Wal-Martの「eコマース強化戦略」とSupercenterの販促視点
アメリカにやって来て1週間。
イオンリテール(株)の研修が終わり、
団員の帰国を見送って、
残った三人。
石塚幸男さんと岡崎龍馬さん。
別便で帰るお二人を、今度は、
JFケネディ空港で見送った。
私は、一人、ラガーディア空港へ。
2年後に大改装する古い空港。
国内線専用。
ラガーディアの象徴の、この塔は残る。
アインシュタインに見送られて、
チェックイン。
しかし空港で3時間も足止めを食った。
それから雨の中、搭乗。
飛び上がるとすぐに青空。
3時間でテキサス州。
ダラスの大地がまた、
私と迎えてくれた。
今度は平和堂の第14回研修が始まる。
もう7年も続いている。
さて、ウォルマート・ストアーズ。
機関投資家向け戦略説明会。
2018年度以降の事業計画発表。
日経新聞夕刊が伝えた。
ひとことでいえば、
eコマース事業への転換。
2019年1月期の国内ネット販売額は、
前年度比約40%増になる。
すごい伸び率だ。
18年度の売上高は3%増。
もちろん為替差益を見込まずの数値。
純利益は約5%増。
設備投資は110億ドル。
「顧客のデジタル体験を優先する」
店舗は改装投資を中心にして、
新規出店は厳選する。
米国内スーパーセンターは、
15店以下の出店に激減。
今年度は40店ほどを出店している。
しかし海外は積極出店攻勢をかける。
メキシコ、中国を中心に255店の計画。
ウォルマートは同時に、
今後2年間で総額200億ドルを上限とした、
自社株買いをする。
ROE(自己資本純利益率)の向上を目論む。
つまり株主に文句を言わせないためだ。
そのウォルマートをまず、訪問。
Supercenter。
空には上層雲。
星条旗は半旗で翻る。
入口には、
「ゲーム・タイム」のプロモーション。
ダラスカウボーイズを応援しながら、
カウチポテトを楽しむ。
そのプロモーション。
この辺り、いかにもウォルマート。
うまい。
青果部門は広くて、天井が高くて、
快適な空間だ。
もちろんハロウィン販促は、
全店で、くまなく展開。
ハロウィンの象徴はカボチャ。
ここ数年、サービスデリが、
飛躍的な充実を見せている。
その加工肉売場で、早速、
スライスとテイスティングをお願いした。
もちろんハーフポンド分の購入もした。
青果と精肉の間のプレゼンテーション。
この精肉の主通路の平ケースには、
ここでも「ゲーム・タイム」の販促。
精肉のロールバック。
5ドル94セントだった商品が、
4ドル98セントにディスカウントされる。
するとこんな状態で売れる。
牛乳は急遽、
1.98ドルにディスカウント。
卵は1ダース(12個)48セント。
アルディあたりの競合が、
出てきたに違いない。
この店のロールバック。
2.48ドルが2.38ドルへ。
3.98ドルが3.78ドルに。
3.98ドルが3.64ドルに。
この店のロールバックは、
20セント、30セントのダウン。
つまり値下げ幅を少なくして、
顧客にアピールする。
この店、このエリアの、
独自の政策なのかもしれないが、
小幅の値下げで効果を出す方法を、
模索している。
オレンジ色のパネルに、
オンライン販売の宣伝。
ウォルマートは店頭在庫10万品目。
しかしオンラインの品揃えは、
200万アイテムを超える。
そしてPickup Here。
オンラインで商品を買って、
ここで受け取れます。
ベビー売場は壁面の写真がかわいい。
商品の品質もどんどん上がってきた。
主通路の島陳列には、
超お買い得のテレビが並ぶ。
店舗右翼は、ハロウィン売場から、
クリスマスショップへ続く。
一番奥に「クリスマス・ショップ」
10月に入ると、この、
クリスマスショップがオープン。
ショップの中は、
クリスマス一色。
「早仕掛け」の売場は、
店舗の一角に設置する。
それに対して、直近のプロモーションは、
店全体で展開する。
これが「早仕掛け」のセオリー。
だから店舗入り口付近には、
ハロウィンの中心売場がある。
高い天井からぶら下がったパネルは、
遠くからも目立つ。
そしてハッピーハーベスト。
ハロウィンの仮装衣装売場。
毎年、違った扮装をする。
だから安くて楽しい衣装が必要となる。
それが的確に揃えられている。
ウォルマートを中心に回る、
メリーゴーランド。
それがアメリカの小売業界。
売上げ規模だけでなく、
プロモーションのけん引役を、
ウォルマートが担っているからだ。
隣にサムズクラブ。
ウォルマートのホールセールクラブ。
こちらは店頭一番にクリスマス。
その奥にハロウィン。
この業態では、今、
クリスマスが主役。
ハロウィンは脇役。
Supercenterとは逆だ。
店内のつくりは、
コストコとそっくり。
コストコの真似をすればするほど、
業績が上がってきた。
コストコはそれほど優れたモデルである。
牛肉の基準はUSDA基準のチョイス。
ポーターハウスステーキも、
お買い得商品である。
青果部門はご覧の陳列。
コストコは店内に青果専用冷蔵室をもつ。
コストコ並みの客数が確保できれば、
専用冷蔵ルームをつくれるが、
それはできない。
しかしハロウィン販促は負けていない。
ワインも高級品を扱う。
ダイヤモンドから、
トイレットペーパーまで。
それがホールセールクラブのコンセプト。
このショッピングセンターの木々に、
異様な黒い鳥が集まる。
ヒッチコック映画の「鳥」のようだ。
夕暮れがやって来る。
初日の視察は、
Supercenterとサムズ。
そして歓迎ディナー。
ソルトグラス・ステーキハウス。
松田一郎さんが乾杯の音頭。
店舗建設部企画設計課。
手に持つビールは、
テキサス産のシャイナーボック。
最後は小椋秀男さん、
教育人事部人材育成課課長。
メインディッシュは、
名物のアスパラ揚げとヒレステーキ。
日本からやって来て初日は、
ウォルマートの2業態を勉強。
お疲れ様。
(つづきます)
〈結城義晴〉