特集「2018決算解体新書」とシアトル視察のパフォーマンス
Everybody! Good Monday!
[2018vol23]
2018年第23週で6月第3週。
遅ればせながら今日は、
二十四節気の「入梅」。
しかし今年の日本の梅雨入りは早かった。
昨日夕方、帰国して、
東京成田国際空港に着いたら、
空気がムッとして、蒸し暑い。
「日本に帰って来た!」
妙にそれを強く感じてしまった。
世界では例の二人の会談が進む。
ドナルド・トランプと金正恩。
ところはシンガポール。
そして今日付けで、
月刊商人舎6月号発刊!!
[特集]
2018決算解体新書
ニッポンチェーンストアの経営リスクと
リエンジニアリングを読み取る
[Cover Message]
ニッポンチェーンストアの2018年2月期・3月期決算が出そろった。しかし上位企業はホールディングカンパニーだらけで、その実態は、決算書のペーパーだけでは、にわかには判明しない。だから持株会社のなかの、それぞれの業態ごとに、あるいはフォーマットごとに、店舗ごとに、売場ごとに、現場に当たって、決算数値の内容が妥当であるか否かを見定めねばならない。2万店を超えるセブン-イレブン・ジャパンの実態は、2万分の1を知っているだけではわからない。けれど、その2万分の1がチェーンストアのすべてでもある。顧客は2万分の1を見て、セブン-イレブンだと認識しているからだ。これがチェーンストアのチェーンストアたる所以である。ただし、2万店のチェーンストア決算のPLとBSを見つめることによって、経営リスクが見えてくる。これもまた事実である。そこからリエンジニアリングの方向性を導き出し、改めて実際に現場・現物に接することによって、真実を突き止めることもできる。2018決算解体新書をお届けしよう。
[Message of June]
数字は好きですか
結城義晴の[特集のまえがき]
2017年度決算ランキングを覆すもの
[大図解]
2017年度チェーンストア営業収益ランキング
[ニッポンのチェーンストア決算総覧]
Ⅰ日米コングロマリットチェーン編
イオン/セブン&アイ/ユニー・ファミリーマート/ウォルマート
Ⅱ総合スーパー編
イオンリテール/イトーヨーカ堂/ユニー/イズミ
/平和堂/サンエー/ドンキホーテ/ターゲット
Ⅲ日米スーパーマーケット編
U.S.M.H./ライフ/バロー/アークス/ヤオコー/クローガー
サミット/いなげや/アクシアル リテイリング/ベルク
商人舎magazine[Web版]
[ニッポンのチェーンストア決算総覧]
Ⅳコンビニエンスストア編
セブン‐イレブン・ジャパン/ファミリーマート/ローソン
Ⅴ日米ドラッグストア編
ウエルシア/マツモトキヨシ/サンドラッグ/ツルハ
コスモス薬品/スギ/CVSヘルス/ウォルグリーン
Ⅵ日米百貨店編
三越伊勢丹HD/高島屋/H2Oリテイリング/ J.フロントリテイリング
そごう・西武/メイシーズ/ノードストローム
Ⅶ日米家電チェーン編
ヤマダ電機/ビックカメラ/エディオン/ケーズHD/ノジマ/ベストバイ
Ⅷ日米ホームセンター/ホームファッション編
DCM/コメリ/ニトリ/良品計画/ホームデポ/ロウズ
Ⅸ日米カジュアルチェーン編
ファーストリテイリング/しまむら/ギャップ
[特別寄稿]
人口動態チェーンストア経営リスク論
少子化・高齢化から見る都市構造衰退と
出店戦略の一考察〈小松崎雅晴〉
人口減少・少子高齢化現象の深刻さ/小売業のCGP/
チェーンストアの店舗構成と出店都市のリスク/
リージョナルチェーンのCaseStudy/
専門店ナショナルチェーンのCaseStudy/
人口リスクへの対処とデジタル時代への対応
[特別提言]
現場視点のリエンジニアリング発展史
[Case Study]で経営・業務改革の
