結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月27日(火曜日)

齋藤充弘VC協会会長就任と大統領選討論会の「heelとmother」

日本ボランタリーチェーン協会。
1966年設立の一般社団法人。

齋藤充弘さんが、
会長にご就任。
全日本食品㈱会長。DSCN9835-6
大役、ご苦労様です。

これまでの会長は井上毅さん。
元通商産業省大臣官房調査統計部長、
そして流通システム開発センター元会長。

その前の会長の小川修司さんも、
旧通産相の官僚出身だった。

だから実務家の齋藤さんが、
会長に就任して、
協会をリードするのは、
とてもいい。

このボランタリーチェーン協会、
設立は早い。

小売業関係の協会で一番古いのは、
1948年設立の日本百貨店協会。
次が1952年の日本専門店会連盟。

そして1958年の、
日本セルフ・サービス協会。
現在は全国スーパーマーケット協会と、
合併したうえで名称を変えて、
新日本スーパーマーケット協会。

その次の四番目が、
日本ボランタリーチェーン協会。

それから1967年、
日本チェーンストア協会が生まれた。

ボランタリーチェーンの対極にあるのが、
日本フランチャイズチェーン協会で、
1972年の設立。

日本スーパーマーケット協会は、
1999年に清水信次さんがつくった。

ボランタリーチェーンの定義。
「異なる経営主体同士が結合して、
販売機能を多数の店舗において
展開すると同時に、
情報等を本部に集中することによって
組織の統合を図り、
強力な管理のもとで、
仕入れ・販売等に関する戦略が
集中的にプログラム化される
仕組みとその運営」

少々長いが、
私も講義をする時には、
この定義を使っている。

1962年に、
『流通革命』を書いたとき、
林周二先生はチェーンストアを、
どうもボランタリーだと、
想定していたようだ。

同年、倉本長治先生が書いたのが、
『チェーンストアへの道』という本。
こちらのチェーンストアへの軌道は、
明らかにボランタリーチェーンで、
ケーススタディとして述べられている。

アメリカでは、
フランチャイズが発達している。
一方、ヨーロッパでは、
ボランタリーチェーンが発展した。

日本のボランタリーチェーンは、
商業の現代化の中で、
これから第二弾、第三弾の、
重要な役割を果たすことになる。

齋藤さんの見識と経験、
そしてリーダーシップに、
大いなる期待がかかる。

よろしくお願いします。

さて、今日は午前中に、
米国大統領候補テレビ討論会。DSCN9832-6
横浜商人舎オフィスで、
パソコンのYouTubeで観た。

民主党候補のヒラリー・クリントン、
共和党候補のドナルド・トランプ。

アメリカ国内では、
猫も杓子もテレビ観戦。

日本でも大注目の、
第1回テレビ討論会。

場所はニューヨーク郊外ヘンプステッド。

今回のテーマは三つ。
①アメリカ合衆国の針路
②繁栄への道筋
③安全保障問題

はじめは国民大衆にとって、
もっともリアリティのある雇用問題。

ヒラリーは、
「良質の雇用を創出し、
最低賃金を引き上げる。
男女平等の賃金を実現する」

トランプは、中国やメキシコから、
「盗まれた米国の雇用を取り戻す」

この発言にも、
両者の考え方の違いは表れた。

朝日新聞デジタルで、
海野素央明治大学教授が語る。
「一言が流れを変えた」

海野教授は、米国大統領選の研究者。

「勝敗の分かれ目は
開始から50分ほどが過ぎた時の
クリントン氏の発言だったと思う」

ヒラリーの質問。
「あなたは、この討論会で
私を批判する準備をしてきたのでしょう。
私も準備してきました。
それは何か知っていますか?」

「大統領になる準備をしたのです」

討論会では拍手は禁じられている。
しかし会場から、
思わず拍手が上がった。

ここで流れが変わった。

この発言までは、トランプは、
ヒラリーを「国務長官」と呼びかけた。
英語で「Secretary of State

「嘘つきヒラリー」
これがトランプの常套句だが、
それも封印していた。

大統領らしさをアピールする戦法。

礼儀正しく、落ち着いた様子で、
前半戦の議論をリード。

しかし、この一言で流れが変わった。
「大統領になる準備をしたのです」

それに大統領らしさの演出も、
全体を通してみれば、
トランプの特徴を奪った。

どう見てもトランプは、
米国のバイキンマンだ。

しかしバイキンマンも、
逆の意味で人気者。

それが正義の味方のように振る舞うと、
バイキンマンらしくなくなって、
精彩を欠き、人気は落ちる。

これを「バイキンマンのジレンマ」と、
表現しておこう。

ヒラリー68歳が、
トランプ70歳を諫める、
母親のように見えた。

もちろんヒラリーにも弱点はあるし、
かつてのケネディとニクソンのような、
大差がつくものではないだろう。

アメリカ人はプロレスでも、
ヒールが大好きだ。
heelは英語で踵の意味。

プロレスでは悪役のことで、
ヒールにはヒールの戦い方がある。

そのヒールが、
善玉のベビーフェイスを演じると、
これはどうもいただけない。

そのヒールに対して、
マザー(mother)からの、
毅然とした一言。

その意味でもやはり、
この討論会は、
面白いショーだった。

討論会直後のインターネット調査。
CNNのアンケート回答分析では、
ヒラリーの勝利は62%、
トランプは27%。

ダウ平均株価も、
ヒラリー優勢を受けて、
84ドル上がった。

大統領候補の今後の討論会は、
10月9日のミズーリ州セントルイス、
19日のネバダ州ラスベガス。

私はその間、アメリカ本土で、
このショーをリアルに楽しむことになる。

〈結城義晴〉


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