トランプ大統領誕生間際の調理コンテストとNYトレンド店舗群
アメリカ・ニューヨークにやって来て、
4日が経過した。
今日は第45代大統領誕生の日。
ホテルの部屋にいるときには、
眠っている時間以外、
ずっとテレビのCNNをつけている。
ドナルド・トランプ一色。
賛否両論、いや否が多数。
しかし日本では、
第193通常国会召集。
安倍晋三首相の所信表明演説の後、
17年度予算案の審議が始まる。
通常国会の会期は150日間。
6月18日まで。
この間、トランプ大統領の政策に対して、
様々な議論が展開されるだろう。
安倍首相の表現は、
どちらかといえば美辞麗句の印象。
トランプ大統領の、
毒のあるリアリティ表現とは、
正反対で、面白い。
この間、スイスでは、
ダボス会議が行われた。
世界経済フォーラムの年次総会。
米国投資家ジョージ・ソロス氏が、
CNNに出演して、語っている。
「個人的見解を述べれば、
トランプは失敗すると、
確信している。
それは失敗を望む人がいるからではなく、
彼の考えが本質的に自己矛盾をきたし、
そうした矛盾が既に、
周囲のアドバイザーや閣僚候補によって、
体現されているからだ」
さらに、
「実際にどう動くかを
正確に予測するのは無理だ」
ちょっと投げやり。
日本の経営者として、
ダボス会議に参加していたのは、
新浪剛史さん。
サントリーホールディングス社長。
今回で9回目の参加。
日本経済新聞の取材に答えた。
ダボス会議では様々な討論が行われる。
その発言について、
「もっとトランプ氏に物申すべきだ」
日経記者も書いている。
「トランプ新大統領の
保護主義的な通商政策や
過激な発言を批判しているのは
主に学識者で、
企業の幹部からはほとんど出ていない」
新浪さんは語る。
「今後は多くの企業が
『米国にコミットしている』と、
アピールしにいくだろう」
そのあとがいい。
サントリーとしては、
「こびへつらうのではなく
堂々としていたい」
拍手、拍手。
トランプ政策については、
「より現実的なものに落ち着いてくる」
続いて。
「トランプ大統領を生み出した、
構造(の問題)を考えないと、
社会はおかしくなる」
その通りだ。
一方、日経新聞コラム大機小機。
コラムニストは桃李氏。
なかなか硬派の論述をする。
「異例ずくめのトランプ米政権の誕生に、
世界中が身構えている。
だが、新大統領個人の
品位に欠ける言動ばかりに
注目が集まってはいないだろうか」
この言説にも耳を傾けておきたい。
「共和党が上下両院で
過半数を得た事実を見れば、
米国民が共和党政権を選び、
その結果、トランプ大統領が
実現したと考えるべきだ」
「無謀に思える同氏の発言も本質は
共和党の主張と重なる部分が多く、
あえて過激に表現している面がある。
違いも目立つが、共通項に、
目を向けたほうが建設的だろう」
「大統領は独裁者ではない」
「共和党の政権移行チームには、
200人の優秀な人材が集結して
知恵を絞り、政・財・学界から
広く集めた人材を中心に
4000人以上もの政治任用ポストが
交代する」
「いったん変化が必要となると、
代替的な政策メニューと
実行力のある人材を配し、
画期的な政策転換ができる点が
二大政党制の強みで
米国の底力でもある」
これも妥当な見解だ。
しかし先のソロス氏は言っている。
「トランプは独裁者に、
なるかもしれない」
ここが怖いけれど。
さてニューヨーク視察3日目。
ロピアの弾丸研修は、
今日が最後の店舗視察となる。
昨日の夜は、
全員による調理試食会が開かれた。
2人1組で、視察店舗で買い物し、
それをホテルの部屋で調理し、
出来上がった料理を持ち寄って
その出来栄えを競い合う。
ホテルは、キッチン付き。
大鍋で炒める。
こちらは何かを炒めている。
勝利のVサイン?
