最終講義と沈没寸前のシアーズ/感動のナゲット・ウィンコ
母の日。
ただ、ひたすら、
ありがとう。
私はサンフランシスコ。
日航ホテル25階から望む街。
ビルの屋上に星条旗がはためく。
平和堂米国研修第15団。
最後の講義。
副団長の平和洋史さんが檄を飛ばす。
SM営業部SM第2エリアマネージャー。
そのあと、2時間の講義は、
競争の変容とポジショニング戦略。
そしてコモディティ化商品論。
一番の肝となる講義は、
たくさんの事例を見てから。
そのほうが理解が進む。
講義が終わると最終日の視察研修。
今日の最初は、
リージョナルショッピングセンター。
シアーズ、メイシーズが核店舗。
モールのセンターコート。
人がまばらだ。
しかしJCペニーが核となっていたあとに、
ウォルマートスーパーセンターが入る。
そしてこの店だけが繁盛している。
衣料品は壁面にハンガー陳列。
ウォルマートの正反対の位置に、
2層のシアーズ。
春のブラックフライデーを展開。
しかし売場は死んでいるようだ。
芝刈り機などが並ぶ。
人っ子一人いない売場。
昨年も書いてあったが、
「われわれはまだここに留まる。
われわれはどこにも去っていかない」
情けない。
サンフランから北西に1時間でバカビル。
ナゲットマーケット。
料理教室だったミーティングルームへ。
全員着席してセミナー。
講師は副店長のシャロンさん。
ナゲットの考え方から、
ユニークな販促、
店舗マネジメントまで、
質疑応答。
いいミーティングだった。
シャロンさんを囲んでハトッピー。
店舗入り口は、花で顧客を迎えるところ。
それも普通の花売場ではいけない。
アウトスタンディングな美しさが必須。
ご覧ください。
右手はプロモーションコーナー。
つまり最強エンドの連続。
そして正面に母の日のロゼワイン大展開。
その右手が青果部門。
今日はナゲット自慢の壁面陳列を、
すべて連続写真でご覧いただこう。
湾曲した陳列線が美しい。
ここからOrganic。
壁面陳列の前には、
果物の島陳列。
壁面陳列の美しさと、
その前の島陳列の美しさ。
息をのむほど。
陳列線の美しさを確保するために、
一日中、補充をしている。
バナナ1ポンド(454グラム)68セント。
オーガニックバナナは99セント。
青果部門の前面にはベーカリーとデリ。
インストアベーカリーのパンの陳列。
ケーキの対面コーナーでは、
デコレーションを承る。
サンドイッチコーナーは、
ボアーズ・ヘッドのハムで作ってくれる。
Boar’s Headは超人気のデリブランド。
もちろん小売りもしている。
セルフデリはホールフーズのようだ。
チーズの島陳列は新設された売場だ。
そしてシーフードの対面売場から、
ミートの対面へと続く。
自家製ベーコン。
日本でもベーコンは、
いい商品を開発したい。
上級のワインコーナーは、
アップスケール型には必須。
テーブルワインはエンドに積み上げる。
奥壁面は長いながいリーチインケース。
かつては多段ケースが並んでいたが、
熱効率の環境問題から、切り替えた。
クラフトビールもリーチインケース。
みごとな縦陳列のエンド。
お手本のようなプレゼンテーションだ。
ウォーター・センターを、
レジの後ろではなく、
奥主通路の真ん中に持ってくる。
マグネットの考え方だ。
エンドが並ぶが、
いずれも教科書のような陳列。
床のピカピカが陳列を引き立てる。
ゴンドラアイル内も床はピカピカ。
陳列線は長い。
店舗中央を走る冷凍食品の平ケース。
天井はスケルトンで、アーチが効果的。
店舗左翼の奥コーナーには、
ノンフーズグロサリーの大量陳列。
そしてその対面にはアパレルと服飾品。
なかなかセンスがいい。
ヘルス&ビューティケアの売場。
ただしドラッグストアがないのが弱点だ。
