【日曜版・猫の目博物誌 その9番外編】参議院選挙
猫の目で見る博物誌――。
猫の目はわずかな光を見分ける。
だから夜にも、暗闇でも見える。
けれど猫の目には、色が見えない。
赤や青、黄色、緑色はわからないが、
白黒を見分ける。
今日は「猫の目博物誌」番外編。
白黒を見分ける猫の目で、
白黒をつける選挙を見た。
日本国第24回参議院議員選挙。
参議院は英語でHouse of Councillors。
米語ではCouncilors。
Councillorの意味は、
議員、参事、参事官、議士、
それに顧問官、参与、評議員など。
その議員たちの「House」
ここでは「議場」といった意味。
House of Councillorsで参議院。
それに対して衆議院は、
House of Representatives。
Representativeは、
代表、総代、代議員、代表者といった意味。
日本はこの衆議院と参議院の両院制。
厳密にいえば、
両院制と二院制は異なる。
両院制は1つの議会が、
独立した2つの議院によって構成されている。
日本の衆参両議院、
アメリカの下院と上院、
イギリスの第二院と第一院など。
「二院制」は完全に独立した、
2つの議会が存在している。
ドイツでは、
国民の直接選挙で選ばれる連邦議会と、
各州政府代表で構成する連邦参議院。
フランスでは優先権をもつ「国民議会」と、
主に諮問機構として機能する「元老院」。
日本では衆議院の優越が認められている。
法律案の再可決(憲法第59条)、
予算の議決(憲法第60条)、
条約の承認(憲法第61条)、
内閣総理大臣の指名(憲法第67条第2項)。
内閣不信任決議や内閣信任決議は、
衆議院だけに認められている(憲法第69条)。
その日本の参議院議員は242人。
現在は、選挙区選出議員146人、
比例代表議員96人、
合計242人。
これは公職選挙法第4条第2項決定事項。
任期は6年。
3年おきの通常選挙で、
半数の121人が入れ替わる。
当選率31.1%。
白黒つけるとすれば、
白が31.1%、黒は68.9%。
今日はその第24回選挙。
約4万8000カ所の投票所で実施された。
立候補者数は、
選挙区225人、比例代表164人。
計389人。
激戦の神奈川選挙区。
投票所では、
携帯電話での通話は禁止。
小学校の体育館前に、
投票区が示される。
「港北」と「2」は手書き。
投票所。
出口。
投票しました。
今回から新しいことが二つ。
第1は国政選挙で初めて「18歳選挙権」が適用。
投票可能年齢が20歳から2歳下がった。
これはとてもいい。
現代人は政治的人間でなければいけないし、
そのためには若い時から意識を持ち、
訓練をしなければならない。
そして18歳投票権は国際的だ。
第2は、定数是正の方針のもと、
「合区」が導入された。
人口が少ない隣接選挙区が統合された。
選挙区間の1議席当たりの有権者数は、
均等であることが望ましい。
あくまでも1票の重さは同じであるべきだ。
そこで各選挙区の定数を、
ある一定の基準に基づいて是正する。
ただし、選挙制と税制は、
世界の歴史の中で、
時の権力者によって、
都合よく改版されてきた。
気をつけねばならない。
小売業やサービス業の場合、
「範囲の経済」の「占拠率」が、
競争において重要な意味を持つ。
絶対的数量ではなく、
相対的比率が、
その範囲の経済の中で、
意味を占める。
選挙制に、
ビジネスの原理を持ち込め、
というのではないが、
「合区」も、どこか、
割り切れないものを感じさせる。
選挙が終わった体育館。
ゆったりと時は流れる。
西の空と富士の姿。
今日はくっきりと見えた。
猫はこの白と黒を
見ている。
モノクロームの世界から。
〈『猫の目博物誌 番外編』 by yuuki〉