進化段階を解析する〈鈴木哲男〉
レジ・エンジニアリング/フォーマット・エンジニアリング/
グロサラント・エンジニアリング/ドンキ化のエンジニアリング/
MUJIブランド化のエンジニアリング/道の駅のエンジニアリング
[特集のあとがき]
「ROAがすべてを表す!」
[大図解]
日米主要企業ROAランキング
今月号は大特集。
商人舎magazineのWebページに、
大量の資料と大量の分析原稿を掲載した。
普段は紙の月刊商人舎しか読まない人も、
網の商人舎magazineを見てください。
今号は、PaperとNetの融合です。
自分で言うのもなんですが、
ちょっとすごい月刊誌となりました。
帰国して、出社すれば、
今日は商人舎magazine Web会議。
最新号を持って、ポーズ。
ありがとう。
右から内田憲一郎さん、
猪股信吾さんと岩田幸大さん。
そして鈴木綾子。
さて、シアトル研修の続き。
このシアトル地区のマーケット占拠率。
第1はフレッドマイヤー。
クローガーと1999年に統合している。
第2位はセーフウェイ。
かつては2012年に、
22.4%の占拠率でトップだった。
しかし弱体化してアルバートソンと統合。
だから今回は店を見ない。
第3位はQFC。クローガー傘下。
クォリティ・フード・センターの略。
1980年に私、この会社を訪れた。
まだローカルチェーンだった。
だから第1位は断トツで、
クローガーグループ。
第2位がセーフウェイ。
そして実質的な第3位がコストコ。
ニューヨーク市、シカゴ市、
サンフランシスコ市、ロサンゼルス市。
そしてこのシアトル市。
いずれも1割を超える占拠率。
ここ本社のあるシアトルでは13.9%。
クローガーがマーケットリーダー、
コストコがマーケットチャレンジャー。
セーフウェイはマーケットフォロワー。
実に私の主張する理論通り、
わかりやすい。
それからマインドシェアのトップは、
トレーダー・ジョーと、
ホールフーズマーケット。
今日はシェア上位企業を訪問。
シアトル2日目のことだった。
〈明日はインディペンデントを一挙に紹介〉
フレッドマイヤーは、
どんどんクローガー化している。
青果部門は平台構成。
葉物の鮮度もいい。
フレッドマイヤーは、
「マルチデパートメントストア」と称して、
ハイパーマーケットを展開していた。
ワンフロア1万5000㎡。
つまり単品大量ディスカウントと、
非食品強化型店舗である。
それでも22万5000アイテムを並べて、
ウォルマートの2倍近くの品揃えだ。
しかしどんどんクローガー化して、
デリカテッセンにも力を入れている。
ピザのバックヤードには窯がある。
今や必須だ。
そして「Murray’s」(ムレイズ)のチーズショップ。
マンハッタンのチーズ専門店を、
クローガーは買収してしまった。
奥壁面の広大な精肉売場。
クローガーの「Simple Truth」
オーガニックブランドで大人気。
靴の売場が充実。
アパレルも上出来の売場だ。
ファブリックス(布製品)売場は、
カラーコントロールが行き届く。
キッズ売場もウォルマートのように、
平面的で平板ではない。
もちろんレジの上には、
Qビジョンのデジタル表示版。
このマルチデパートメントストアは、
2018年1月現在で132店。
このフォーマットが強いから、
シアトルではウォルマートのシェアが低い。
4.9%しかない。
次にQFC。
この地のローカルチェーンの、
古い古い店。
地上1階から地下へ降りる。
すると採光の中の青果部門。
美しい。
デリカテッセン売場が充実。
ここでも「ムレイズ」のチーズショップ。
そして「ボアーズ・ヘッド」
デリカテッセンの超有名店。
デリと言えばまず加工肉とチーズだ。
「フレンドリー・デリ」と名付けて、
