「万葉集」の「雑」は「第一のもの」とGeneral Merchandise
三が日は年賀状でご挨拶。
昨年は5月から、
商人舎流通SuperNewsを始めた。
今年は1月9日から再スタート。
ご愛読ください。
それでも商人舎magazineの、
Weekly商人舎は、
元旦から掲載しています。
月曜日が2週間販促企画、
火曜日が2週間天気予報。
販促企画も天気予報も、
休みなしです。
月刊商人舎と商人舎magazine、
流通SuperNewsに、
さらに今年は、
単行本事業を開始します。
いいものを少しずつ。
月刊商人舎も特集1本主義で、
単行本のようなものですが、
やはり雑誌らしさが前面に出ています。
単行本は筆者の考え方が、
じっくりと勉強できる。
ご期待ください。
さて、元旦の朝日新聞「折々のことば」
『万葉集』は、
何と「雑」の分類から
出発する。
(中西進の随想「美しきカオス」より)
素晴らしい。
鷲田清一さん編著。
「年の初めといえばお雑煮。
ここにも『雑』が使われている」
なるほど。
古代中国の辞書を引用。
「雑」は「五采(ごさい)相い合うなり」。
意味は、「五色の彩りが一つになる」。
あるいは「雑」は「最なり」。
意味は「第一のもの」。
中西進。
「雑技も華々しい技芸のこと。
歌集の『雑』も、
華やかな開始を示すと思われ、
『その他』ではない」。
「ごっちゃ(多様)こそ『万物の礎』?」
私には、目から鱗だった。
「雑」は英語で、
「General」にぴったり。
その「雑」が万葉集では、
最初に来るし、第一のもの。
様々な彩りが一つになるもの。
その他ではない。
流通用語でいう、
ゼネラルマーチャンダイズストアが、
まさにそれだ。
アメリカの商業統計。
ゼネラルマーチャンダイズストアは、
一番最後の分類だが、
第一のもの。
ここにメイシーズが入るし、
シアーズ、JCペニーが含まれ、
ウォルマート、コストコが位置する。
それぞれに、デパートメントストア、
ディスカウントデパートメントストア、
ウェアハウス&スーパーストアである。
「雑」こそ第一のものだった。
しかし現在、日本の流通業は、
その「雑」から撤退するものばかり。
「雑」の中で、
くっきりとPositioningを築けば、
向かうところ敵なしなのだが。
それがドン・キホーテだ。
「雑」の分類から始まる。
万葉集は凄い。
さて、「ほぼ日」の巻頭エッセイ。
今日のダーリン。
「あえて元旦に言ってみたい。
これからの仕事、つまり市場、
そして働き方のことです」
「機械ができることは、
どんどん機械にまかせたらいい。
人間は、機械にできない
創造的なことをやるべきだ」
という考えには無理がある。
機械とは、
「ロボット、コンピューター、AI」
「そんなに見え見えの
クリエイティブなことなんてない」
糸井重里さんは思う。
「機械にできることのなかから、
人間がやりたいこと、
人間が好きなことを、
返却してもらって、
それをたのしくやっていく」
これが、「これからの仕事、市場、
働き方をつくっていくのです」
「機械にやってもらっているまま
いいという場合は、そのまま、
機械にお願いしましょう」
「でも、『それ、わたしがやりたい』
ということは、機械にやらせておくのは、
もったいない」
「上手下手、効率、
そんな判断はする必要はないんです」
「人がやりたいこと、
人にしてほしいことは、
人がしたほうが
価値が高いということですよね」
まさに至言。
コンピュータやAIに、
人間が取って代わられると考えると、
危機感ばかりになる。
しかし、人間がやりたいこと、
人間にしてほしいこと、
人間がやったほうが価値が高いこと。
それは人間がやる。
これこそ人間産業だ。
もしかしたら「雑」は、
人間がやることなのかもしれない。
人間こそ、「雑」なのかもしれない。
〈結城義晴〉