商人舎流通SuperNewsの業態別動向と山崎正和の「公正と公平」
第90回選抜高校野球。
「春のセンバツ」が始まった。
まさに「球春」
毎日新聞「余録」が取り上げた。
「2018年、めでたく野球の春は
コウジエンにもコウシエンにもやって来た」
岩波書店の「広辞苑第7版」は、
今年1月12日発刊。
この7版でやっと、
「球春」という言葉が辞書に並んだ。
「野球のシーズンが始まる、春先の頃」
被災間もない阪神大震災、
東日本大震災後の大会も、
そんな球春の危機であった。
「白球、そして36チームの
ひたむきなプレーが運んでくる
90度目の春である」
今日の初日は、
もう福島の聖光学院高校が勝利した。
順調に日程を消化すれば、
4月4日の水曜日が決勝戦。
高校生の球春は短い。
桜散るの言葉のままだ。
さて、商人舎流通スーパーニュース。
毎月20日を過ぎると、
業態ごとにそれぞれの協会から、
前月の統計結果が発表される。
【統計】のボタンを押すと、
ズラリと統計数値が並ぶ。
その2月編。
2月百貨店統計|
既存店▲0.9%で3カ月連続減少/インバウンド39%増
インバウンド消費は絶好調。
前年比38.7%の伸びを示した。
月刊商人舎2017年12月号。
免税商売に覆われていく日本
2020年!! 1億6000万人のMarketing
さらに札幌5.2%、大阪5.2%、福岡5.0%。
この3都市の5%超えの成長。
東京0.6%、横浜0.5%。
これらも訪日外国人の影響だ。
ほかの都市や府県では、
百貨店業態は必要ないがごとき数字。
インバウンドがなければ、
百貨店業態の今は考えられない。
2月総合スーパー統計|
売上高1.3%増/低温で衣・住不調/食は農産中心に好調
これは日本チェーンストア協会のデータ。
しかしチェーンストア統計と呼ぶには、
ちょっと抵抗がある。
コンビニもドラッグストアも、
ファストフードも、
チェーンストアだからだ。
この協会はもともと、
総合スーパーが牽引していた。
しかし現在は、
大手食品スーパーマーケットが中核。
それに総合スーパーも、
食品の構成比が5割を超えている。
協会には、やはり総合スーパー業態を、
一部でも運営する企業が17社と多い。
ニトリホールディングスも大創産業も、
丸井グループもDCMホールディングスも、
この協会に入っている。
その意味では総合性を持つ。
だから商人舎ではこの統計を、
大雑把ではあるものの、
総合スーパーの動向を示す指標とする。
2月は前年比1.3%増だった。
食品がプラス2.2%、
衣料品がマイナス0.5%、
住関連品がマイナス1.2%。
ユニクロのファーストリテイリングが、
万が一にもこの協会に加盟すれば、
衣料品はもっと良い数字を出すだろう。
2月スーパーマーケット統計|
青果4.4%増と好調で既存店売上高3カ月連続増
3つの協会が協力し合って調査する統計。
食品の消費トレンドは底堅い。
既存店前年比は0.7%増。
青果がプラス4.4%、
畜産がプラス1.9%、
惣菜がプラス1.2%、
日配品がプラス0.9%、
一般食品がプラス0.3%。
水産だけがマイナス1.9%だった。
2月日生協統計|
総供給高3.1%増/宅配は35カ月連続で前年超過
生協は2つの業態を持つ。
店舗生協のスーパーマーケットと、
宅配ビジネスだ。
2月も店舗販売は0.5%増、
宅配は1.4%増、
また宅配の43.7%を占める個配は、
2.5%増で一番堅調だった。
2月コンビニ統計|
低温降雪で客数減だがホット商品好調で既存店0.3%増
問題はこのコンビニ統計だ。
何しろ2月からは、
7チェーンの統計になってしまった。
スリーエフがローソンに変わったからだ。
かつてのサークルKサンクスは、
ファミリーマートになってしまったし、
統合の加速は留まることを知らない。
セブン-イレブン、
ファミリーマート、
ローソン。
御三家。
その後にイオンのミニストップ、
北海道のセコマ、
山崎製パンのデイリーヤマザキ。
悪いけれど、ヤマザキは、
他のチェーンと比べると一段と落ちる。
北海道のセコマは店名セイコーマート。
この企業は北海の地に土着して、
きっとサバイバルするだろう。
イオンのミニストップも、
同社の小型店「まいばすけっと」などと、
連携を図って残るのだろう。
だとすると、日本のコンビニは、
どんどん飽和に向かって、
やがて5チェーンくらいに淘汰される。
2月の傾向は、
新店を加えて全店で2.4%増、
既存店は前年比プラス0.2%。
店数は5万5395店で1.5%増。
業態別に見ると、
圧倒的にドラッグストアが伸びている。
そのドラッグストアも、
食品の構成比上昇が成長を支える。
私は日本のドラッグストアも、
アメリカやヨーロッパのように、
経営統合が進むとみている。
そのM&Aが急激に進むのは、
全体の伸び率が鈍化し、
止まった時である。
欧米の先行例を承知して、
日本の業態別動向を見ていると、
「既に起こった未来」として、
日本の動静が浮き上がってくる。
最後に、「折々のことば」
第1058回。
公正であれば
公平でなくてよい
〈美学者・評論家 山崎正和〉
ある賞の選考会の終了後、
山崎さんがふと口にした言葉。
公正であれば、
公平でなくてよい。
倉本長治の「商売十訓」
第八訓は、
公平で公正な社会的活動を行え
倉本長治は、「公平で公正」。
山崎正和は、「公正であれば、
公平でなくてよい」。
編著者の鷲田清一さん。
「フェアであることと
不偏であることとは同じでない」
「賞の選考にあたっては、私も、
平坦でない作業にこもる熱い思いに
心を動かされた作品は、
つい肩入れし強く推す」
「受けた衝撃が深ければ、
その仕事の意味もきっと重いはず。
選考会では、委員がそれぞれに
受けた衝撃の意味を、
フェアに聴きあい、探りあう」
これは商売における、
ロイヤルカスタマーへの対応と、
通常の顧客との応対に似ている。
ロイヤルカスタマーには欧米では、
ロイヤルティプログラムを用意する。
日本でも、ロイヤルティを、
強く持ってくれる顧客には、
店の側も「肩入れする」
それもよいのだ。
「公正であれば」
「フェアであれば」
これはすべての業態に共通することだ。
〈結城義晴〉