「産高民低景気の労働分配率急低下」とイズミ山西泰明社長対談
先週月曜日にミラノから帰って来た。
その後、生団連の総会に出たり、
大阪で万代知識商人大学の講義をしたり。
さらに今週は3日間の湯河原研修。
そして幕張でイオン米国視察の事前講義。
休みなしで動いているけれど、
今日は早朝から東海道新幹線。
新横浜から乗り込むと、
すぐに丹沢山系が現れ、
小田原に差し掛かると、
富士の姿が見えてくる。
そして三島。
梅雨の真っただ中で、
半分、諦めているけれど、
こんな雄大な姿を見せてくれると、
心が落ち着く。
夏のふじ走るといっしょについてくる
〈東小学校2年 遠藤ゆずりは
第14回「富士山を詠む」俳句賞入賞〉
日経新聞「折々のことば」
第793回。
上手な職人が使用した
道具というものは
美しく残るものです
(土田昇「職人の近代」から)
編著者・鷲田清一さん。
「酷使せずここぞという時にのみ使ったから?
丁寧に手入れされてきたから?
いい道具は使う時に
無駄な力が入らないから?」
「いずれにせよ
疎かに扱われなかったから」
「大事にとの思いは、道具職人の
丹念で正確な仕事への敬意からくる」
敬意と感謝。
それが「大事に」につながる。
「同じように建物や室内も、
佇まいからその空間が
敬意をもって
使われてきたかどうかがわかる」
店や売場も同じだ。
敬意をもって使われたら
時間が経っても
いい佇まいとなる。
日経新聞「大機小機」
「産高・民低景気の背景」
コラムニスト富民さん。
「日経平均株価が
2万円台を回復したものの、
景気は依然盛り上がりに欠け、
物価もゼロ近辺にとどまっている」
その通り。
今回の景気は拡大55カ月目。
第2次安倍政権誕生と同時に始まった。
経常利益は史上最高を更新。
産業界は好況を享受。
だが、雇用者報酬はほぼ横ばい。
「民の暮らしは豊かになっていない」
それをコラムニストは表現する。
今回の景気は従来とは違う
「産高・民低景気」
その理由は「労働分配率」
過去20年間、66%前後で推移してきた。
しかし今回の景気回復局面で急低下。
今年1~3月で58%。
26年ぶりの低水準。
企業が優先したのが、
自己資本利益率(ROE)向上と株主還元。
その結果、労働分配率は、
大幅に低下してしまった。
「労働分配率が変わらなければ、
人件費が20兆円増えて、
消費も大いに盛り上がっていたはずだ」
「労働分配率の低下は、
先進国共通の現象だ」
アメリカ。
2002年の「企業改革法」制定以来、
労働分配率が5ポイント低下。
ドイツやイギリスでも、
同様の傾向。
「企業経営に対する監視強化が
短期利益志向を助長し、
労働分配率を低下させた」
昨今の先進国の消費低迷と低成長。
この背景にあるものが、
労働分配率の低下。
上げる数字。
下げる数字。
一定に保つ数字。
分配率は、
一定に保つものだ。
「企業がいくら稼いでも、
産高・民低の片翼飛行では、
景気を浮上させることはできない」
「目先の利益を犠牲にしてでも、
社員を大切にして人材育成に取り組む
気骨ある経営者の登場」
コラムニストはそれを求める。
私も同じだ。
新幹線のぞみに乗って4時間弱。
広島に到着。
核店舗のイオンスタイル広島府中。
2階は衣料と暮らしのフロア。
イオンモールから、タクシーを飛ばして、
話題のイズミLECTへ。
この地はイズミの前身、
衣料卸の山西の創業の地に近い。
地図を見ながら説明してくれたのは、
広報課長の後藤郁生さん。
1時間半以上、
過去・現在・未来を、
語りつくしてくださった。
もちろん私も大いに語った。
実に充実した時間だった。
山西泰明さん。
感謝したい。
山西さんとイズミは、
店や売場や什器に、
敬意をもっている。
そんな印象を強く受けた。
〈結城義晴〉