の電力会社。
日本は9位のトヨタ、
ドイツは8位のフォルクスワーゲン。
モダン国家の中国が、
グローバル企業ランキングを、
近代に引き戻している。
モダンによるポストモダンへの挑戦の結果、
「ポストモダン国家は再近代化し、
近代国家は近代秩序からはみ出そうとし、
プレ近代は国際秩序そのものを否定する」。
これを「常態」ととらえて芹川さんは、
「ニューモダン」(新しい近代)と名づける。
芹川論説委員長の結論。
「だからこそ、うまく管理し
近代の逆走をとどめることを考えないと、
世界は無秩序の淵に追いやられる」
ん~、最後が惜しい。
どう「うまく管理」すればいいのか。
「ニューモダン」の新語も、
もう一歩か。
ここはフリードリヒ・ヘーゲルの弁証法を信じつつ、
やはりポストモダンの理想を、
追い続けるしかないだろう。
私はそう思う。
ストーブに話煮詰めてをりにけり
〈同 北海道鹿追町・高橋とも子〉
年の瀬には、
世界のことを考える。
もちろん、
ちゃんとやったほうが、
おもしろくなることも。
ではみなさん。
最後の3週間と5日間。
ちゃんとやりましょう。
その方が断然、おもしろい。
Good Monday!
〈結城義晴〉