第9回ミドルマネジメント研修会S級獲得者と「自分だけの神」
亡くなられた人々は19人。
痛ましい。元施設職員の植松聖容疑者個人の問題か、
あるいは私たちの社会全体の問題か。「汝、殺す無かれ」
旧約聖書「モーセの十戒」
キリスト教もイスラム教も、
旧約聖書を聖典としているから、
「人を殺してはならない」ことは、
それぞれの神と人間との約束だ。
私たちの社会と、もちろん私自身の、
宗教観にも迫る問題だ。
名女優・名随筆家の高峰秀子さん。
そのツイッター、@HidekoTakamine。
今朝の9時のつぶやき。
「私は宗教を持たない。
が、私は私だけの『神』を
自分の心の中に持っている」
静かに同感。
朝日新聞社説。
「現代社会のありようも含めた広い視点から
今後の捜査を見つめ、考えるほかない」
社会の問題としてとらえる。
一面コラムの『天声人語』
「『障害者なんていなくなればいい』
という言葉は常軌を逸している。
あこがれた学校教員になれず、
悔しさを暴発させたか。
それでも園で働いた間、
入所者の笑顔に
胸を温められた日はあったはずだ」
個人の問題だと言いたげだ。
毎日新聞『余禄』
「昨今の世界で相次ぐテロにも通じる
ヘイトクライム(憎悪犯罪)とも思える」
「容疑者にとりついた魔物の素顔は
しかと見極めたい」
日経新聞『春秋』
「世界各地で起きるテロや銃の乱射。
理不尽な信条を力で押し通す排除の原理が、
ついに私たちの身近でも暴発したかのようだ」
「社会のどこかに温床があったのでは、
と胸に手を当ててみる」
注意報ばかりの続く猛暑かな
〈朝日俳壇より 枚方市・石橋玲子〉
このところ、東京・横浜は、
猛暑ではないけれど、
心の中は「猛暑・酷暑」、
そして「注意報ばかり」
〈同 柳川市・木下万沙羅〉
長谷川櫂の選評。
「重力の支配する地球で形を保つのは難しい。
立方体も球形も人間の体も」
人間の心も。
亡くなられた方々に、
哀悼の意を表したい。
さて痛ましい事件の話の後だが、
商人舎ミドルマネジメント研修会の、
成績優秀者の報告。
毎年2回ずつ開催して、
もう、第9回になった6月上旬の研修会。
2日目・3日目の朝の理解度テスト、
そして研修終了後のレポート評価。
その総合点をSABCDで絶対評価する。
Sは最優秀。
そのS級獲得者、
今回は14人になった。
多かった。
㈱平和堂
フレンドマート大石店店長
大島美邦さん
こころから、おめでとう。
この評価は、本人に封書で報告される。
同時に会社にも報告される。
上司のパワハラの道具にはさせない。
くれぐれも、そこんとこ、よろしく。
そして、これからの一層の研鑽を期待します。
さて政府の重要な決定が2点。
第1は政治面の記事。
「税抜き表示2年半延長」
政府・与党の方針。
店頭での税抜き本体価格表示は、
実は特例である。
本来は税額を含めた総額表示義務がある。
国際的に見ても、
業務的に見ても、
税金を払う側の痛痒感から見ても、
大いに矛盾のある法律。
矛盾がありすぎるから、
特例措置と特例期限が設けられた。
しかし法律は法律。
それが「消費税転嫁対策特別措置法」
この法律が2018年9月末の特例期限を、
2年半、延期することになった。
すべては消費増税の延期。
それに合わせて消費税軽減税率制度も延期。
税抜き表示の特例も延期。
特例こそ、本来の形。
延期どころか本体価格表示にすべきだ。
「最低賃金24円上げ」政府・与党がまとめる経済対策の概要。厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会が、
2016年度の最低賃金の目安を、
全国平均で822円にすると決めた。
これは過去最大となる時給24円の引き上げ。
低所得者に一律1万円以上の現金も支払われる。
狙いは、個人消費の喚起。
今回の目安を踏まえて、
各都道府県審議会が地域別の実額を決める。
改定後の最低賃金は10月をめどに適用される。
対象は住民税が非課税の低所得者2200万人。
果たして、これで消費の喚起となるか。
政権の人気取りのバラマキに終わるのか。
イオンは今春闘で、
イオンリテールワーカーズユニオンと、
正社員一律1224円(0.39%)のベースアップ、
パート従業員は時給平均23円アップで妥結。
先行企業や収益性の高い企業では、
今回の措置にも対応できるだろうが、
中小企業や収益性の低い企業には、
今回の措置は厳しい状況を生じさせる。
アメリカではウォルマートが、
この2年連続で1ドル(100円)ずつ、
最低時給を引き上げ続けた。
「政府は、
一定額以上の賃上げをした中小企業に対し、
増加分の人件費の一部を助成し、
負担を緩和する策を検討している」
1966年、当時の西友ストアーでは、
毎月、社内報が発行されていた。
巻頭言は「今月の言葉」
いつも、支配人の上野光平さんが、
感動的な巻頭言を書いた。
1969年5月の言葉。
「会社とは月給日だけに
社員の目的が達成される
苦節の場所であってはなりません」
「働くということは社員にとって、
生活のための収入を得る手段であると同時に、
人生そのものであり、自己実現の場であり、
正義を追究する機会であり、
人間として生まれた意義を知る学校であり、
人を愛することの喜びを与える
楽園でなければなりません」
「日本の社会が
有史以来の物質的繁栄を果たす中で、
哲学の貧困と人間性の希薄化が
問題とされている今日、
私たちは、人間が主人であり、
人間が目的であるという
共通の理念を基礎に、
人間としての労働条件の向上のために、
努力し続けることを
決意しようではありませんか」
なんという崇高な決意だろう。
なんという気高いメッセージだろう。
この時代、西のダイエー・東の西友と称され、
この超成長産業を担った経営者や幹部たちは、
「働くこと」の意義を高め、
労働条件の向上を、
理念として共有化していたのだった。
彼らは彼らの「神」を、
自分の心の中に持っていたのだと思う。
〈結城義晴〉