結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年12月18日(土曜日)

「命令好き」「3分間マスター」志向を廃し「脱グライダー」を目指せ!

あっという間に週末。
これを今年、50回繰り返し、
あと2回と迫った。

ギリギリ消費の傾向は、
ますます激しくなる。

クリスマス商戦も、24日、
ほぼ1日中通常の売れ行きで、
夕方からどっとクリスマスの商品が売れていく。

年末31日も同様。

今年の歳末商戦、
商人たちに辛抱競争を強いているようだ。

もちろん、身も蓋もない話ではあるが、
もう既に勝負は決している。

12月商戦は1年の総決算。
お客様は、1年間、
あなたの店、あなたの会社を見てきて、
その最後の決断として、
歳末にあなたの店を訪れ、
あるいはあなたの店から去る。

じたばたしても、もう遅い。
やれることだけやり遂げよう。

40歳代に、私は少年ソフトボールの監督をしていた。
試合の後半になると、いつもいつも同じように言って励ました。

大敗しているとき。
「試合を投げるな、あきらめるな、楽しめ」
大勝しているとき。
「徹底的にやっつけろ、
相手が顔も見たくないと思うくらいに叩きのめせ」

拮抗しているとき。
「練習のつもりでやろう、
一人ひとりの役割を丁寧に果たそう」

やがて私のチームは、
「あの縦じまのユニホームは見たくない」
こう言われるようになった。

さて、朝日新聞のコラム『経済気象台』
私の好きなコラムニスト遠雷氏の登場。
タイトルは「ビジネス書と賃上げ」

書店にあふれるビジネス書は、
「自己啓発やスキルアップの本」、
「会社が飛躍的に発展するかのような経営指南の本」。

しかも「『…しなさい』という命令形と『3分で…』という短時間型が圧倒的だ」。

こんな本ばかりで、
「『いいかげんにしなさい』といわれないのだろうか」。
遠雷氏は嘆く。
「それとも古典落語と同じで、
読者は同じ話を聞きたいのだろうか」。

これは確かにある。

命令調のほうが好まれる。
たとえ間違っていても、
行動提起してもらうことを喜ぶ。

3分間でできそうなことが求められる。
たとえ、間違っていても、
すぐにできそうなことの方が選択されやすい。

私は外山滋比古さんに学んで、
「脱グライダー」的な考え方をお勧めしている。

それは「命令」してもらったり、
子供だましのプラモデルづくりをするような、
安易な仕事ぶり、生き方を否定するものだ。

遠雷氏は、労働組合による賃上げに対してもモノ申す。
「生活改善方法が遠くなったことが、
個人による自己啓発の努力を促している一因だ」

「勤労者はもっと怒ってもよいのだ」

「仲間をつくり集団で争うことも、
時にはビジネス書を読むより健全だ」

「賃下げが消費意欲の減退を招き、
それが物価の下落を促し、
そのことがまた賃下げへとつながる負の循環が、
断ち切られるのはいつだろう」

よく働き、よく稼ぐ。
賃上げもできるように、
よく働き、よく稼ぐ。

そのためには「脱グライダー人間」が増えることだ。
2011年もこれは変わらない。

さて昨日は、午前中に、
㈱髙山の常務取締役・髙山時光さん来社。
20101217180345.jpg
菓子問屋として日本第3位の髙山は、
1923年創業で、戦前は菓子小売チェーンストアだった。
戦後、菓子卸売り業に転換し、
現在、年商1900億円直前。

髙山さんはその4代目。
今年の商人舎USA研修会に参加してくれて、
その時に私が教えたこと、
自分で考えたこと、
さらに学んだことを、
自らまとめた。
そして、質問に来た。

2時間近く、私は全力で答えた。

髙山さんが、脱グライダー人間になれると見立てたからだ。

卸売業マンとして「荷物担ぎ」から初めて、
今、将来ビジョンを策定する。
自分の会社はもとより、
食品産業を背負ってもらいたい。
そんな志を持ち続けてほしい。

そう思って、
本にサインした。
「鳥の目 虫の目 魚の目 心の目」

その後夕方、東京・表参道。
博多料理「なぎの木」。
立教大学大学院結城ゼミ2009年度卒業生の忘年会。
20101218110943.jpg
左から紅一点・星山朋子さん、
ゼミ長の名古屋文彦さん、
私の右が柿沼将人さん、
いちばん右が田村直純さん。
みんな元気で活躍中。

もうひとり高橋修一郎さんは、
仕事を抜けだして参加し、
早々と仕事にもどって行ったため、
写真におさまれず残念。

苦しかった修士論文や調査研究レポート執筆の思い出話に、
花が咲いた。

しかしゼミ生が仕事で大活躍し、
その忙しい中をぬって、忘年会を開いてくれる。
うれしいことだ。

みんな悩める「脱グライダー人間」。
それでよろしい。

「命令好き」や「3分間マスター人間」では、
人生がつまらなくなる。

<結城義晴>


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