大型の強い台風18号と米国ファッションの「コモディティ化現象」
台風18号、
いよいよ上陸。
進路予想図を見ると、
日本列島がすっぽりと覆われる。
「大型の強い台風」
この表現が何度も使われる。
しかし、これは台風のスケールの定義を示している。
毎日更新宣言ブログの昨2016年8月28日。
【猫の目博物誌】その16は「台風」。
「大型」とは、
半径500km以上~800km未満。
しかしまだまだ大きな「超大型」がある。
それは半径800km以上。
「強さ」は最大風速で区分される。
「強い台風」は、秒速33m以上~44m未満、
「非常に強い台風」は44m以上~54m未満、
「猛烈な台風」は54m以上。
だからまだまだ、
非常に強い台風もあるし、
猛烈な台風もある。
さて、昨日の日経新聞夕刊。
「ウォール街ラウンドアップ」
米ファッション、
低迷下の宴
ニューヨーク特派員の高橋里奈記者。
「13日、大きな話題にならないまま、
ファッションウイークが終了した」
著名なデザイナーやブランドが、
最新作を披露する。
そのステージを「ランウェイ」と呼ぶ。
バイヤーやメディア関係者は、
その最新流行に関する情報を入手する。
今後のシーズンの流行を発信する。
世界四大コレクションは、
ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロンドン。
年2回開催され、
1月から4月までは秋物・冬物、
9月から11月までは春物・夏物。
ニューヨークは、
世界のファッションの中心地として、
君臨してきた。
しかし残念ながら、
「ファッションウイークに
往時の勢いはない」
まず第1に「開催期間の1日短縮」
9月7日から13日の7日間となった。
第2に米著名ブランドのニューヨーク離れ。
新作披露はパリやロンドンで行われる。
第3に、ファッションショーの減少。
最盛期には200を超えていた。
それが現在、100を切った。
さらに第4に、
新進デザイナーの評判も振るわない。
「アレキサンダー・ワン」の深夜のショー。
台湾系アメリカ人デザイナー。
今、最もホットなブルックリンの、
倉庫街の路上で開かれた。
ブルックリンは、マンハッタン島の対岸。
「観客はバリケードで厳重に囲われ、
立たされたまま」
しかも、開始予定時刻から、
1時間以上も待たされた。
肝心のショーも不備が多かった。
「米国ファッション業界の不振が騒がれて久しい」
ラルフ・ローレンは、
ニューヨーク旗艦店を閉鎖。
7月にパトリス・ルーベ氏をCEOに迎え、
リストラを促進。
ルーベ氏はP&Gの幹部だった。
ギャップは相次ぎ不採算店を閉じる。
不振のGAPとバナナリパブリックは、
数百店規模で閉店を進めて、
選択と集中を徹底する。
売場の乱れも激しい。
「オールドネイビー」と「アスリータ」は、
その反対に出店加速。
前者はギャップの低価格チェーン、
後者は同じくスポーツアパレル。
もっともニューヨークのユニクロは、
多くの支持を集めているけれど。
「アジア人観光客は好きみたいだけど、
トリー・バーチにしろ、
コーチにしろ時代遅れ」
22歳のミレニアル世代の発言。
アメリカにもインバウンド消費はある。
しかし実質消費はブランド離れが激しい。
とくにミレニアル世代は、
ブランドを敬遠する。
1980~2000年代初頭に生まれ、
ベビーブーマーの子供世代。
「買い物に行くのが面倒だから、
最近はオンラインで服を買う」
オンラインショッピングの隆盛。
しかし一方で、この記事は、
米国アパレル産業における、
コモディティ化現象を示している。
ニューヨークのコレクションは不振だが、
そのニューヨークのフードトレンドは、
最高潮にある。
コモディティ化を乗り越え、
地球EATALY化現象が、
起こっている。
P&G幹部のラルフ・ローレンCEO就任は、
その裏返しの出来事だ。
1991年11月、
P&Gはウォルマートに対して、
バリュー・プライシングを提案している。
「丸裸の原価取引」の提案である。
これはコモディティ化現象の、
歴史的分岐点の出来事であった。
コモディティ化を知り尽くすからこそ、
コモディティを脱することができる。
これがパトリス・ルーベの役割である。
新しいマーケティングの役目である。
しかしこの大きな潮流は、
「超大型で猛烈」並みのスケールである。
そう、私は思うのだが。
〈結城義晴〉