イオン・三越伊勢丹ポイント提携と平和堂米国研修勉強会・報告会
三寒に萎えて四温に励まさる
〈朝日俳壇より 吹田市・久留島信子〉
(稲畑汀子選評)
三寒四温の中で体が萎えたり、
また励まされたりして生きていく。
さて、商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
2018夏三越伊勢丹とポイント相互交換/共同ATM設置
イオンのアライアンス戦略が続く。
eコマースのプラットフォーム構築では、
ソフトバンク&ヤフーと協働し、
ポイントプログラムでは、
三越伊勢丹ホールディングスと組む。
イオンは日本の小売業第1位。
三越伊勢丹は百貨店トップ。
昨年2月期決算でイオンが8兆2101億円、
三越伊勢丹は1兆2535億円。
イオングループの「WAON POINT」と、
三越伊勢丹の「エムアイポイント」。
ポイントの相互交換から始まるが、
たとえポイントプログラム提携と言えど、
超大型の案件である。
アメリカではアルバートソンが、
ライトエードと経営統合する。
前者はスーパーマーケット第2位、
後者はドラッグストア第3位。
日本でも今後、こういった大型の提携が、
頻発するに違いない。
私は彦根城が見えるホテルを後に、
南彦根の㈱平和堂本部へ。
通称「HATOC (ハトック)」。
5月にアメリカ研修を行う。
テキサス州ダラス周辺と、
カリフォルニア―州サンフランシスコ。
私はそのコディネーター。
平和堂のアメリカ研修会は、
2011年から年2回ずつ開催して、
今回で8年目。
春の研修チームで第15団となる。
今回で総勢589名をアメリカに引率し、
指導してきた。
午前はその第15団のための事前勉強会。
午後は昨秋派遣された第14団の報告会。
進行は三輪亮介さん。
教育人事部人材育成課。
第15団は派遣者40名に、
三輪さんをはじめ事務局が同行する。
第15団は主任クラスが半分ほど。
だからアメリカの人口動態や、
経済状況、視察地の商業競争環境などを
ていねいに、わかりやすく講義する。
世界最大小売業のウォルマートにも、
たった2店舗のドロシー・レーンにも、
共通する理念やミッションがある。
企業は、戦略や戦術も大切だが、
何よりも経営理念が貫かれなければ、
それらにも意味がない。
平和堂もグループ憲章や社是が、
何よりも優先されなければならない。
世界小売業の歴史を魚の目で解説しつつ、
鳥の目でアメリカを学ぶ。
そのポイントを整理し、
出発までの宿題を課した。
昼食はHATOC名物の社員食堂。
平松正嗣社長、
夏原行平専務、夏原陽平常務と、
最近の流通談義。
イオンと三越伊勢丹の提携も、
当然ながら話題になった。
そして午後は、
第14団アメリカ視察派遣チームからの、
班ごとの報告会。
平松社長をはじめ、
経営幹部と商品部課長、
エリアマネジャーの皆さんが参集。
第14団は昨年10月10日から1週間、
ダラス、サンフランシスコを視察した。
報告会の冒頭に、
14団副団長だった杉山茂生さんが挨拶。
アルプラザ醍醐支配人。
14団も主任や若手が多いチームだった。
だから渡米前に、全員が、
ストアコンパリゾンの訓練を行った。
そのスキルを身に着けて、
アメリカ視察に臨んだ。
そのうえで学んだことを、
それぞれの現場でどのように活かして、
成果につなげたか。
それを次に渡米する第15団のメンバーと、
後列に並ぶ幹部が聞く。
真ん中が平松さん、手前は福嶋繁さん。
取締役店舗営業本部長で、
コーネル・ジャパン3期生。
2つの班の発表が終わると、
参加している幹部から質問が飛ぶ。
この質疑応答が、
現場と幹部のコミュニケーションになる。
質疑応答を15団のメンバーが聞いている。
彼らにも本当に勉強になる。
質疑応答のあとに、
私の講評。
3つの質問をした。
そのうえで、
報告会の緊張した会場を和ませてくれた。
7年の研修を重ねて、
プレゼンテーションスキルが、
格段に上がった。
それにつれてマーチャンダイジングも、
さらにオペレーションも充実してきた。
それがマネジメントレベルの、
向上をもたらす。
「ソシオテクニカルシステム論」は、
故杉山昭次郎先生の持論だが、
それ持ち出して、
この7年ほどの平和堂の変容を説明した。
それから平昌オリンピックの、
チームパシュートと鎖の経営。
チェーンストアの鎖の軽さと強さを、
すべての平和堂マンに求めた。
私のあとは、
第14団を率いた佐々木裕さん。
滋賀大型店営業部長。
佐々木さんは、
皆の報告を聞いて、
ちょっと感動ぎみ。
最後は平松社長からの総評。
平和堂の現場は店長・店次長と、
主任クラスの人材が支える。
だから彼らこそが、
現場を変える力を持っている。
そして売場は小売業にとって、
最大の宣伝媒体である。
その売場を担う店長と主任に、
大いに期待する。
もっともっとアメリカで学んでほしい。
昨年10月の視察時の写真を、
スクリーンに映しながら、
体験談や思い出話に花が咲く。
一方、15団はこちらも6つの班ごとに、
視察の課題やテーマをディスカッション。
それぞれの課題を班長が発表。
それを聞いて、
私の講評とサジェスチョン。
いつものように、
「セレンディピティ」の話。
第15団の成功を祈念して、
田中仁史団長と平和洋史副団長(右)。
田中さんは取締役食品統括兼生鮮食品事業部長。
平和(ひらわ)さんはSM営業部SM第2エリアマネージャー。
最後に食堂に戻って、
第14団メンバーと今日の参加者全員で、
ハトッピーポーズ。
最後に夏原陽平さんとポーズ。
やっぱり、これだね。
そだね。
「すぐ役に立つことは、
すぐに役立たなくなる」
灘高校の国語教師・橋本武先生の言葉。
平和堂のアメリカ研修は、
東日本大震災の後に始まった。
そして学ぶ組織づくりが、
マネジメントレベルを上げてきた。
しかし、まだまだです。
〈結城義晴〉