EATALY・Mariano’s & Beyond in Chicago
アトランタに移動してきた。
東海岸ジョージア州の州都。
アトランタ五輪は1996年。
晩年のカール・ルイスがこの五輪でもまだ、
走り幅跳びで金メダルを獲得。
あれからもう20年。
アメリカのギャップが、
オールドネイビーのフォーマットを、
日本から撤退させる。
全53店舗は来年1月までに閉鎖されるが、
ギャップとバナナリパブリックの約200店は存続。
オールドネイビーは、
ギャップの低価格路線フォーマット。
ギャップがレギュラー価格ゾーン、
バナナリパブリックが高価格ゾーン。
日本では低価格ゾーンの闘いで、
まずね音を上げた形。
アジアでの売上げは直近の四半期で、
16%の伸びを示しているが、
それだけに日本マーケットの難しさが示された。
ユニクロにおけるguの役割で、
そのguやしまむらには、
太刀打ちできなかったということだ。
さてシカゴの小売業研究。
ウォルマートやマイヤー、
ジュエル・オスコーとは、
別の次元のマーケットが切り開かれている。
まず、イータリー。
アメリカでは2010年のニューヨークに続いて、
2014年3月1日にオープン。
私は同年10月に訪れた。
そして、ニューヨーク以上になるだろうと思った。
2フロアで、1階がドリンク、
2階が食品と酒。
エスカレーターとエレベーターで、
1・2階を繋ぐが、その空間が素晴らしい。
日本のスーパーマーケットも、
このデザインやプレゼンテーションを、
学び取りたい。
二人の女性がずっと案内してくれた(右は日本人のガイド)。
チーズ売り場はイタリア産ばかりで、
300アイテム。
今、一押しの商品を、
テイスティングさせてくれる。
説明に熱心で、
それだけで感動もの。
ミート売り場もイタリアンカッティング。
ベーカリーはインストアで、
焼き上げたばかりの商品を提供。
オリーブオイルも、
このおじさんが熱心に説明。
そのあとで、試飲させてくれる。
パスタはイタリア産の超売れ筋から、
珍しいアイテムまで。
米国三井物産のアテンドで、
この取材が実現した。
左端が和田幸成さん、
三井物産㈱流通事業本部西日本食料部次長。
それから前原創さん、
米国三井物産取締役。
右端はミラクル前田。
感謝しておきたい。
レストランは500席。
}
ニューヨーク店の狭さを反省して、
シカゴ店は存分のスペース。
外光が入って輝くばかりの、
ビールバーとワインバー。
私たちも昼食はここ。
ビールとパスタを堪能。
この醍醐味。
イータリーのコンセプトは、
必ず日本に入ってくる。
そのコンセプトこそ、
しっかりと学んでおくべきだ。
学んで、食べて、買う。
それを顧客に提供する。
出口ではかっこいいガードマンが、
送り出してくれた。
それからマリアーノス。
9万2000平方フィートの新店。
昨年6月オープン。
こちらでも話題になっている。
ジョン・ナイランさんが丁寧に応対してくれた。
ストア・ディレクター。
ジュエル・オスコーで20年勤務し、
マリアーノスにスカウトされた。
でかい店にはでかい店長。
必要条件(?)。
まず入り口を入ると、
青果部門。
これはウェグマンズの常套手法。
凝ったプレゼンテーションも、
施されている。
しかし1年経過して、
週末とウィークデーとに落差がある。
青果部門には平日、
その影響が現れやすく、
売場も乱れやすい。
青果の左手のベーカリーショップから、
さまざまなイートイン・ショップが展開される。
野菜バーでも高い椅子でイートインができる。
そしてガラス張りのチーズショップ。
天井からチーズがぶら下げられ、
素晴らしい香りが漂う。
この環境で様々なイベントも展開される。
そして対面ミート売り場。
何でも注文を聞いてくれる。
店舗左翼のフードサービス部門は、
そんなイートインもできるショップ群。
これはオイスターバー。
ワインバーやコーヒーバーがあって、
最後にイートインスペース。
私たちもここでランチ。
青果から店舗奥主通路を右手に折れると、
スパイス&ソルトのバルク売り場。
そしてリカーショップ。
3000坪の店の奥行。
グロサリーが店舗右手。
これもウェグマンズスタイル。
その中の大容量安売り品通路。
ビッグ・バイ!
