伊藤園大陳コンテスト審査会と「あの世で舞う1曲を残す」境地
盆の明けの日、
台風7号がやってきた。
昼間から、
その情報に、
胸がそわそわしてきた。
「台風クラブ」という映画があった。
1985年、工藤夕貴主演だった。
朝から、東京・清水橋。
㈱伊藤園本社地下の会議室。
恒例の伊藤園大陳コンテスト最終審査会。
「大陳」は業界用語で、「大量陳列」の略。
内容はディスプレーコンテスト。
一定期間に店舗の売場で、
決められたアイテムを、
決められたテーマごとに、
大量に陳列してもらう。
その陳列の技術や工夫を審査して、
大賞と優秀賞を決定し、表彰する。
伊藤園のトップの皆さんと、
㈱商人舎および㈱商業界から、
6人の審査員が参加。
もう、10数年も続いている。
5つのコース別の審査は、
スムーズに進む。
そしてコースごとに大賞と優秀賞の決定。
春の満開コース、春の大満開コース、
春の大茶会コース、テーマ訴求コース、
そしてリーフ・ティバッグ・インスタント編の、
それぞれの店舗賞。
さらにチェーン全体の実力を審査する企業賞。
大賞決定は、厳密な議論となる。
一番右の本庄大介社長は、
カメラマンにポーズ。
決定して、審査員のコメント。
今回私は、
月刊商人舎8月号のことを語った。
「特集・商品前線異常なし!」
この特集の中に、
「緑茶前線」と「麦茶前線」がある。
緑茶は「降温商品前線」を形成し、
麦茶は逆に「昇温商品前線」をつくる。
これは月刊商人舎8月号の33・36ページの、
「商品前線40カタログ」に掲載してある。
実に面白い。
最後に雑誌用記念写真。
私の右から、本庄大介社長、
江島祥仁副会長、
本庄周介副社長。
私の左隣から、
松井康彦エグゼクティブプロデューサー、
竹下浩一郎「食品商業」編集長。
この写真が「食品商業」誌上で使われる。
クールビズなのでノーネクタイで恐縮。
その後、これも恒例となったが、
スタッフ全員でポーズ。
日本最大の陳列コンテスト。
今回も充実した内容だった。
審査の後は江島副会長のオフィスで、
抹茶をいただいて、情報交換。
私はこれをいつも楽しみにしている。
実に、おいしい。
そしてこれも恒例の写真。
本庄大介社長と江島祥仁副会長。
今回もありがとうございました。
皆さんは、大賞・優秀賞の発表を、
楽しみにしてください。
さて、リオオリンピックは、
水泳から陸上へと主力競技が移り、
後半戦。
卓球団体なども準決勝・決勝。
もう2020年の東京オリンピックに、
視野が広がる。
メダルを取れなかった選手には、
次を期する発言がある。
それがとてもいい。
本庄大介さんが語ったが、
2020年の東京オリンピックの前年には、
ラグビーワールドカップが日本で開催される。
そして翌2021年には、
「関西ワールドマスターズゲームズ」がある。
これも4年に1回開催の国際総合競技大会。
コンセプトは生涯スポーツ大会で、
対象は30才以上の成人・中高年の、
一般アスリート。
2002年開催はメルボルン、
2005年エドモントン、2009年シドニー、
2013年トリノ、そして2017年オークランド。
選手は、無条件に、
参加料を払った人全員が参加できる。
そして大会規模は、95カ国から約2万9000人。
つまりこの3年間は、
世界中から日本に、
スポーツ観戦の来訪客がある。
その時には日本文化が見直される。
中国をはじめアジアの人々にとって、
そしてアメリカ人にとっても、
「高級化=日本化」である。
私の持論。
それが存分に発揮されるのが、
2019年・2020年・2021年だ。
さて朝日新聞『折々のことば』
鷲田清一編著。
能は舞い尽くさず、
あの世で舞う1曲を残す
(金剛永謹〈こんごうひさのり〉)
能楽金剛流二十六世宗家の言葉。
写真家、白鳥真太郎に語った。
その真太郎の写真集「貌(かお)・KAO2」より。
「一つの境地に達すると、
これまでは見えなかった別の風景が
目の前に広がる」
そしてこれが大事な境地だが、
「たどり着いたこの場所も
また途中だと思い知る」
鷲田さんの述懐。
「名人はおのれの不完全を
もっともよく知る人のことなのだろう」
これは原稿や単行本執筆の場合にも通じる。
「文章は書き尽くさず、
あの世で書く1文を残す」
アスリートの達人にも、
もちろん陳列名人にも通じる。
「力を出し尽くさず、最後の力を残す」
オリンピック競技もそうだし、
ゴルフなど、まったくその通り。
鷲田さんの結論。
「では、普通の人が
あの世の1曲として残すものは
何なのだろうか」
台風一過は、
からりと晴れた一日を残す。
さて、普通の人は、
何を残すか。
そして普通の人は、
どうしたら名人の境地に至るのか。
自分を客観化できない普通の人は、
名人には近づけない。
〈結城義晴〉