バスタブを活用した石鹸売場。
バルク売場もナゲットにかかれば、
美しい情景の一角となる。
アウトドア用品の島陳列。
これからの季節品である。
レジにはホスピタリティ溢れる、
若いスタッフが配置される。
ナゲットは働きたい企業ランキングに、
いつも上位で入ってくる企業。
このファンタスティックな売場は、
働きたい条件の一つとなっている。
この研修会最後の店舗は、
ウィンコ・フーズ。
非上場の従業員持株会社。
入り口にはとウォール・オブ・バリュー。
超お買い得品を集めた壁。
ここでは価格比較が掲示される。
ウィンコが2.38ドル
ウォルマート2.44
セーフウェイ3.99
ローリーズ4.39
差額2.01ドル。
ウォールを抜けると、
ゴンドラが斜めに切ってあるが、
これらもウォールの続きの超特売。
左手に曲がると青果部門。
バナナは1ポンド52セント。
壁面にはオーガニックコーナー。
水色のパネルがユニークだ。
大抵はグリーンだからだ。
葉物もものすごく安い。
しかしよく売れて回転が速いから、
最終的に鮮度がよくなる。
青果を抜けると、バルク売場。
これはバラ菓子によるバルク販売。
さらに左を見ると奥主通路だが、
デリカテッセン、魚・肉の対面売場。
対面売場では顧客の注文が寄せられる。
その対面の横に冷やしたビールの売場。
個室になっていて、部屋ごと冷やされている。
牛乳は、脂肪分1%が1ガロン2.78ドル、
2%が2.99ドル。
1ガロンは3.8リットルで、
1%は1リットル73円、2%は79円。
冷凍食品コーナーは、
中央に平ケース、両サイドにリーチイン。
店舗の向こう側の端まで見通せる。
ドリンク売場が出てきて、
コカ・コーラ2リットルがズラリ。
そしてここでも価格比較。
ウィンコ1.18に対して、
レイリーズ1.66
ウォルマート1.70
セーフウェイ1.25
ウォルマートが一番高いし、
その価格差は52セント。
水の大量販売の手前に、
カップケーキなどが並ぶ。
5月最終月曜日がメモリアルデーだが、
それに向けたプロモーションだ。
そして店舗の左手前隅が、
インストアベーカリー。
焼き立てパンがとにかく安い。
そのベーカリーの前には、
ポテトチップのエンド。
そしてチェックスタンド。
アメリカのスーパーマーケットは、
サッカーサービスが当たり前だ。
しかしそれをしないことを謳っている。
その分のコストは価格に反映させる。
ウィンコフードの徹底したところだ。
「スーパーウェアハウスストア」
つまり倉庫型ディスカウントスーパーマーケット。
ウィンコの年商は約66億ドル。6600億円となる。
ウォルマートの50兆円に比べると、
75分の1の企業規模。
それなのにウォルマートより安く売って、
しかも利益を上げつつ成長している。
それは社員持ち株制度で、
働く人々全員の意識が高いからこそ、
実現できていることなのだ。
ウィンコの視察を終えて、
北カリフォルニアの美しい緑。
バスの中で全員に、
感想と決意表明をしてもらった。
マイクを持っているのが松本純一さん、
生鮮食品事業部デリカ課担当MD。
隣は竹村達也さん、
アルプラザ草津食品副店長。
そのうちにベイエリアに入って、
うっすらとサンフランシスコが見えてきた。
最後の発表は小山幸代さん、
フレンドマート河西店店次長。
隣は近江悟さん、
アルプラザ高槻食品副店長。
そしてベイブリッジ。
サンフランシスコは美しい。
全員の決意表明、
私は静かに感動した。
会社がアメリカに派遣してくれる。
そこで店を見て、商品に出会う。
人にも会って、話を聞く。
自分で感動して、それを決意に変える。
だからその話を聞く人たちを感動させる。
この研修の目的は、
実はこの感動にある。
(つづきます)
〈結城義晴〉