2人で1時間30分ほどの調理時間。
女性チームは手際が良い。
はやくも完成。
調理大会の会場は、
8アベニューにあるレンタルルーム。
このビルの14階の部屋を借り切った。
めいめいが、持ち寄った料理を、
テーブルに並べる。
福島道夫さんは
熟成肉のローストビーフと
ステーキを調理。
取締役営業本部長。
スチューレオナードで初日に購入し、
2日目の朝には調理を終えたらしい。
それをホテルの切れない包丁で、
苦労してカッティングしたメンバー。
しかし一番おいしい、
骨に残った肉をガブリ。
ゼイバースやバーニー・グリーングラスで、
特別に購入した燻製魚は、
ハサミでカッティング。
できあがりはこれ。
サーモンやチョウザメなどがそろって、
実においしそう。
ロピアでは、
おいしいものを味わうことが、
食品販売に携わる者にとって、
何よりも大事だと考えている。
だから、福島さんが率先して、
高額な商品を購入し、
皆に試食させる。
この日のチョウザメ燻製は
1万5000円也。
これはガーデンオブエデンのケーキ。
ひまわりのインパクトがすごい。
全チームの料理がそろったところで、
チームごとにメニューの説明。
自信満々の説明から、
言い訳?まで、
各チームの解説が続く。
そして全員で試食タイム。
それぞれの料理を吟味し、
1人1票で投票し合う。
ただし、自分のチームへの投票はなし。
ワインやシャンパンが豊富に用意され、
移動しながら全チームの料理を味わう。
私は審査委員長として3票をもつ。
だから真剣にすべての料理を試食。
それだけでお腹がいっぱいになる。
投票では、優勝者、2位、
および3位のチームを決める。
集計したのは事務局の浅田圭介さん。
カウンターには、
事務局が用意した賞品の数々。
1人ずつ、好きな賞品を選ばせる。
ワインはオーパスワン250ドルから
チャールズショー2.99ドルまで、
さまざま並んでいる。
後者はもちろん、
トレーダー・ジョーのPB。
ドラムロールとともに、優勝者が決定。
八木橋圭太さんと芳野友一さんチーム。
八木橋さんは、青果部長。
芳野さんは、港北インター店店長。
オーガニック素材を使ったこの3品。
実は私もこの料理に投票した。
食材のバランスがよく、
完成メニューだったし、
見栄えもよい。
そしておいしかった。
2位は同数で女性の2チーム。
小吹香さんと山本美世さんチーム。
小吹さんは綾瀬店、山本さんは伊勢原店、
それぞれレジ担当社員。
渡辺ゆかりさんと小川智子さんチーム。
渡辺さんは港北東急SC店、
小川さんは渋沢店、
どちらもトレーナー。
じゃんけんで賞品を選ぶ順位を決める。
ここでも女子力全開。
それぞれに選んだ賞品を持って、
全員で記念撮影。
おめでとう!
ちなみに優勝者が選んだワインは、
紙で包装されていた、
2.99ドルのチャールズショー。
残った250ドルのオーパスワンは、
全員が少しずつ試飲した。
明けて20日の今朝は、
第2回目結城義晴講義。
始めにロピアのモットーを唱和。
講義は業態とフォーマット、
STPマーケティングと、
ポジショニング戦略。
それをわかりやすく解き明かす。
日本市場におけるロピアの強みは何か。
それを問い続ける講義となった。
1時間の短い講義だったが、
アメリカ視察の目的そのものを、
理解してもらった。
3日目にして、やっと、
マンハッタンに青空が見えた。
まずコロンバスサークルへ。
タイムワーナーセンター。
この地下1階に、
ホールフーズが入っている。
生鮮食品とグロサリーは
横長店舗の左翼で展開する。
対面のシーフード売り場。
これだけのスペースを割く。
敷き詰めた氷で丸魚を販売。
日本でも、最近は、氷の上に、
魚を並べて販売する店が出てきた。
陳列法を研究する必要がある。
ミート売り場で採用されているのが、
5アニマルウェルフェアシステム。
ラムチョップのこの迫力。
フードサービスデリは、
店舗中央に配置される。
導入部は寿司コーナー。
ベーカリーとデリのゾーン。
朝の9時過ぎなのに、
このボリュームのある陳列量。
HBCのホールボディ売場を縮小し、
店舗の一角にバーを導入した。
12時からのオープン。
そしてこれも拡大したカフェ席。
コロンバスサークル店は、
大マンハッタン地区で、
ホールフーズの地位を固めた店だ。
その魅力はいまだ健在で、
ますます進化している。
次にミッドタウン・ソーホー地区へ。
ディーン&デルーカ。
ニューヨークデリの老舗。
店舗一番奥の寿司売り場。
このスタッフの多さ。
それだけ売れるということ。
狭い店だが陳列を工夫して、
必需の商品も揃える。
結果としてデリショップが、
スーパーマーケットとなる。
20メートルほど先には、
ユニクロ。
ニューヨーク1号店。
マネキン使いは多彩で秀逸。
ジャパンテクノロジーをアピールする。
三番目に訪れたのが、
チェルシーマーケット。
ナビスコの工場をリノベーションし、
1階を商業施設にした。
両サイドに人気のテナントが入り、
ニューヨークの観光スポットとなった。
そのなかでも大人気なのは、
ロブスタープレイス。
鮮魚の内食・中食・外食の機能を備えた。
店内には、立ちの寿司コーナーがある。
新鮮なロブスターを、
茹でて提供するロブスターバー。
大量に購入し、
存分に食べまくって大満足。
次は、
グランドゼロ跡地を視察。
ブルックフィールドプレース。
商業施設、オフィスが入る複合ビル。
遊歩道や公園もある。
ここで大人気は、
ル・ディストリクト。
フランス食材のイータリー版で、
物販とフードサービスを、
完全に融合させた。
店内は黒を基調にした内装で、
パリのエスプリにあふれている。
昼食時ということもあって、
ビジネスマンが目立つ。
自由の女神を背景に記念撮影。
手でラブラブロピアのハートマーク。
もう一度。
ワンワールドトレードセンターが、
青空にそびえる。
その足もとに、記念碑のプール。
ツインタワー跡地に2つ、つくられた。
視察の最後は、
イータリーのニューヨーク2号店。
内食と外食の融合を、
イタリアメニューで完結させた。
多くのお客が食事を楽しんでいる。
詳細は月刊商人舎の次号で、
完璧に紹介する。
ロピアは都市型スーパーマーケットだ。
だから世界最大都市のニューヨークを、
徹底的に学びとって、
全員の意志と視線を統一する。
今日は、最先端のトレンド。
トランプ大統領誕生の瞬間に、
ニューヨークを学んだモチベーションも、
この研修会の収穫である。
(つづきます)
〈結城義晴〉