6時から21時までサービスをする。
われわれも試食。
チキンハムからターキーハム、
ポークハムまで存分にテースティング。
そしてポークハムを買う。
素晴らしいコミュニケーション。
古い店だが店内は美しい。
そしてグロサリーのアイル(通路)は長い。
商品力、価格力があるから、
顧客を中まで引っ張れる。
そしてエンドの作業量が半減する。
チーズとデリを強化すれば、
ワイン売場も重要になる。
ワインセラーもある。
ファーマシーも必須の機能だ。
QFCはサービス&クォリティ型の、
典型的なスーパーマーケットだ。
クローガー化しつつ、
そのクオリティを堅持している。
それがクローガーのマネジメントレベルである。
次にコストコ。
伊藤忠商事の全面協力で、
大歓迎を受けた。
(株)万代の中筋浩二さんからプレゼント。
ドライデイリー担当取締役。
われわれは3チームに分かれて、
丁寧な店内ツアーをしてもらった。
われわれに解説してくれたのは、
マイ―シャさん。
今、コストコで一番、
伸びているのがオンライン販売。
次がコト販売のギフト。
もちろん食品では、
肉が一番、酒が二番、青果が三番。
ベーカリーも最強。
デモンストレーションは 、
2社に依頼して派遣してもらう。
非食品で一番売れるのはテレビ。
ダイヤモンドから、
トイレットペーパーまで。
それがコストコのコンセプト。
459万9999円のダイヤ。
テレビの次に売れるのが、
このトイレットペーペーパー。
コストコはトイレットペーパーを、
1年に1000億円販売する。
それからHBCが3番目に売れる。
その筆頭アイテムがこれ。
われわれ以外の外国人チームもツアー。
そしてランチはホットドック&ドリンク。
コストコ名物1ドル50セント。
店の隣にコストコ本社がある。
本社の受付でパフォーマンス。
加藤徹さんも一緒に、
パフォーマンス。
万代前会長にして現万代油脂工業(株)社長。
ありがとうございました。
偉い方にやっていただいて恐縮。
でもしつこく門の前でも、
全員でパフォーマンス。
視察とパフォーマンスが終わったら、
バスの中で講義。
芳本一樹さんは、
伊藤忠商事からICRESTに出向中。
今回の手はずを整えてくれた。
そのうえ、コストコの現状を、
豊富なデータに基づいて語ってくれた。
ありがとう。
最後は、
ホールフーズマーケット。
入り口のデリは凄い人気。
これぞグロサラントだ。
カットフルーツも見事。
青果物の陳列は当代一。
SeaFoodが独立部門になっているのは、
ホールフーズだけだ。
そしてMeatに続く対面売場。
5ステップアニマルウェルフェア。
乳製品のリーチインケースは、
ホールフーズが開発した。
きわめて可視率が高い。
ワイン売場は赤いラック。
そして黄色のセルフデリに続く。
右手が対面デリ。
そして売場の中にイートイン。
これぞグロサラント。
ただし、アマゾン・ロッカーがある。
アマゾンでオーダーして、
このロッカーからピックアップできる。
自分のコードを打ち込むと、
商品を取り出すことができる。
アマゾンの傘下に入ったのが、
昨年8月28日。
それからホールフーズには、
試練がやってきた。
アマゾンのオンラインで、
ホールフーズの商品が、
売られるようになった。
するとその分の売上げは立つが、
その分、店に顧客がやって来なくなった。
店の賑わいがちょっと欠けた。
それが店にとっては、
致命傷になりかねない。
怖ろしいことだ。
今、その試練と、
ホールフーズは闘っている。
この店は闘いに勝っている。
それがうれしかった。
シアトルの上位企業視察。
実に深い勉強ができた。
パフォーマンスも楽しかった。
ありがとうございました。
では、みなさん、
今週も、Good Monday!
〈結城義晴〉