「1票格差違憲判決」と松本晃「働き方改革」の「順調に問題だらけ」
北陸地方の降雪。
お見舞い申し上げたい。
今日午前11時現在で、
福井市の積雪は136cm。
越前市では107cm。
平年の6倍以上。
金沢市は77㎝で5倍以上、
富山市は69㎝で平年の3倍近く。
〈(株)平和堂の神田道世さんの写真〉
理由は上空約5000mの強烈な寒気。
氷点下39度以下で、
これは平年より約10度も低い。
明日の午前6時までの24時間の降雪量は、
福井県・石川県で最大40㎝、
富山県では最大50㎝の予想。
横浜のこんな雪など
物の数には入らない。
今日の横浜は快晴だというのに。
心から、お見舞い申し上げたい。
さて、もう一つ重要な今日のニュース。
「1票の格差の違憲判決」
昨年10月に行われた衆議院議員選挙。
升永英俊弁護士のグループが、
全国14の高等裁判所に訴訟を起こした。
これまでの判決で、
9件は「合憲」の判断だったが、
名古屋高裁の藤山雅行裁判長が、
「違憲状態」との判決を下した。
名古屋高裁に対しては、
東海3県の全24選挙区が調査され、
それが俎上に挙げられて提訴されていた。
選挙は民主主義の根幹をなす制度だ。
衆院選の1票の格差に関しては、
最大2.13倍だった2014年に、
やはり訴訟が起こって、
最高裁が「違憲」の判断を下した。
2009年と2012年にも、
同様に違憲判決が下された。
そこで国会は、
「定数0増6減」の法律を成立させて、
昨年10月の衆院選に臨んだ。
その衆院選挙の結果、
全国で有権者数が最も少ないのが、
鳥取1区の23万9104人だった。
逆に最多は東京13区の47万4326人。
この格差は、議員1人当たりで、
有権者数1.984倍となった。
一応、定数是正の成果は上がったが、
今回の名古屋高裁では、
1.98倍も違憲とされた。
弁護士グループは選挙の無効を求めたが、
違憲ではあると判断されたものの、
選挙無効の請求は退けられた。
1票の格差は2倍までが、
「許容される目安」になっている。
2倍が違憲で1.98倍は合憲というのも、
おかしな話だ。
憲法は「法の下の平等」を保障する。
その平等とは何か。
悩ましい問題だが、
その悩ましさを知らねばならないし、
いつも考えねばならない。
朝日新聞「折々のことば」。
鷲田清一さん編著の第1014回。
今日も、明日も、
明後日も、
順調に問題だらけ
(向谷地〈むかいやち〉悦子)
向谷地さんは北海道・浦河の元看護師。
夫君と精神障害者たちの支援を続ける。
「これからも、新たな苦労が
次々に生まれてくるでしょう」
彼らの苦労や弱さを取り除くのでなく、
彼らとそれを共有したら、
「『大切な苦労』の主役となって、
自分で自分を助ける手立ても、
講じられるようになった」
法の下の平等に関しても、
昨日も今日も明日も明後日も、
「順調に問題だらけ」だ。
さて最後に、
月曜日の日経新聞の夕刊。
1月15日の「あすへの話題」
松本晃さん。
カルビー(株)会長兼CEO。
〈同社ホームページより〉
テーマは「働き方改革」
「今、あなたは本当に
働いているのですか。
今、あなたは誰のために
働いているのですか。
仕事の上でのあなたにとっての
顧客は誰なのですか」
この顧客に関しては、
ステークホルダーとして、
「株主ラスト」を表明する。
松本さんにおけるファーストは、
「消費者と取引先」
さらに「従業員とその家族」
そして「コミュニティ」
この考え方を松本さんは、
ジョンソン&ジョンソンで学んだ。
1970年、京都大学農学部卒業、
72年、同大学大学院農学部博士課程修了、
同年、伊藤忠商事入社。
86年、センチュリーメディカル出向、
93年、ジョンソン&ジョンソンメディカル入社。
99年、ジョンソン&ジョンソン社長就任。
2009年6月、カルビー会長兼CEOに就任。
松本さんの問いは続く。
「さて、その顧客が抱えている問題って
一体何ですか。
消費者は何に困って
何を求めているのですか。
従業員とその家族は。
株主の期待は? 等々」
そして最後の問い。
「では、今あなたは
その顧客の問題を、
解決していますか。
もしくは、少なくとも、
その努力をしていますか」
結論。
「この質問に
『イエス』と答える時、
今あなたは働いている」
「又、その質問に、
『イエス』と答えられないならば、
『忙しい忙しい』『また、残業だ』
とは言っているものの
実際は働いていることにはならない」
「働く、ということは実は
そんな簡単なことなのではないだろうか」
私も拙著『Message』で、
「働くこと」と題した文章を書いた。
このブログにも何度も引用した。
しかしここまでシンプルに、
突き詰めることはできなかった。
松本さん。
「そして、フト一日を振り返ってみて、
今日私は果たして本当に
働いたのだろうかと自問する。
深い反省と共に一日が終わる」
あくまで謙虚だ。
今日も、
明日も、
明後日も、
順調に問題だらけ。
しかし、私もあなたも、
「本当に働いただろうか」と、
今日も自問を繰り返せば、
悩ましい問題も、
解決の糸口が見えてくる。
〈結城義晴〉