【日曜版・猫の目博物誌 その38】桜
猫の目で見る博物誌――。
猫の目は季節を感じる。
桜、桜、花吹雪。
今こそ、桜です。
サクラは、
バラ科モモ亜科スモモ属、
その落葉樹の総称。
英語でCherry blossomが、
桜の花。
花のことはsakuraと、
そのまんまでも呼ばれる。
桜の実の英語は、cherry。
日本ではサクランボまたは桜桃(おうとう)。
こちらはミザクラ(実桜)の果実で、
バラ科サクラ属サクラ亜属。
だから桜の花はスモモ属、
桜の実はサクラ属。
サクラも菜の花と同じで、
「自家不和合性」の植物。
そのため種の間に、
交雑(異種交配)が生じ、
多数の品種や変種が存在する。
サクラは日本でも、
固有種・交配種を含めて、
600種以上の品種がある。
突然変異も多い。
春に白色や淡紅色、
あるいは濃紅色の花を咲かせる。
だから「桜色」という言葉もある。
ソメイヨシノ(染井吉野)は、
江戸末期に出現して、明治以降、
日本中に最も多く植えられた。
ソメイヨシノの学名は、
Cerasus × yedoensis (Matsum.)
A.V.Vassil. ‘Somei-yoshino’。
エドヒガンとオオシマザクラの雑種が、
交雑して生まれたものの中から、
特徴のある特定の一本を選び抜いて、
接ぎ木で増やしていったクローンである。
つまり特殊な花。
それが日本中で、
人々の目を楽しませている。
桜といえば吉野。
吉野の桜だから、
ソメイヨシノと思うかもしれないが、
それは違う。
シロヤマザクラが主体。
桜に関しては、
いろいろなエピソードがあって、
書ききれないほど。
だから、四の五の言わず、
楽しみましょう。
今日は雨の桜。
散り始めた。
そして卯月の「いさぎよき人生」
椀物に桜。
エンドウ。
刺身。
桜があしらわれている。
そして直径30センチの見事な器。
桜鯛。
桜づくしもサクラの楽しみ方。
サクラには縁があります。
「ジジの気分」では、
なんどもなんども、
サクラを楽しんだ。
それが生きていたときの思い出。
「いさぎよき人生」、
いや「猫生」でした。
ありがとう。
サクラよ。
(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)