Frankfurt「ALDI」の進化とヒット商品番付東横綱「稀勢の里」
月刊商人舎5月号の巻頭言。
「カ・カタ・カタチ」の福音を聴け。
「カ・カタ・カタチ」論。
建築家・菊竹清訓の持論。
IEの巨人・城功の考え方。
「カ」は最も根源的なもの。
経営理念や社会的使命、
わが社のビジョンやコンセプト。
「カタ」は「カ」を実現する手段・方法。
たとえばわが社らしい技術、仕組み、
特有の組織とヒューマンリソース。
そして「カタチ」はできあがった成果物。
たとえば完成された商品、売場、
たとえば旗艦店舗、フォーマット。
しかしカタチの真似ばかりが横行する。
優良店を訪れても写真ばかり撮りたがる。
カタチの真似しかできないからだ。
カタがなければカタチはできないし、
カがなければ、カタもカタチもない。
カは独自のものでなければならない。
カタは「学ぶ」ことができる。
それを学ぶ時には「真似る」から始まる。
カタを学ぶには時間と根気がいる。
しかしそれを十分に学び取ったうえで、
今度は「カタ破り」をする。
それがイノベーションだ。
カタを顧みずに新しさだけを求め、
あるいは思いつきに走るならば、
それは「カタ無し」になる。
旗艦店にはカタチがあるし、カタがある。
そしてもともとカが備わっている。
カ・カタ・カタチの象徴が旗艦店である。
だから旗艦店改造のときには、
カタチをつくり、カタとカを確認する。
カから発してカタとカタチを生み出す。
仕事の改革手順はカ・カタ・カタチである。
フラッグシップのリモデリングも、
「カ・カタ・カタチ」でなければならない。
〈結城義晴〉
もう1カ月前のメッセージとなって、
忘れてしまったかもしれないが、
とても大切なことだ。
今週土曜日の6月10日。
月刊商人舎6月号が発刊される。
乞う、ご期待。
日本では日経新聞が、
「ヒット商品番付」を発表。
とはいっても2017年上期(1~6月)分。
商品番付の東の横綱に、
「稀勢の里」
笑ったけれど、とてもいい。
西の横綱は、
「ニンテンドースイッチ」
発売1カ月で274万台を販売、
来年3月までに累計1270万台の計画。
据え置き型のゲーム機ながら、
持ち運んでも遊べる。
東の大関は「ヤマト値上げ」
西の大関は「GINZA SIX」
東の関脇は「C-HR(トヨタ)」
小型の多目的スポーツ車(SUV)。
西の関脇は、
タクシー初乗り410円。
まあ、商品ではないけれど、
稀勢の里の東の横綱はヒットだった。
明らかなニーズがあったが、
それが達成できない。
それを成し遂げると大ヒットとなる。
タクシー初乗り410円もそれだし、
ヤマトの値上げは、
業者側の明らかなニーズだった。
負のニーズやギャップも、
イノベーションの種(シーズ)だが、
明らかなニーズがあるのに、
それが満たせない不満を解消するのが、
現在のビジネスの役目なのだと思う。
さて、フランクフルト。
ドイツの表玄関。
昨日の朝6時過ぎに到着して、
ホテルに直行し、
仮眠をとって、仕事して、
午後2時にホテルを出発、
フランクフルト国際空港で3時過ぎに、
万代ドライデイリー会の面々を迎えた。
そしてすぐに向かったのが、
アルディ。
レーベ・センターと隣り合わせの箱型SC。
アルディは単体企業として、
ドイツナンバー1。
アメリカにも進出して、
ウォルマートよりも安いのが売り物。
大型カートは1ユーロ(120円)で、
顧客に貸し出す。
アメリカでは25セント(25円)だから、
ずいぶん格差があるように見えるが、
要は一番流通しているコインがその値段。
入口はご覧の主通路で、
ワンウェイコントロール。
この店は新店で最新の設備。
実にきれいな店だ。
主通路右手にパンコーナー。
欲しい商品のボタンを押すと、
そのパンがころがり落ちてくる。
それを自分で袋に入れてレジに行く。
グロサリーも含めて、
ほとんど95%がプライベートブランド。
そのPBを入れる段ボールケースが、
写真のようにカラフルだ。
だから段ボール陳列で、
売場がカラフルに出来上がる。
ワイン売場もちょっとゴージャス。
ロゼワインも広い売場を取っている。
細長い900㎡の店舗中央を、
非食品の平什器が貫く。
奥から見て左側は青果部門。
BIOと表現されるが、
これがオーガニック。
ニンジンは全部オーガニック。
クレート陳列で、
産地で収穫するときにクレートに積まれ、
それがそのまま店頭まで来る。
エシャロットも安い。
大袋に入れられた葉物。
そしてドイツの名産アスパラガス。
ミニトマトもパッケージに入れられて、
実にカラフル。
これで1ユーロ49セント。
魚は冷凍食品ばかり。
卵は1パック1ユーロ09セント。
BIOの牛乳も、
1リットル99セントと1.09ユーロ。
恐ろしい価格だ。
そして通常の牛乳は69セント。
アルディはエブリデーロープライスだ。
手前から赤、黄、ブルーのケース。
厳選された低価格の加工肉売場。
魚缶詰には、
MSC認証マークがついている。
これはニシンの切り身の缶詰。
すべてPBだ。
そして冷凍食品のグリンピース。
1.89ユーロ。
緑のパッケージでBIOのマーク。
裏側には成分表示。
そしてホワイトアスパラの瓶詰。
なんと99セント。
これです。
すごい商品。
ニンジンの千切りの瓶詰。
これはセロリのサラダの瓶詰。
そしてそれらが、
一つのケースに入れられて販売されている。
全部99セント。
ガラスケースの中には、
上段にパソコン、
下段にコーヒーメーカー。
お買い得の商品があれば、
アルディは高額品でも販売する。
こどもの絵本。
900㎡なのに広い通路。
レジでは座って対応する。
ドイツは労働者の満足を優先する。
アルディが進化している。
1000㎡未満の小型店を4250店展開する。
その小型ディスカウンターの店で、
イノベーションを実現させる。
より安く、
より広く。
そしてよりきれいに。
すばらしい。
視察が終わったころ、
スコールが来た。
そしてフランクフルトに来たら、
レーマー広場。
フランクフルト中心部の旧市街の広場。
切妻屋根のゴシック式木造建造物が並ぶ。
第二次大戦ですべて破壊されたが、
戦後、観光のために復興された。
その一角のドイツ料理レストラン。
Zum Standesämtchen。
窓からレーマー広場が見下ろせる。
店内はclassicなつくり。
乾杯の挨拶は、
ドライデイリー会会長の今津龍三さん。
(株)今津社長。
そしてドイツビールで乾杯。
(株)万代の阿部秀行社長(左)と、
事務局長の前田仁さん。
まず出てくるのが、
アスパラガスのスープ。
ホワイトアスパラが上手い。
そしてソーセージと鶏肉。
大満足して、レーマー広場を後にした。
それにしても、まだ9時ごろなのに、
明るい空のヨーロッパの6月。
素晴らしい。
(つづきます)
〈結城義晴〉