ゴールデンウィークとジョン・ダワーさんが指摘する「日本社会のしなやかな強さ」
2011年のゴールデンウィークに入った。
東日本大震災後50日目からの大型連休。
無邪気に、
楽しもう
楽しませようと、
呼びかける気にはなれないが、
それでも、
「小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望」
それらをまとめて、つづけて、
味わい、実感する日々でありたい。
今日4月29日が昭和の日。
亡くなられた昭和天皇の誕生日。
明日30日は土曜日。
明後日5月1日は日曜日。
ちなみにこの日は労働者の日メーデー。
5月3日火曜日は憲法記念日。
5月4日水曜日はみどりの日。
そして5月5日木曜日がこどもの日。
さらに5月7日は土曜日、
5月8日が日曜日。
だから5月2日と6日に休暇をとれば、
10日間の連休となる。
この大型連休、
誰もが「有意義に生きたい」と考えている。
このことには例外がないと思う。
もちろん被災して、
絶望している人がいるかもしれない。
明日への希望が見えない人がいるかもしれない。
そんな人々にも手を差し伸べる日々でありたい。
嬉しいニュース。
今日、東北新幹線が全線開通。
3月12日の震災翌日、
九州新幹線が全線開通した。
私も何度もユーチューブで歓喜のCMを流した。
[youtubeID:UNbJzCFgjnU]
「ひとつになってくれて、ありがとう」
本来、3月12日こそ、
鹿児島から青森が、
新幹線一本で結ばれる日だった。
それが震災で伸びた。
今日が、その日となった。
いま、九州の端と本州の端がつながった。
「ひとつになろう! 日本」
言葉通りの日本になりたい。
私もチャリティセミナーに参加し、協力する。
「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」
私は5月12日大阪でトップバッターとして講演する。
このチャリティセミナーへの結城義晴のメッセージ。
謙虚に、ひかえめに、真摯に、
被災地の商人を支援したい。
ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ、
被災地の商業の復旧と復興を応援したい。
それがやがて必ず
地域の振興につながることを信じたい。
いつも、そして、ずっと、
被災地の商人と心をひとつにしていたい。
支援し、応援し、心をひとつにすることによって、
この社会が、商人の役割を正しく認識するに違いない。
それを願いたい。
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル
ホメラレモセズ クニモサレズ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ」
合掌。
会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費15000円
この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として日本赤十字社に寄付される。
さて今日の朝日新聞「オピニオン」。
アメリカの歴史家ジョン・ダワーさんが、
インタビューに答えている。
マサチューセッツ工科大学名誉教授。
『敗北を抱きしめて』でピュリツァー賞受賞。
この著書は太平洋戦争の敗戦による破滅から、
立ち直る日本人の姿を描いたもの。
「米国社会はいまも
日本に対するシンパシーであふれています」
ほんとうに嬉しい言葉だ。
ダワー教授は、日本人の「しなやかな強さ」を強調する。
「第2次世界大戦が引き起こした人命の損失と物的破壊の規模は、
日本の国内に限っても今回の震災よりすざましいものでした」
「すべてあわせると40万人から60万人が空襲で犠牲になった」
「数百万人が家を失いました」
「外地から引き揚げてきた数百万人には、
ほとんど職がありませんでした」
私の父、祖父、叔父たちもみな同じだった。
「日本の国富の4分の1から5分の1が失われました」
「第2次世界大戦の前には、
1923年の関東大震災がありました。
首都を直撃し、日本の政治・経済の中心が壊滅し、
10万人以上が犠牲になりました」
「この二つの歴史経験が私たちに教えるのは、
日本人は悲劇から新しい創造的なものを
創り出すことができるということです」
では、これから、どうするか。
「一国に対する同情的感覚が、
これだけ広がったのはめったにない」
「この大震災が世界の共感を引き付けていること」を、
生かしなさいとダワーさんはアドバイスしてくれる。
「この感覚があるうちに他国との連帯を」築け。
ダワーさんは日本人の特性を説明する。
「私が注目しているのは、日本のいたるところで、
助け合いやコミュニティの感覚が生まれていることです」
「そこにあるのは宮沢賢治の『雨ニモマケズ』にあるような、
質実で献身的な精神です」
「90年代のバブル経済の崩壊以来、
日本は自信を失って、心理的に暗かった。
しかし今回の危機で明らかになったのは、
日本社会のしなやかな強さでした」
福島原発の問題にも言及する。
「被爆国である日本が、
原発事故という形で新たに放射能の恐怖に襲われたことは、
これは歴史の悲劇的な巡りあわせとしか言いようがありません」
「広島、長崎の経験を踏まえて、
核軍縮の議論を日本が引っ張ってきたように、
今回の危機を活かして、
エネルギー政策でも指導的役割を果たしてほしい」
ヒロシマとフクシマ。
日本国民にとって、
いや世界の人々にとって、
歴史の上でも最も悲劇的なことのひとつ。
それが私たち日本に起こった。
この事実は変えられない。
ならばそれを、逆に生かさねばならない。
「突然の事故や災害で、
何が重要なことなのか気づく瞬間があります」
これがダワーさんの最も重要な指摘だと思う。
「すべてを新しい方法で、創造的な方法で
考え直すことができるスペースが生まれる」
「関東大震災、敗戦といった歴史的瞬間は、
こうしたスペースを広げました。
いま、それが再び起きています」
私たちには、イノベーションのスペースがある。
この事実を正面から見定めること。
「しかし、もたもたしているうちに、
スペースはやがて閉じてしまうのです」
「結果はどうなるかはわかりませんが、
歴史の節目だということ」
私たち自身が、
歴史の節目をしっかり意識しなければならない。
ドナルド・キーンさん、
ジョン・ダワーさん。
私たちには心強い味方がいる。
良いゴールデンウィークを。
休む人、遊ぶ人、楽しむ人。
その休み、遊び、楽しみを、
つくる人、与える人、守る人。
どちらにも有意義な時でありますように。
<結城義晴>