セブン-イレブン焼き菓子「売り方の原則」と「ダイエー」を残す
セブン-イレブンの焼き菓子。
クリスマスケーキはここまで、
全国的にいい動きを見せていないが、
焼き菓子は売れている。
特にレーズン・サンド。
これは別の店だが、
エンドでこれだけフェースをとれば、
間違いなく売れる。
新しい、いい商品を開発して、
オーソドックスな売り方をすれば、
必ず売れる。
大久保恒夫の「5つの売り込み方」
現在はセブン&アイ・フードシステムズ社長。
第1が、「優位置陳列」。
顧客が多く通るところ、よく目が届くところを、
大久保さんは「優位置」と称する。
セブン-イレブンの場合も、
ゴンドラエンドは優位置の代表。
第2は、フェースを広げる。
陳列フェーシング数を増やせば、
目立ちやすくなる。
第3は、「豊富感」。
そのために在庫を多く持って、積み上げる。
陳列棚にいっぱいにする。
第4に、「POP」をつける。
商品の良いところを的確にアピールする。
最後に第5に、「接客」をする。
余裕があれば、声を掛けて、
推奨販売をする。
鈴木哲男さんは「重点商品」の売り方を、
簡潔に説明する。
ご存知、52週MDの権威。
第1に目立つところで陳列する。
これは大久保さんと同じ。
第2に目立つように陳列する。
ここに陳列技術が登場する。
このテクノロジーとして、
定型陳列と変化陳列がある。
これは鈴木國朗さん。
変化陳列が目立つプレゼンテーション。
ただし変化陳列ばかりでは、
全体がごちゃごちゃして、
かえって目立たない。
定型陳列7割、
変化陳列3割が目安。
もちろん企業によって、
フォーマットによって、
プレゼンテーションの政策は、
異なってよろしい。
この際、POPを活用するが、
その「POPの原則」がある。
①商品自身で語らせる
②商品自身で語り得ないもののみ
POPをつける
そして POPを取り付ける場合の大原則。
③安い商品はより安く見えるPOP
④良い商品はより良く見えるPOP
コトPOPのつけ過ぎは、
変化陳列のやり過ぎと同様に、
売場がごちゃごちゃになって、
顧客にわかりにくくなる。
鈴木さんの「重点商品の売り方」、
第3は商品のバラエティを増やす。
そのためにひとつは単品を増やす。
つまり量目、サイズ、価格などを増やす。
二つは、同じもの、似たようなもの、
関連するものは1カ所に集める。
セブン-イレブンの焼き菓子エンドはそれだ。
セブン-イレブンの焼き菓子売場を見て、
「原則」の重要性を感じた。
小売業も製造業も卸売業も、
このくらいのことは知っておくべきだ。
それが知識商人の条件である。
さて、日経新聞が報じたが、
「一般社団法人ダイエーグループOB会・飛翔会」が、
この25日のクリスマスに設立される。
設立時点で、会員数500人超。
元ダイエー役員や社員が参加する。
うれしい話だ。
会長には藤原謙次さんが就任。
適任だ。
藤原さんは昭和44年ダイエー入社、
その後、ローソン社長・会長を歴任、
ファンケル社長・会長も務め、
現在は㈱カカクコム、㈱サンドラッグ取締役。
ダイエーは今年1月に、
イオンの完全子会社となった。
そして、食品スーパーマーケット企業として、
再生を図る方針だ。
この際、店舗バナー名は、
「グルメシティ」を使っているし、
2018年度を目途に、
「ダイエー」の店舗名が廃止される。
そこで藤原さんたちは、
一般社団法人名に「ダイエー」の名称を入れて、
日本「流通革命」の中核的な役割を果たし、
チェーンストア産業づくりに貢献した、
その歴史や功績を語り継ぐ。
私は「商人の本籍地と現住所」を、
主張している。
「本籍地ダイエー」――そんな商人は多い。
そのダイエーの名称が残る。
彼らにとって「本籍地」が、
いつまでも存在し続けることになる。
今月の月刊『商人舎』の【特集】は、
「流通革命論」の軛(くびき)を断つ
2015脱チェーンストア経営の弁証法
これは裏返せば、
ダイエーの総括でもあった。
後藤新平の言葉。
金を残すは下策、
事業を残すは中策、
人を残すは上策。
前にも書いたが、
中内功さんは、
きっと後藤新平の言葉を、
思っていたに違いない。
中内さんは巨額の借金を残し、
ダイエーという事業体は残りそうもないが、
多くの優秀な人材を残した。
まさに「人を残す」の実践者だった。
その人材たちが組織をつくる。
いい時期に「ダイエーグループOB会」が、
一般社団法人として発足する。
うれしい話だ。
〈結城義晴〉