「最悪を覚悟して最善を尽くす」と「年を経ることによる集中力の心地よさ」
意外な訃報が三つ。
まず、一般には、
キャンディーズのスーちゃん。
田中好子さんが21日に逝った。
乳がんのために55歳の若い命を散らせた。
アイドルから「普通の女の子」にもどって、
それから見事、女優に転身。
私も出版社の社長から、
一度、素浪人となり、
それから㈱商人舎社長、
コーネル大学RMPジャパン副学長、
そして立教のビジネスデザイン研究科教授と転身した。
ジャーナリスト、経営者から、
ジャーナリスト、教員になった。
だからスーちゃんの活躍は、
わがことのようにうれしかった。
平成元年の映画「黒い雨」では、
日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた。
最近では母親役を好演していた。
19年間、がんと戦っていたという。
合掌。
次に、ほんとうにびっくりしたが、
亀ヶ谷 邦博さんが4月14日、急逝。
享年66。
「フィットケアデポ」のバナーで、
横浜に強力なドミナント展開する㈱カメガヤの会長。
日本チェーンドラッグストア協会常任理事兼事業化推進委員長など、
ドラッグストアの産業化に尽力。
私の住む横浜市港北区の妙蓮寺が発祥の地。
だから親しくさせていただいた。
ユニークな経営思想を持っていて、
もしかしたらドラッグストア業界で、
一番、原則的なチェーンストアを志向していたかもしれない。
訃報を知ったときには、信じられなかった。
ドラッグストア業界全体にとっても、
本当に大きな痛手だと思う。
心から哀悼の意を表しつつ、合掌。
㈱アレフ社長の庄司昭夫さんも逝去。
本当に残念なことに先月23日、亡くなった。
享年68。
1968年に盛岡で飲食店を創業し、
1981年にハンバーグレストラン「びっくりドンキー」を始めた。
極めてユニークな経営思想で、
300店を超える全国チェーンに育て上げた。
庄司さんとは、商業界社長時代もずっと、同志だった。
「理念武装、理論武装、技術武装」は庄司さんの表現。
私が「心の力、頭の力、技の力」と考えていたことと、
それは一致した。
亀ヶ谷さんも庄司さんも、
そしてスーちゃんも、まだまだ若かった。
無念でならない。
庄司さんの「お別れの会」は
5月17日(火)札幌パークホテルで催される。
私は、その日、大阪で講演があるため、
駆けつけることができない。
これも残念でならない。
改めて、お別れをしたいと思う。
そして、2011年の早春、
東北関東大津波大震災で多くの方が亡くなった。
子供も、若者も、大人も、高齢者も。
そしていま、東北では満開の桜が、
関東以西では新緑が、
幾多の魂を弔っている。
3月11日の地震、そして津波。
さらにフクシマの原発事故と放射能。
いままた、余震の南下。
昨日は千葉県を震源とする震度5弱の地震。
どんなことが起こるか、予想もつかない。
私は、何と言うか、腹が決まった。
「いつでも来い!」という覚悟。
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」
そのうえで今を、充実して生きる。
決して投げやりにはならないし、
厭世的な気分ではないけれど、
覚悟はある。
最近、少しだけ年を重ね、
どんどん、できないことが増えてきた。
何でもできるものではないと観念した。
例えば、大好きなスポーツ。
球技も好きだし、体を動かすことは得意だった。
しかし50年ほど前に白内障を病み、
5年前に網膜剥離を患い、
3年前に緑内障となった。
そして右目の視力が低下した。
だから大好きな球技はほとんどできなくなった。
野球、サッカー、テニス、卓球、バドミントン。
そこで止まっている球を打つ球技しかできない。
しかしそういった閉塞された世界に、
何というか、心地よさを感じるようになった。
限定されているからこそ、
集中できるし、
心底楽しむこともできる。
少しずつ年をとっていくメリットは、
この集中にあるのだと気がついた。
これはほんとうに、
すっきりした気分を、
私にもたらした。
地震、津波、放射能、余震の南下。
そのなかで、いま「できること」に集中する。
それも心地よい。
そんな心境になった。
これは、58歳の結城義晴にとって、
新しい発見となった。
さて、昨日の午後は来客多し。
イオン㈱SM事業戦略チームの石川大元(ひろゆき)さん。
イオンビジネススクール(ABS)講義の打合せ。
ABCの冒頭講座で、結城義晴のチェーンストア理論、
商業の現代化論と商業哲学を話す。
石川さんの熱心さに感謝し、著書にサインしてプレゼント。
その後、ファイブ・ア・デイ協会理事長の池田健太郎さん(私の隣)と、
フレッシュMDホールディングス㈱社長の堀内達生さん、
フレッシュリミックス㈱取締役FMD事業本部長の福家裕香里さんが来社。
堀内さんは㈱ドール社長を経た後、独立し、
青果物のコールドチェーン・システム会社を立ち上げた。
だから、青果物流通の日米の相違がよくわかっている。
90分にわたるディスカッションは、とても面白かった。
アメリカの青果流通や食肉流通、
それぞれのマーチャンダイジングの体系を学ぶ機会を、
つくらねばと改めて感じた。
今週は、結城義晴のブログ[毎日更新宣言]を始めて以来、
1週間で最高のアクセス数記録をつくった。
読者のみなさんに、心から感謝したい。
良い週末を。
被災地のみなさんが、
安心して眠ることができるよう。
そして彼らにどんなものでもいい、体を動かす仕事が与えられるよう。
祈りたい。
<結城義晴>
2 件のコメント
結城先生へ 亀ヶ谷 邦博さんのご冥福を謹んでご祈念申し上げます。十数年前に博多から横浜のフィットケアデポの見学に行きました。当時ドラッグと言えば店頭に雑貨山積みが主流の時に、フィットケアデポの店内にはコンビニエンスコーナーを設けられ、サンドイッチやドリンクが販売されていました。さらにクリンリネスが徹底された売り場はゴンドラ配置やカテゴリー区分もお客様には明確で判り易く大変驚かされました。結城先生の言われるように、現在の日本のドラッグでもチェーンストアの原理原則に忠実な企業と思います。
いまちゃん、ありがとうございます。
本当に残念な方を亡くしました。
昨日、亀ヶ谷薬局発祥の妙蓮寺店に行きました。
店員さんが喪章をして仕事していました。
店は明るくて、親切で、立派でした。