学習院マネジメントスクールとイオン株主総会のオクシモロン
ちょっと雨模様の東京・横浜。
昨日は四谷で上智大学。
今日は目白の学習院大学。
その学習院マネジメントスクール。
2017DSCM基礎コース。
ディマンド&サプライチェーンマネジメントを学ぶ。
その今年度、第1回。
司会は事務局長の林純子さん。
このコースは、
故田島義博学習院院長が創設。
私もお世話になった先生で、
現在はその後継者の、
上田隆穂経済学部教授が校長。
スクール顧問の湯沢威名誉教授が、
オープンメッセージ。
湯沢先生は経営史がご専門だが、
今回の講義テーマは、
「アンチ・グローバリズムの波に抗するために」
現在のグローバリズムは、
実は第2回目の波である。
第1回は1910年ごろに生まれた。
その直後の1914年、
第一次世界大戦が勃発した。
現在の第2のグローバリゼーションは、
何か大きな事件を起こしはしないか。
あるいはもうそれが、
起こってはいないか。
そこでアンチ・グローバリズムが、
動き始める。
湯沢先生のご提案のひとつは、
グローカリズム。
そして方向性は二つ。
第1は、
細分化された市場セグメントの必要性。
第2は、
人々の暮らしの原点に立ち返ること。
つまり人々の幸せは何か、を問うこと。
私の講義は、奇しくも、
湯沢先生のメッセージと、
連携が取れていた。
「潮目が変わる時代の流通概論」
Paradigmの転換のときに、
私たちはどう考えたらいいのか。
オクシモロン(Oxymoron)の考え方。
ギリシャ語で、
oxy〈鋭い、賢い〉と、
moron〈鈍い、愚かだ〉の合成語。
日本語にすると「撞着語法」という。
「対立する語句を並べて、
新しい意味を主張する語法」
愚かな賢さのようなもの。
ヨーゼフ・シュンペーターの、
「創造的破壊」はそれだ。
冒頭でまずそんなことを語ってから、
商業統計や流通の多段階性、
そして競争の変質、
業態論とフォーマット論、
そしてコモディティ化現象まで。
基本は、虫の目・鳥の目・魚の目、
それを備えること。
これも湯沢先生の説と連動していた。
それでも2時間半、
一気呵成で語りきって、
汗をかくほどだった。
講義が終わると、懇談会。
乾杯。
ビールを飲んで、食事をして、
私へのいくつかの質問。
それにも答えつつ、
講義の補足をした。
最後は恒例の全員写真。
そして湯沢威先生とツーショット。
私も昨年から、
この名門スクールの顧問。
今年もまだまだ講義をします。
受講生のみなさん、
よろしくお願いします。
さて、イタリアでは、
先進7カ国首脳会議。
通称G7。
今年はとりわけ重要な会議だ。
アメリカのトランプ大統領、
フランスのマクロン大統領。
新しい対極のリーダーが登場して、
グローバリゼーションと、
アンチ・グローバリゼーションが、
せめぎ合い、ぶつかり合う。
Oxymoronの問題解決も必須だ。
わが安倍晋三首相が、
その調整役を担いつつ、切り盛りする。
大いに期待しよう。
さて、5月24日は、
イオンの定時株主総会。
こちらは1573人の株主が集まった。
場所は千葉の幕張メッセ。
東洋経済オンラインで、
中山一貴記者がレポート。
岡田元也イオン社長。
「ユニクロとニトリを抜いて、
衣料品と住居関連品のNO.1になる」
昨2017年2月期決算の報告の後で、
岡田社長が登壇。
グループ全体の経営方針を語った。
イオンは不動産や金融なども手掛ける。
総合スーパーは日本トップ、
スーパーマーケットもトップ、
ドラッグストアもトップ。
しかししかし、
ユニクロやニトリなどの台頭によって、
総合スーパーの業績は右肩下がり。
「特に衣料品・住居関連品は、
低空飛行が続く」
イトーヨーカ堂、ユニーなどは、
不振店の閉鎖を決め、
衣料・住居関連の売場を縮小する。
しかし、イオンはポジティブだ。
「イオンリテールの2017年2月期、
衣料部門は3402億円で、
ユニクロの7998億円(国内事業)、
しまむらの5655億円に、
かろうじて続く3位」
「住居関連も3位の4172億円で、
ニトリの5130億円に匹敵する」
ただし、売上げは3位だが、
利益面では上位に水をあけられている。
そこでイオンリテールは、
衣料・住居関連ともにPBを増やし、
いわゆるSPA型への転換を志向している。
現状の粗利益率は「衣料部門で4割未満、
住居関連は3割にも満たない」
ファーストリテイリングの国内事業は、
粗利益が5割に近い。
ニトリホールディングスは、
50%を超える。
これを目指す。
そこで衣料では、
下着などの実用品に重点を置きつつ、
高単価の服飾品の売上構成比を高める。
住居関連は、
PB「ホームコーディ」の拡販を志向する。
私は商品開発とともに、
ポジショニングの問題が大きいと思うが、
記事ではとにかく、
「開発・製造することで、
高い粗利率を維持しやすい
PBの比率向上を急ぐ」
最後に、2020年2月期までの、
中期経営計画の業績目標を発表。
グループ全体の営業収益は、
昨年度から約1.3兆円増の9.5兆円、
営業利益は同約1000億円増の2900億円。
営業利益率の長期目標。
「最終的には、
5%を確保しなければならない」
昨年度の営業利益率は2.2%。
株主にはそう答えねばならないだろうし、
社内には活を入れねばならないだろうが、
営業利益は事業活動の結果である。
利益にストイックであると同時に、
イオンのポジショニングの確立こそ、
今、必要なのだと思う。
最後に今日もDaily商人舎、
流通SuperNews。
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イオンのポジショニングに貢献している。
いずれもOxymoronの考え方に、
問題解決のカギがある。
〈結城義晴〉