タバコ値上げ後の「コンビニの明暗」はマラソン35キロ地点の上り坂を象徴する
日本たばこ協会発表の10月の国内たばこ販売量。
大いに注目が集まった。
結果は前年同月比マイナス69.9%。
なんと7割も売上本数が減ってしまった。
本数にすると急減して61億本となった。
20本入りで換算すると3億箱。
これが3割に当たるから、
前年は200億本、10億箱だった。
タバコ市場全体の2010年度予測は、
販売数量が15%減の約2000億本、
金額ベースでは10%減の約3兆2000億円。
タバコだけで3兆円とは、考えてみると凄い。
しかし、この数年は、
年率4~5%でダウントレンドにあった。
10月1日からの大幅値上げ。
根本にはタバコ増税がある。
9月には駆け込み特需が起こり、
その大反動と、「この際禁煙派」の増大。
一番大きな痛手を受けた小売業はコンビニ。
なにしろ売上高の25%、4分の1ほどを
タバコ販売に依存してしまっていた。
サークルKサンクスがマイナス11.1%
ミニストップはマイナス10.6%、
ファミリーマートもマイナス9.9%。
この3社は二桁レベルの全体売上げダウン。
一方、ローソンはマイナス3.1%、
セブン-イレブンはマイナス2%ほど。
この格差が、実は大きいと見る。
すべてのコンビニが9月から10月と、
「タバコ値上げ対策」を打った。
新製品開発、割引キャンペーンなどなど。
しかし、ペースダウンの痛手には、格差が生じた。
日本コンビニのマラソン競争、
35キロ地点で急な上り坂を迎えた。
ここで一気に、抜け出すものが出てくる。
私は、ずっと言い続けている。
ハナから見方は決まっている。
はてさて、その通りになるものやら。
タバコ需要よりもそちらに興味は傾いてきた。
さて昨日は午前中、
横浜の商人舎オフィスを、
出版界のお二人の大先輩が、
ご訪問くださった。
㈱イースト・プレス取締役編集顧問の前原成寿さんと、
エディターズオフィスK代表の奥平恵さん。
最新の出版事情と、とてもありがたいお話。
恐縮至極。
その後、午後3時から東京・目白。
学習院大学キャンパス。
学習院マネジメント・スクール。
この中に故田島義博先生を記念した「DSCM基礎コース」が設けられている。
その2010年度のグループワーク成果発表会が開催された。
4つのチームに分かれて、共同研究が展開され、
その成果が発表された。
第1のチームは「試練の年」。
「FSPデータを活用した仮説による売場構築検討手法の
フレームワーク化に向けた提言」
第2のチームは「SCドM」。
「シニアマーケットにおけるビジネスモデル提案」
第3のチームは「HOTKY」。
テーマは「2030年未来スーパーについて」。
そして第4のチームは「モヤモヤスッキリ」。
こちらはなんと「イオン北海道の勝ち残る戦略」。
それぞれにきわめて興味深かった。
私は、㈱商業界時代から、
このスクール創始者の田島先生にはお世話になった。
さらに学習院大学経済学部長の上田隆穂先生には、
本当に懇意にしていただている。
上田先生がこのスクールの所長。
上田先生にはコーネル大学RMPジャパンの講師をお願いしている。
そんなこともあって、
私はこのマネジメント・スクールで、
「流通概論」を講義している。
だから毎回、この成果発表会には参加して、
講評をする。
さて今回は、ちょっと辛口だったか。
今回の共同研究は、全体で見ると、
高齢化社会に広がるシニアマーケットにいかに対応するか、
さらにその中でターゲティングとポジショニングをいかに確立するかに、
テーマが集約された。
とても優れた視点であり、
有益な切り口だった。
ただし、優れて有益であれば、
期待値も大きい。
その意味で、私のやや辛口コメントは、
この後、各人に課されている最終レポ―トに、
活かしていただきたいと思う。
上田先生の最後の総評。
やはり素晴らしい。
論理性をつくりだすには、
いかに考え、いかに問題設定し、いかに分析するか。
それが良く解った。
成果発表と総括が1時間ほど延長して、
それが終了したら、7時から懇親会。
成果発表会で優秀チームの表彰。
受賞はHOTKYチーム。
未来型スーパーマーケットの考察が、
綿密な調査をもとに展開された。
受賞者には、プレゼントが贈られた。
私の著書『お客様のためにいちばん大切なこと』
私は5人の皆さんに、それぞれ異なる言葉を書いて贈った。
私の隣から、カルビー㈱小池美帆さん、
㈱成城石井の早藤正史さん、
リーダーの花王カスタマーマーケティング山田耕司さん、
㈱サイバーリンクス高幣昌典さん、
㈱なとり大川昌俊さん。
そして講師の松川孝一さん。
皆さん、おめでとう。
懇親会の最後は、全員で記念写真。
学習院マネジメント・スクールには卒業生の会がある。
「桜実会」と称し、もう既に300人を超えるネットワークとなっている。
頼もしい組織だ。
胸を張ってその一員となるためにも、
最後のレポートはより良いものを書いてほしい。
私のやや辛口コメントはそのためのもの。
プロセスは、大事だ。
しかし私は、いつも言う。
「まだ、遅くはない」
最後の作品こそ、
その人の本当の実力だ。
最後の最後まで、あきらめない。
それが、一番最後に、
自分の誇りにつながるのだと思う。
健闘を祈りたい。
<結城義晴>