ストリート・マーケットは、
シカゴ市内の市場の再現。
奥主通路には島陳列で、
ディスカウントアイテムが並ぶ。
水はマリアーノスの親会社ラウンディーズのPB。
そのラウンディーズも現在は、
クローガー傘下だけれど。
ただしラウンディーズのPBでは、
価格インパクトに欠ける。
早いところクローガーの商品を導入すべきだろう。
左翼には冷凍食品のコーナー。
ウェグマンズと同じ。
レジ前は見通しがいい。
そのレジ前エンドも、
ウェグマンズの斜め陳列。
店が広いだけ、チェックスタンドも多い。
ウェグマンズの大型店は、
約2000坪だが、
マリアーノスのこの新店は、
3000坪で1.5倍に拡大した。
ウェグマンズの2000坪は、
最適の生産効率をはじき出しているが、
さて、マリアーノスの3000坪はいかがか。
フードサービス部門など、
素晴らしいけれど、
全体最適がちょっと気にかかる。
クローガーに買収されたラウンディーズ。
ウィスコンシン州、イリノイ州のローカルチェーン。
買収額は1億7800万ドル、
100円換算で178億円。
151店舗のラウンディーズに、
マリアーノス35店も含まれるが、
買収としてはいい案件だった。
ただし、負債を含めた総投資額は、
約8億ドル、800億円。
私は早いところ、
クローガーの強みを、
この店舗にも導入したほうがいいと思うが、
ジョン店長は、
「向こうが学びに来ている」
もともとジュエル・オスコーの人だから、
クローガーには敵対意識があるのか。
プライドの塊のような店長だった。
三番目の訪問はヘインズ。
この地のローカルチェーン。
まず青果部門が素晴らしい。
このクォリティ。
もちろんオーガニックもコーナー化されている。
青果の弱い店は、
アメリカでは生き残れない。
それだけでなく、
客数が減ってくると、
青果部門が弱体化する。
そしてますます弱くなる。
精肉部門、デリ部門と、
この店の高いクォリティを表現しているが、
最後のワイン売り場がまた素晴らしい。
店舗入り口には、
サービスデリの予約自動販売機。
店に入ったらすぐに、
この機械で予約しておく。
そうすると買物している間に、
つくりたてのデリが用意される。
デリック・バーチェニーさんが、
案内して質問に答えてくれた。
そして記念写真。
左端が三井物産の和田幸成さん、
四番目はプラムマーケット。
支店経営の地元スーパーマーケット。
店舗数は5店。
マンションの1階の店で、
狭いと思ったら意外に広くて、
2万平方フィートはある。
560坪。
入口の青果はクォリティ優先。
ゴッサム・グリーンのブランドを入れている。
ニューヨーク・ブルックリンの、
ホールフーズ環境対策店舗にも、
同じブランドが導入されている。
その青果部門は美しい。
キッチンと名づけれらたサービスデリ。
セルフサービス・デリも最新型。
この惣菜アイテムに顧客がついている。
そしてインストアベーカリー。
最後に「シーズ・キャンディ」のショップ。
人気のショップを導入した。
そして店舗右サイドは、
ワインバーとカフェ。
規模は小さくとも、
いち早く最新のトレンドを取り込んでいる。
規模が小さいからこそ、
それをしなければ、
生き残ってはいけない。
アダム・ラッコウスキーさんを囲んで、
スマイル写真。
店内を案内してくれたアダムさんに、
お土産を進呈したら大喜び。
カフェスペースをもっと充実させるそうだ。
小さいからこそ、素早く変わらねばならない。
そして最後に隠れた実力者、
フレッシュファーム。
この店も天井は高くて、
最新の店づくりのスタイルだ。
そしてこの陳列。
ダミーを使って、
最大限のボリューム感を出している。
店名のFresh Farmは、
新鮮な農場。
まさにそれ。
青果部門のコンセプトが、
それ以外の部門でも貫かれている。
バラ菓子のバルク風販売。
フレッシュファームも、
独自の個性を出していて、
昨日のジュエル・オスコーとは違う。
ポジショニング戦略は、
中小小売業のニッチ戦略展開上も、
基本の考え方となるのだ。
Chicagoの競争。
ウォルマートとマイヤー。
これはハイパーマーケット業態の闘い。
そして今回は訪れる時間がなかったが、
ホールフーズにトレーダー・ジョー。
それからEATALYとMariano’s。
マリアーノスがフューチャーストアに、
必死で近づこうとしている。
しかしこの企業も今は、
クローガー傘下。
もちろんインディペンデント企業も、
ヘインズ、プラムマーケット、
そしてフレッシュファーム。
イリノイ州シカゴ地区。
かつてはジュエル・オスコーと、
ドミニクスが2大ローカルチェーンだった。
ジュエルがアルバートソンに買収され、
ドミニクスはセーフウェイの傘下に入った。
そして今、両者は統合され、
サーベラス資本の下に集められた。
ドミニクスの創業メンバーが、
マリアーノ氏。
そのマリアーノさんが二度目に作ったのが、
ラウンディーズという会社で、
今回、マリアーノさんは、
クローガーにそれを売った。
人生で二度、会社を創業して売却。
それがセーフウェイとクローガー。
面白い人生だ。
その人生が表現された店が、
マリアーノス。
イータリーにしても、
マリアーノスにしても、
もちろんそれ以外の店にしても、
人の人生がかかった仕事だという気持ちで、
謙虚に向かい合わねばならない。
(つづきます)
〈結城義晴〉