ウォーラーステイン教授の「トランプ現象」評と「バタフライ効果」
月刊商人舎1月号特集。
日本オーガニック元年を宣言する!!
英語で表現すると、
“Declaration of Organics”in Japan
おかげさまで、大・大・大好評です。
あの『dancyu』からも、
注文が来ました。
町田成一さん、ありがとう。
さて昨日は、㈱商人舎スタッフ揃って、
浅間神社に初詣。
鳥居の横の狛犬。
横浜市西区の浅間神社。
御利益がありますように。
さて、朝日新聞オンライン。
イマニュエル・ウォーラーステイン教授登場。
Immanuel Wallerstein。
1930年生まれの、
ニューヨーク州立大学名誉教授。
元国際社会学会会長。
政治経済学と社会学を包括して、
「世界システム論」を、
確立・提唱。
その世界システムの観点から、
トランプ現象を読み解き、
豊かな視点を提供してくれる。
まず、昨年11月8日の米大統領選。
「結果を聞いて驚き、失望しました」
しかし分析的な視点に立つと、
「米国内には
大きなインパクトがありますが、
世界にはほとんどないでしょう」
つまり、世界システム論で考えると、
「トランプ大統領の誕生は
決して大きな意味を持ちません」
「米国のヘゲモニー(覇権)の衰退自体は
50年前から進んできた現象ですから、
決して新しい出来事ではない」
この後の表現がいい。
「今の米国は巨大な力を持ってはいても、
胸をたたいて
騒ぐことしかできない、
ゴリラのような存在なのです」
「世界の資本主義システムが
構造的な危機を迎えている。
こうした危機の時は
予想外の動きが起こりやすい」
それがBrexit(英国のEU離脱)や、
トランプ当選。
「今は高揚感が広がっていますが、
トランプ氏の支持者も1年後には、
『雇用の約束はどうなったのか』と
思うのではないのでしょうか」
そしてグローバリゼーションへの見解。
「私はグローバリゼーションという言葉に懐疑的です」
「物と人と資本がより簡単に
行き来するために障壁をなくす、
という状態を指しているのであれば、
それは500年前から続いてきたことです」
「流れによって利益を得る時は
皆が開放的になりますが、
下向きになると保護主義的になる
という循環が繰り返されてきました」
「最近は、この上向きのサイクルのことを
グローバリゼーションと呼んでいますが、
すでにスローガンとしての価値は
なくなりつつある」
「実際にTPPやNAFTAなど、
グローバリゼーションの成果とされていた
構造は崩れています」
「TPPは今回の選挙結果で
終わりを迎えるでしょう」
「さらにこうした協定は、
実は開放的ではありません。
当事者間では障壁をなくしますが、
参加していない国との壁は逆に高くなる。
むしろ、保護主義的な仕組みだと
とらえています」
正しい。
TPPは環太平洋経済連携協定、
NAFTAは北米自由貿易協定。
そして持論「近代世界システム」について。
「現在の近代世界システムは
構造的な危機にあります」
「はっきりしていることは、
現行のシステムを今後も
長期にわたって続けることはできず、
全く新しいシステムに向かう
分岐点に私たちはいる、
ということです」
その新しいシステムはどんなものか。
「私たちは知るすべを持ちません。
国家と国家間関係からなる
現在のような姿になるかどうかすら、
分からない」
「西暦2150年の世界を現在、
予想することはできません」
「搾取がはびこる階層社会的な
負の資本主義にもなり得るし、
過去に存在しなかったような
平等で民主主義的な世界システムが
できる可能性もある」
そして「バタフライ効果」。
「世界のどこかでチョウが羽ばたくと、
地球の反対側で気候に影響を与える」
という理論。
「どんなに小さな行動も
未来に影響を与えることができます」
「私たちはみんな、
小さなチョウなのだと考えましょう。
つまり、誰もが
未来を変える力を
持つのです」
「良い未来になるか、
悪い未来になるかは
五分五分だと思います」
そしてドナルド・トランプ評。
トランプも一つのチョウに過ぎない。
「大切なのは、決して
諦めないことです」
「諦めてしまえば、
負の未来が勝つでしょう」
「民主的で平等なシステムを願うならば、
どんなに不透明な社会状況が続くとしても
あなたは絶えず、前向きに
未来を求め続けなければいけません」
誰もが
未来を変える力を持つ。
だから決して諦めない。
私の恩師壽里茂。
早稲田大学名誉教授。
日本の産業社会学の権威。
ウォーラーステイン教授より、
少し先輩で、同じ社会学者。
昨年10月13日、逝去。
大正15年(1926年)生まれの90歳。
壽里茂も、未来を求め続けていた。
決して諦めなかった。
私もその遺志を継ぎたい。
心からご冥福を祈り、合掌。
〈結城義晴〉