「命令好き」「3分間マスター」志向を廃し「脱グライダー」を目指せ!
あっという間に週末。
これを今年、50回繰り返し、
あと2回と迫った。
ギリギリ消費の傾向は、
ますます激しくなる。
クリスマス商戦も、24日、
ほぼ1日中通常の売れ行きで、
夕方からどっとクリスマスの商品が売れていく。
年末31日も同様。
今年の歳末商戦、
商人たちに辛抱競争を強いているようだ。
もちろん、身も蓋もない話ではあるが、
もう既に勝負は決している。
12月商戦は1年の総決算。
お客様は、1年間、
あなたの店、あなたの会社を見てきて、
その最後の決断として、
歳末にあなたの店を訪れ、
あるいはあなたの店から去る。
じたばたしても、もう遅い。
やれることだけやり遂げよう。
40歳代に、私は少年ソフトボールの監督をしていた。
試合の後半になると、いつもいつも同じように言って励ました。
大敗しているとき。
「試合を投げるな、あきらめるな、楽しめ」
大勝しているとき。
「徹底的にやっつけろ、
相手が顔も見たくないと思うくらいに叩きのめせ」
拮抗しているとき。
「練習のつもりでやろう、
一人ひとりの役割を丁寧に果たそう」
やがて私のチームは、
「あの縦じまのユニホームは見たくない」
こう言われるようになった。
さて、朝日新聞のコラム『経済気象台』
私の好きなコラムニスト遠雷氏の登場。
タイトルは「ビジネス書と賃上げ」
書店にあふれるビジネス書は、
「自己啓発やスキルアップの本」、
「会社が飛躍的に発展するかのような経営指南の本」。
しかも「『…しなさい』という命令形と『3分で…』という短時間型が圧倒的だ」。
こんな本ばかりで、
「『いいかげんにしなさい』といわれないのだろうか」。
遠雷氏は嘆く。
「それとも古典落語と同じで、
読者は同じ話を聞きたいのだろうか」。
これは確かにある。
命令調のほうが好まれる。
たとえ間違っていても、
行動提起してもらうことを喜ぶ。
3分間でできそうなことが求められる。
たとえ、間違っていても、
すぐにできそうなことの方が選択されやすい。
私は外山滋比古さんに学んで、
「脱グライダー」的な考え方をお勧めしている。
それは「命令」してもらったり、
子供だましのプラモデルづくりをするような、
安易な仕事ぶり、生き方を否定するものだ。
遠雷氏は、労働組合による賃上げに対してもモノ申す。
「生活改善方法が遠くなったことが、
個人による自己啓発の努力を促している一因だ」
「勤労者はもっと怒ってもよいのだ」
「仲間をつくり集団で争うことも、
時にはビジネス書を読むより健全だ」
「賃下げが消費意欲の減退を招き、
それが物価の下落を促し、
そのことがまた賃下げへとつながる負の循環が、
断ち切られるのはいつだろう」
よく働き、よく稼ぐ。
賃上げもできるように、
よく働き、よく稼ぐ。
そのためには「脱グライダー人間」が増えることだ。
2011年もこれは変わらない。
さて昨日は、午前中に、
㈱髙山の常務取締役・髙山時光さん来社。
菓子問屋として日本第3位の髙山は、
1923年創業で、戦前は菓子小売チェーンストアだった。
戦後、菓子卸売り業に転換し、
現在、年商1900億円直前。
髙山さんはその4代目。
今年の商人舎USA研修会に参加してくれて、
その時に私が教えたこと、
自分で考えたこと、
さらに学んだことを、
自らまとめた。
そして、質問に来た。
2時間近く、私は全力で答えた。
髙山さんが、脱グライダー人間になれると見立てたからだ。
卸売業マンとして「荷物担ぎ」から初めて、
今、将来ビジョンを策定する。
自分の会社はもとより、
食品産業を背負ってもらいたい。
そんな志を持ち続けてほしい。
そう思って、
本にサインした。
「鳥の目 虫の目 魚の目 心の目」
その後夕方、東京・表参道。
博多料理「なぎの木」。
立教大学大学院結城ゼミ2009年度卒業生の忘年会。
左から紅一点・星山朋子さん、
ゼミ長の名古屋文彦さん、
私の右が柿沼将人さん、
いちばん右が田村直純さん。
みんな元気で活躍中。
もうひとり高橋修一郎さんは、
仕事を抜けだして参加し、
早々と仕事にもどって行ったため、
写真におさまれず残念。
苦しかった修士論文や調査研究レポート執筆の思い出話に、
花が咲いた。
しかしゼミ生が仕事で大活躍し、
その忙しい中をぬって、忘年会を開いてくれる。
うれしいことだ。
みんな悩める「脱グライダー人間」。
それでよろしい。
「命令好き」や「3分間マスター人間」では、
人生がつまらなくなる。
<結城義晴>