2017ベーシックコース最終日の「うらやむ」と「ねたむ」
朝日新聞「折々のことば」
昨日は第759回。
「うらやむ」と「ねたむ」の
違いを知っていますか
自分より上の人を
「うらやむ」のは
「自分をその人の位置まで
高めたいと思う」こと、
「ねたむ」のは
「その人を自分の位置まで
落としたいと思う」こと。
イラストレーターの汐街コナさん。
高校の現代文の先生から、
そう教わった。
編著者の鷲田清一さん。
「人を引きずり下ろすより、
自分もそうなりたいと思うほうが
幸福への距離は近い」
日本という国も、
日本の商業も、
アメリカを「うらやむ」姿勢で来た。
だから商業では、
チェーンストアやスーパーマーケット、
ショッピングセンターが成長した。
うらやんで、自分をその位置まで、
高めようと努力した。
これが「ねたむ」だったら、
日本のチェーンストアも、
ここまでの発展はできなかった。
倉本長治先生がその先鞭をつけ、
渥美俊一先生らがそれを成就させた。
さらに私たちの世代が、
その進化を担う責任を負っている。
だから今、私はラスベガスにいる。
その商人舎USA研修会、
2017ベーシックコースの5日目。
最終日は、
午前中には集合研修を終え、
午後は各自が自由研修。
9チームがそれぞれ、
作成したPFグラフをもとに、
各社の商品政策、価格政策を読み解く。
私も発表ごとに、
その内容を整理し、解説する。
これ、実は私の特技なのです。
ウォルマート、クローガー、
ホールフーズ、
コストコ、トレーダー・ジョー、
ボンズ&アルバートソン、
ウィンコフーズ、スプラウツなど
商品政策、価格政策が
各チームの調査によって、
鮮明に浮かび上がってくる。
商品は異なっても
同じ店舗を調査している。
だから皆、発表内容を真剣に聞く。
1チーム10分間のプレゼン。
鋭い質問とその応答で、
どんどん時間は押していく。
そして私と事務局全員で、厳正な審査。
そして優秀チームを表彰する。
ある種ゲーム感覚で、楽しむ。
その前に、
前日の理解度テストの、
6名の優秀者の発表。
記述式のテストだったが、
よく理解した、良い解答だった。
私の隣から、
船越正和さん、(株)マツモト、
店舗運営部ブロックマネジャー。
武尾秀さん、(株)ユニバース小中野店店長。
石橋麗さん、(株)マルイチ本部。
木元毅さん、(株)なとり、
北海道営業部札幌営業所係長。
久保稔さん、(株)スズキヤ小和田店店長。
丸尾光司さん、(株)関西スーパーマーケット経営企画室広報秘書。
いよいよ商品調査・分析発表の表彰式。
3位は菓子部門で、
ポテトチップスを調査したIチーム。
小泉徳彦さん、
ユニバース二戸堀野店店長。
小山内潤さん、
(株)高山郡山支店営業二課係長。
廣田雅行さん、
マツモト商品部バイヤー。
前田清彦さん、
(株)ワイストア食品事業部商品部ドライバイヤー。
準優勝は日用雑貨部門の調査を担当し
トイレットペーパーを分析したBチーム。
賞品は杉山昭次郎著「マス・カスタマイゼーション」
鷲谷勝さん、(株)大阪屋ショップ太郎丸店店長。
赤井智也さん、マツモト店舗運営部店長。
吉田典弘さん、(株)ヨシヅヤ第1商品部肌着バイヤー
溝口幸作さん、マルイチ商品部。
1位は青果部門でリンゴを調査した
Cチームの5人。
1人ひとりと握手し、賞品として
月刊『商人舎』の年間購読をプレゼント。
アメリカ人の生活に必須のリンゴは、
何しろ種類も陳列量も多い。
それをていねいに調べた。
そのうえで、各社のポジショニンク゛を、
鮮明に描き出した。
見事だった。
田村清人さん、ユニバース、
商品部青果部門セカンダリーバイヤー。
小瀬功一さん、大阪屋ショップ婦中店店長。
人見義弘さん、マツモト店舗運営部店長。
藤村翔太さん、ヨシヅヤ企画部副主任
和田勇樹さん、関西スーパーマーケット、
商品本部第1商品G惣菜チーム。
おめでとう。
調査分析発表が終わると、
最後の講義。
400ページにわたるテキストで、
触れていなかったところを拾いつつ、
ほぼすべての内容を網羅して講義できた。
それは鳥の目・魚の目を、
ベーシック受講者に植え付けるためだ。
虫の目は全員が備えている。
だからそれぞれの会社から選抜されて、
この研修会に派遣された。
私の役割は、
鳥の目、魚の目を提供し、
もちろん心の目を開かせることにある。
今回の研修生には、
それがあらかじめ備わっていた。
私はちょっとだけ、
肩を押してあげるだけだった。
それは心地よいものだった。
すべての人々に感謝しつつ、
最終講義を終えた。
ありがとう。
(つづきます)
〈結城義晴〉